六代 豊竹呂太夫 襲名を祝う会 

3月19日(土)、大阪のホテルニューオータニで、豊竹英太夫改め

     六代 豊竹呂太夫 襲名を祝う会

がありました。
桂南光さんが進行してくださって、とても和気藹々とした会だったそうです。
フェイスブックなどに出席された方々の写真がずいぶん上がっていましたので、私もその雰囲気だけは味わうことができました。
出席者は各界の著名人が多く、さすがに英太夫さんはお知り合いが多いのだな、と感心します。
私は体調不良で、たぶんホテルまでたどり着くことができなかった(笑)と思いますのであきらめたのですが、行かなかったのは正解だったように思うくらいの錚々たる出席者の集まった賑々しい会だったようです。もし行ってたら場違いだっただろうな(笑)、と思いました。
『文楽 六代豊竹呂太夫 五感のかなたへ』は

    114冊

売れたそうです。
お求めくださいましたみなさま、ありがとうございました。あと100回くらい別の方をお招きしてパーティをしてくださったらベストセラーになったかも(笑)。
本のことはともかく、この慶事を蔭ながらお慶び申し上げることに関しては人後に落ちることはないつもりでした。英太夫さんがますます大きな太夫になられますよう、期待しております。
このあと、東京でもおこなわれ、おそらく英さんの呂太夫としての精進の決意はさらに確固たるものになっただろうと思います。
ひとつ気になるのは襲名公演前の英太夫さんのご多忙のご様子なのです。
肝腎の公演は間もなく始まります。どうかお疲れが出ませんように。

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かっこいい引退(2) 

松香太夫さんは春子師匠が亡くなった後、南部太夫師匠門下になられたと思うのです。
それで、竹本南都太夫さんの結婚式にも出ていらっしゃいました。
実は南都さんの結婚式には私も出していただきましたが、そのとき、咲師匠ご夫妻、咲甫君(まだ10代の少年でした)らと同じテーブルだったのです。そして松香太夫さんも私の真向かいにいらっしゃいました。
スピーチも

    きわめてまじめ

で、周りの人と談笑されるというより、ずっと緊張したような硬い表情をなさっていました。
いかにも松香さんらしく感じました。
松香太夫さんは、本公演では端場とか掛け合いが多かった方でしたが、以前はよくNHKのラジオに出演され、「尼崎」などの大曲も語られました。
下手くそどころか、


    義太夫節の肝要

を押さえたきちんとした語りだったと思います。こういう方がもっと評価されてもいい、と思いました。
『東海道中膝栗毛』では笑わせていただきましたし、「長町裏」の義平次は憎たらしかったです。
同じ春子師匠門下の英太夫さんが襲名される直前の引退、文楽劇場ではなく気楽な会での語りで最後、しかも「雪転し」。
こういう引退もあるのだ、と記憶したいです。
そんなかっこいい引退だと思います。

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かっこいい引退(1) 

この3月をもって、文楽のベテラン、豊竹松香太夫さんが引退されます。
豊竹松太夫(のちの三代竹本春子太夫)に入門されて松香太夫。時にお顔を紅潮させて熱演されるので「まっか太夫」でもいらっしゃいました。
昨日(2017年3月18日)夜、某所で『仮名手本忠臣蔵』九段目の口、「雪転し」を語られたのだそうで(三味線は野澤喜一朗さん)、お聴きになったFacebook友だちの方からその様子を教えていただきました。
何でも、開演前にタバコをプカプカ吸っていらしたそうで、その方は驚かれたそうです。松香さんにうかがうと「春子師匠は酒もたばこもやっていらっしゃいました」とおっしゃったそうで、これまたびっくり。
選ばれた曲が「尼崎」とか「沼津」とか、そんな大曲ではなく「雪転し」というところが松香さんらしくていいな、と思います。
松香さんはとても謙虚な方で、いつだったか、たまたま用のあった文楽協会の部屋でばったりお会いしたとき、「松香さを、この間の◯◯、聴かせていただきましたが、すてきでした」と申し上げたら、照れ笑いされながら「いや、私は下手くそでございますから」とおっしゃったことがあり、お人柄がよくわかりました。なんでも、昨日も「私より若い人の方が上手です」とおっしゃったそうで、松香さんらしいな、と思いました。

