大阪府西宮市
九州とか東北などの人は、西宮市、芦屋市、宝塚市などといっても、それがどこにあるのかご存じでない方が多いと思います。私の兄は九州でしばらく生活していたのですが、「西宮は大阪だ」と思っている人がとても多かった、と言っていました。九州のように遠方でなくても、「西宮市がどこにあるかなんて知らない」という人はかなりいらっしゃると思います。それは当然で、私でも「宇都宮市が何県か」と問われたら瞬間的に「えーっと、群馬か栃木だったような」といういい加減さです。まして「川越市は?」「志木市は?」「桐生市は?」と聞かれてすぐに答えられる関西人は多くはないでしょう。
阪神タイガーズが優勝しましたが、このチームは本社が大阪市にあって、本拠地は兵庫県(!)西宮市にあります。しかし、全国的には
大阪の球団
と思われているでしょう。
だって、優勝したら武庫川(西宮市を流れる川)ではなく道頓堀(大阪市の運河)に飛び込む人がいて、パレードと言ったら大阪市の御堂筋でおこなったりしますから。広島カープが優勝したというので山口県の川に人が飛び込んだというのではニュースになりませんし、岡山県でパレードをするかというとちょっと考えられません。しかし、阪神はやはり「大阪のもの」という意識の人が多いのでしょうね。しかし、パレードというなら、兵庫県神戸市も黙ってはいません。以前もフラワーロード(神戸市役所や東遊園地などに沿った道)でパレードをしたことはあるのですが、今回も意欲を持っているようです。大阪の知事と兵庫の知事は同じ政党のお友だちですので、けんかにはならず、
「一緒にやろうね」
ということになるかもしれません。
オリックスも今は大阪が本拠地ですが、もともとは神戸なのです。しかし、あまり話題にならないのは、阪神人気とは比較にならないからでしょう。
うちの長男が『名探偵コナン』が大好きなのですが、彼の持っていたコミックを見たことがあり、そこには「大阪と言えば甲子園」「大阪と言えば宝塚歌劇」と、よりによって大阪の若者が言い合っている(コナン君がぼそっと「どっちも兵庫県じゃねえか」と、きつい関東弁で言うのですが)場面がありました。
つまり宝塚歌劇までが大阪扱いされているわけです。「大阪と言えば大阪ドーム」「大阪と言えば文楽」ですけどねえ。
関西地方は京都と大阪という個性的な「府」があり、兵庫「県」はワンランク下に見られてかなり影が薄いのです。
ただ、私はそんな兵庫県を愛する者で、京都、大阪、神戸の街なら一番好きなのは神戸です。下町のちょっと怖そうなところもあり、中心部には山側にも海側にも異国情緒の漂う場(異人館、外国人居留地、中華街、教会、モスクなど)があり、東側には高級住宅街があり、港の街で酒の街。とてもすてきなところです。
お願いですから、大阪府神戸市と覚えていらっしゃる方、改めてくださいね・・。
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- [2023/09/26 00:00]
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さくらとラガーマン
私は中学生の時にサッカーに夢中になっていたため、ラグビーについてはよく知りませんでした。高校にはラグビー部があったのですが、当時部員が3~4人で、同級生が部長だったのですが、ほんとうにみじめな「部活」をしていました。グラウンドの片隅で、数人でスクラムを組んで押し合いをしているだけだったのです。ただ、その同級生は学業優秀でとてもきまじめな人で、それを後輩たちと一緒にひたむきに続けているようなところがあり、誰からもバカにされるようなことはありませんでした。試合もできず、あれが続けられるのはたいしたものでした。
授業でも3年生になるとラグビーがあり、私は、体重はまったくないのですが、背が高いというだけの理由でスクラムを組むFW役が当てられました。細かったとは言っても、上背がなくて太った人くらいの体重はありますので、そんなに押し込まれることはなかったと思います。
あれはなかなかおもしろい競技で、前に進むのに、ボールを
前に投げてはいけない
という逆説的なルールがあって下手なチームがボールを回すとどんどん後退していくような滑稽さもありました。
