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三連覇 

関西では阪神タイガーズの優勝で大いに盛り上がっています。テレビなんて連日「なぜ阪神は強かったのか」のような番組でファンの方々に観てもらおうということのようです。アレがどうした、アメがこうしたの繰り返し。しかし、何か忘れちゃあいませんか、ってんだ。
9月20日。きょう勝てばオリックスも優勝という日。テレビ欄を見たら、地上波ではどこもかしこも放送がありませんでした。関西では阪神の試合はかなりの数が地上波で放送されます。以前はオリックスの試合もテレビ大阪が稀に放送していたのですが、やはり誰も観ないのか、一切画面に出てきません。かろうじて

    NHKのBS

が中継していました。
関西以外の方には阪神とオリックスの落差が実感としてわかっていただけるかどうか。
もちろんプロ野球チームの多い関東(横浜、読売、ヤクルト、千葉ロッテ、西武)でも差があるでしょうが、関西は2チームの格差ですから、とても大きく感じてしまうのです。
さて、その試合は、途中まで劣勢で、これは後日のことになるなと思っていたのですが、7回2アウトから一気に逆転。終わって見れば6-2という差がついて、見事に三連覇を成し遂げました。
そのあと、Facebookを覗いたのですが、だぁれも話題にしていませんでした。ここは私が書くしかない、と記事を載せたのですが、

    「いいね!」

の数が、平素いただけるおよそ半分くらいにとどまりました。やはり興味ないんですね。
私個人も、阪急ブレーヴズ以来のファンというだけで、ほんとうはせめて神戸に本拠を置き続けてほしかったのです。ところがオリックスの本社が大阪市と妙に仲良しみたいで、カジノでもうけましょう、という話になっているのでしょう。球団もあっという間に大阪に行ってしまい、本拠は大阪ドーム、そしてカジノ予定地(夢洲)の隣の舞洲に大きな球場が建てられました
チーム名もいつのまにか元の大阪の球団だった近鉄バファローズを継承した感じで、優勝した翌日からは近鉄百貨店がセールをしていました。
そういうことは置いて、選手は魅力的な人が多く、山本、宮城、山崎(福)、田嶋、山下、東、曽谷らの先発投手に平野、山岡、山崎(颯)、宇田川、阿部、小木田、比嘉らの救援陣。野手では頓宮、杉本、宗、中川、紅林、若月、安達、茶野、そして移籍してきた森ら。
そして、何と言っても中島聡監督の采配がすばらしいです。
中嶋さんという人は阪神の岡田監督とはまるでタイプが違って、秋田出身の朴訥な人。一方、都会育ちとはいえ「大阪のおっちゃん」である岡田さん。でも両者ともなかなかの名将だと思います。
これで日本シリーズが広島対ソフトバンクなどになったらもう最悪ですけどね。

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久しぶりの大阪歩き(3) 

産湯稲荷神社とは奇妙な名前です。実は神社本堂に向かって右手の少し階段を下りたところに覆屋が見えそこには井戸があります。これは玉ノ井とも呼ばれていて、このあたりを開拓したとされる大小橋命(おおばせのみこと)がこのあたりで生まれて、玉ノ井の水が産湯に使われたというのです。
玉ノ井のさらに奥(東側)には不動明王も祀られています。私はもう少しゆっくり見ていたかったのですが、蚊が多くてじっとしていられず、また別の季節に再訪しようと思って早めに切り上げたのです。ここからはJR鶴橋駅が近いので帰ろうとは思ったのですが、何となくもう少し歩きたいという気持ちになって、味原池のあったあたりから府立高津高校の西側を通って円珠庵(天王寺区空清町)に向かいました。遠回りをすればずいぶん前に訪ねた梅川忠兵衛の供養墓(天王寺区城南寺町)もあるのですが、それはやめておきました。
円珠庵に行くのも何十年ぶりだと思います。時刻がすでに5時を過ぎていましたので中には入れませんでしたが、学生時代にとても敬愛した国学者の