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参考文献(2) 

多くの先人のご研究や調査の恩恵を受けてきたのですが、英さんの場合はクリスチャンということもありますので

    聖書

もずいぶん読みました。家の勉強机の横に常備し、仕事場でもすぐ後ろの本棚にひとつ。新約聖書だけの簡易版はトイレに(笑)置いていました。もともと聖書は好きでしたし、大学時代には勉強会にも参加しましたし、宗教画が好きですのでそれに絡めて読むことも多いのです。信仰があるわけでもないのに何の抵抗もなく読めたのはそういう経験があったからだと思います。
それ以外にも、ネットで調べられることが多くてありがたかったです。文化デジタルライブラリはもちろんのこと、国立国会図書館、早稲田大学演劇博物館ほかの公開資料には助けられました。たとえば若太夫師匠のお話の中で

    『敵討稚文談』

だとか『迎駕野中の井戸』などという作品が話題になるのですが、さてどんな話なのかわかりません。あらすじくらいは調べればわかるのですが、それでは不十分で、やはり全文を読まねば責任を持って書くことができません。しかしそんな文献はないのです・・・と思いきや、ネット上にこれらの稽古本がすべて掲載されていて、あの独特の字は読みにくいですが(笑)、何とか頑張って読むことができたのです。とてもありがたかったです。
私は専攻する時代がまったく違いますが、文献を大事にする姿勢だけは共通ですから、鍛えてくれた恩師に改めて感謝しています。

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参考文献(1) 

研究者にはいろんなタイプがあって、フィールドワークを主とする方、実験に重きを置く方、そして文献によって勉強する方もあります。私はほとんど文献で、いくらかフィールドの要素が加わるという感じです。実験はありませんが、時々人形で実演はしています(笑)。
私が仕事場の図書館に入り浸っているのはそういう理由からで、文献を重んじる姿勢は学生時代に教え込まれたものです。当然、誰がいつどういう文献でそういうことを言っているかをきちんと整理することも大事で、他人の論文などを盗用することなどあり得ません。

英太夫さんの本を書いている過程で、いろいろな参考文献に目を通しました。何と言っても

    『義太夫年表』

は強い味方でした。初演のことを調べるだけでなく、明治以降の代々の呂太夫について調べる上でも常に参考にしていました。
過去の文楽のプログラムも当然有益でした。先人の書かれた文楽関係の書籍、たとえば三宅周太郎さん、石割松太郎さん、木谷蓬吟さん、安藤鶴夫さん、武智鉄二さん、山口広一さん、吉永孝雄さん、ドナルド・キーンさん、山田庄一さん、高木浩志さんなどなどのご著書にも導かれました。これまでに書かれている技芸員さんの芸談など(山城少掾、八代綱、栄三、文五郎、越路、津、住、五代織、初代玉男、簑助、その他)も大いに参考になりました。小さな公演のプログラムも文楽劇場の図書閲覧室で探して見せていただきました。こういうものは見ているうちに

    「へーっ」

と思うことが次々に出てきて、本来の目的以外のことにばかり目がいってしまう傾向にあり、困ったものでした。昔の写真が出てきたらもうダメです。若き日の住師匠とか、嶋師匠とか。楽しくて楽しくて(笑)。大掃除をしている時に昔の写真が出てきてしばらく見入ってしまうことがありますが、あんな感じです。
歴史を考えるに際しては単に文楽のことだけでなく、地域史とか風俗史とか、社会史とか、経済史とかいろんな観点から文献を探しました。実際に使ったのはごくわずかですが、勉強にはなりました。

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