さて、今年はバスケットボールに続いてラグビーのワールドカップもフランスで行われています。前回は日本で行われましたので、にわかファンがどっと増えて、しかも日本チームが健闘したので大きな盛り上がりを見せました。ラグビーというと、アイルランド、南アフリカ、フランス、ニュージーランド、イングランド、スコットランド、ウェールズなどのチームが思い浮かぶのですが、ユニフォームもそれぞれに特徴があって、一番よく知られるのはオールブラックスことニュージーランドの黒でしょう。彼らは同国の民族舞踊の「ハカ」のひとつである
カ・マテ
を試合前に披露することでも知られます。「カ・マテ、カ・マテ、カ・オラ、カ・オラ」という切実なまでの激しい叫びが民族舞踊らしさを醸し出します。
一方、日本チームは日の丸と同じ色の「赤と白」の横ストライプ(日本風にいうとボーダー)のユニフォームでとても明るい感じです。左胸には桜のエンブレムが入っていて、いかにも日本という感じです。
ニュージーランド代表は「オールブラックス」、南アフリカ代表は「スプリングボックス」、イングランド代表は「レッドローズ」、オーストラリア代表は「ワラビーズ」などという愛称を持っています。それに対して日本代表の愛称は「チェリーブラッサムズ」「ブレイヴブラッサムズ」などと言われているようです。桜のように華やかに咲いて潔く散る、というとなんだか「武士道」そのものですね。
そういえば、メンバーは集まりませんでしたが、あの高校時代の同級生ラガーマンにも桜のような潔さがあったと思います。
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- [2023/09/25 00:00]
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2023年8,9月 文楽東京公演千秋楽
文楽東京公演が千秋楽を迎えました。これをもって初代国立劇場における文楽本公演とはお別れということです。演者さんがやりやすいとおっしゃっていた今の小劇場の規模が守られることを願います。
呂太夫さんがおっしゃっていましたが、初代国立の最初の公演(こけら落とし)でも三番叟が上演されましたが、そのとき翁を語られたのは十代豊竹若太夫。そして最後の翁を呂太夫さんが語られたのは何か因縁めきます。
咲太夫さん、どうかお元気になられますように。
私もいろいろ思い出がある場所だけに、いくらかは寂しい気持ちにもなります。
御覧になった方はいかがでしたでしょうか。
一年はほんとうに早く、次の本公演は大阪では年内最後です。
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- [2023/09/24 00:00]
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それは技術に過ぎない
数学者の岡潔さんが前世紀の科学のなしたこととして「破壊」と「機械的操作」を挙げていらっしゃったことは少し前に書きました。
科学と戦争は密接な関係にあって、あたかも科学者は戦争をするために研究しているかのように見えることがあるかもしれません。しかし本来、科学者というのは、自分が疑問に思うことを学問的な手続きを踏まえたうえで解き明かしていくことに人生を賭けている人たちのことでしょう。私にはわからない、数学の難問を解き明かすことに夢中になる人がいるのは、実は科学者の本来の姿なのだろうと思います。
最近私のような文学の勉強をしてきた者がしばしば言われる
「世の中の役に立たない」
といういやな言葉は、何も文学だけではない、基本的にはすべての科学者に当たるかもしれません。たとえ役になんて立たなくても本気で勉強する人にとってはそんなことどうでもいいことではないのだと思うのです。
ところが、文学の場合はどうあがいても「役に立たない」のに、サイエンスのほうは結果的に「役に立ってしまう」ことがあります。例えば兵器を造ることを目標に研究していたわけでもないのに結果的にそういう形で「役に立ってしまう」わけです。そして、多くの報酬が得られることもあり、名誉という意味でも魅力的。時の権力者にもてはやされて、行きつくところは
御用学者
ということになります。そういう人は、科学者としていつの間にか道を外してしまったように感じます。思えばあのノーベル賞のアルフレッド・ノーベルもダイナマイトなどの発明で巨万の富を得て、「死の商人」とまで呼ばれたことがありました。私が子どものころ、ノーベルはダイナマイトを作ってそれが兵器に使われるとは思わず、悲しくてノーベル賞を設けた、という美談を聞かされた覚えがあるのですが、どうもそうとは言えないようです。
「結果的に役に立ってしまった」というと、原子爆弾がまさにそれで、なにも爆弾を作ろうとして研究していたわけではないのに結果的にそちらに持っていかれてしまったということではないでしょうか。最近読んだ池内了『科学者と戦争』(岩波新書)では、原爆の開発は、「原子核物理学」(何のことか知りません)の原理が分かったうえで「爆発物として実現する技術の開発」であったと記されています。ドローンでもそれが軍事に用いられるのはやはり「技術」です(これも池内氏の本に書かれています)。「科学技術」という言葉があるように、科学は技術の上なのかというと、そうでもなさそうです。池内さんは「科学は技術に従属するのが当然とされてきた」とおっしゃっています。そういえば「人形浄瑠璃」というのもあくまで浄瑠璃があっての人形芝居です。初代玉男師匠は「きつねうどんはうどんが主役」とおっしゃっていました。
文学の研究などはどんな技術を使っても原爆を作ることはできませんから、権力者にとってはどうでもいい(笑)学問に思えるのだろうかとひがんで(笑)しまいます。いや、実は嬉しいことですけどね。
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パインアレ
阪神タイガーズの岡田監督は、マン・オブ・ザ・関西2023でしょう。全国的にはそこまで話題になっていないかもしれませんが、関西では六十代も半ばの現役最高齢監督が時の人になりました。この人はけっして話し方も流麗ではなく、愛想がいいわけでもなく、特に男前というわけでもないのです。子ども野球チームの監督のような雰囲気でありながら、あれよあれよというまにアレ=優勝をなしとげてしまいました。この人が昨年の秋に監督になるという話が出た時ときには「今さら岡田さん?」「もっと若い人を」「地味で冴えない」という声があったのですが、勝てば官軍というか、今や称賛する人ばかりです。これでもし日本一を達成しようものなら、さらに人気が高まるでしょう。阪神というチームは、50本ホームランを打つとか、首位打者になるとか、15勝したり沢村賞を取ったりするような絶対的な選手がいません。それだけによけいに岡田さんが表に出てきているように思います。
メディアも岡田さんのどこかとぼけたような物言いを旨く記事に取り入れました。岡田さんは「ウン」というかわりに鼻に抜けるような「オン」に近い発音をされるようです。これを
「おーん」
と平仮名の長音で表記して記事にそのまま使うのです。これが岡田節として定着しました。監督が記者と話すときに「それはね、君」と言うことがあるでしょうが、岡田さんは「そら、おまえ」とおっしゃり、これもそのまま記事に取り入れます。新聞記事にするときは字数を節約するために、こういう合いの手のような言葉は省いてしまいますが、ネット記事ならさほど気にすることはありません。新聞記事なら「もちろんです」とでも書きそうな味も素っ気もない言い方を、お話になる言葉そのまま「そら、おまえ、決まっとるやないか、おーん」などと書くわけです。こういうものの言い方が関西人、特に大阪の人の気質によく合うのではないかと思います。
今は地上波のテレビ、BS、ネットなどでほとんど毎試合放送もありますから、ベンチの監督の表情が細かく伝わります。
その中で岡田さんがときどき飴を口に含む場面が映ります。岡田さんのお好きな飴で、大阪に本社のある
パイン(株)
という会社が製造販売している「パインアメ」がそれなのです。パイナップル味の飴なのですが、形も食べられるサイズに切ったパイナップル型、わかりやすくいうとドーナツ型になっているのです。以前、テレビの番組で岡田さんがインタビューを受けたときにこの飴が好きだとおっしゃったらしく、それを聞いた会社側はさっそく岡田さんに大量の飴を送ったそうです。その結果毎試合岡田さんが飴を舐める場面が映り、ファンもそれに追従するようになってとんでもない人気を博したのです。広告費を出さなくてもメディアは勝手に取り上げてくれるわけですから、飴の会社としてはこのうえない宣伝になります
そして優勝すると「パインアメ」に「優勝」の意味の「アレ」を掛けて「パインアレ」という商品を発売、巾着のような入れ物に飴が入ったものなのですが、これがあっという間に売り切れたそうです。飴は舐めれば終わりですが、この巾着は「レアもの」としてファンは大事にするのではないでしょうか。ファンも飴を舐めたいわけではなく、記念に欲しがるわけですから。
こういうことを含めて阪神の優勝は関西に大きな経済効果をもたらすようです。
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