    契沖

が住まいとした寺で正式には鎌八幡と言われます。最近、見学者のマナーが悪いそうで、境内では写真を撮ることはできません。昔は撮れたような気がするのですが、違ったかな? 契沖という人はほんとうにたいした勉強家で、『万葉代匠記』『勢語臆断』『古今余材抄』などの著書を残しています。私の場合は、特に『勢語臆断』『古今余材抄』に、学生の時以来ずいぶんお世話になりました。
以前渡舎このブログで学生時代に恩師に唯一認めてもらったのは「解釈力」だった、ということを書きましたが、契沖にしても賀茂真淵にしても本居宣長にしても、とにかく解釈力がすぐれていたと思います。それだけに私は契沖には(能力ははるかに及ばないですが)親しみを覚えます。
さて、こんなもので帰ろうかと思ったのですが、ここまで来ると玉造駅まで行かねばならず。それならついでに、と、さらに少しだけ遠回りすることにしました。大坂城の出城である真田丸の跡地とされる明星学園という私立の中高があります。その学校の南から東へ回るように歩くと、私には記憶がないのですが、真田丸の顕彰碑というのがあるようですので、そこを目指しました。
途中には

    木村兼葭堂

の墓所である大應寺があり、ここにも谷文晁画の兼葭堂の肖像をもとにした案内板が建てられていました。そしてしばらく歩くと真田丸顕彰碑がありました。知らなかったはずで、1916年に建てられたそうです。実はこのすぐそばの心眼寺門前にも「真田幸村出丸城跡」の碑があるのですが、うっかり通り過ごしてしまいました。私は武士にはあまり関心がないので、気にしていませんが(笑)。
さて、あとは玉造まで一気に行こう、と思って歩いているとどんどろ大師(善福寺)に出くわしました。ああそうか、こんなところにあるのか、とちょっとびっくり。以前ここに来たときは西から歩いてきたのですが、今回は南からでしたので、ここに至るとは知りませんでした。どんどろ大師は大坂城代だった土井利位という人物が熱心に通った真言宗の寺で、「土井殿の通ったお大師様の寺」が「どいどの大師」になって、それが訛って「どんどろ大師」になったと言われます。
歌舞伎では「どんどろ大師門前の場」として、『傾城阿波の鳴門』の舞台となっています。ここでお弓とおつるが出会うのですね。そこでこのお寺の門の左側にはお弓とおつるの像が置かれているのです。とても久しぶりに訪れたためか、何だか以前とイメージが違っていました。久しぶりの場所って、既視感とともに違和感もあるように思います。
こうして、私の久しぶりの大阪歩きは終わり、玉造駅まで歩いて大阪環状線に乗ったのです。

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仲秋の名月2023 

本日、9月29日(金)は旧暦では八月十五日に当たります。ということは仲秋の名月です。神戸では、月の出が17時51分だそうで、18時を過ぎると建物の上に出始めることでしょう。
今年は8月末(旧暦七月十五夜)がスーパームーンとか言ってとても大きく見える月だったようで、仲秋の名月がもっとも明るいというわけではないようです。しかし、蒸し暑くも寒くもないこの時期の月こそ、観賞するのにもっともふさわしいのでしょう。
歌川広重の短冊絵に

    月に雁

があります。
満月と交差するように雁が描かれたものですが、この「月」と「雁」との組み合わせは古くからあるもので、『古今和歌集』に

 白雲に羽うちかはし飛ぶ雁の
  数さへ見ゆる秋の夜の月
 さ夜中と夜は更けぬらし
  雁がねの聞こゆる空に月わたる見ゆ

があります(どちらも「よみびと知らず」)。前者は明るい月ゆえに雁の数まで見えると言っています。白い雲に浮かび上がるような雁が月の明るさでよく見えるのです。雁は秋に渡来して春に北に帰りますので、その到来は秋が来たことの証明でもあります。
『竹取物語』ではこの夜に月から迎えがやってきてかぐや姫は去っていきます。市川崑監督のものはUFOに乗って、高畑勲監督のアニメでは

    弥陀の来迎

のようなお迎えがやってきました。
先だって、インドが無人探査機の月面着陸に成功したというニュースがありましたが、こういう話を聞くと、夢のある話とも絶望的な話とも思えます。かぐや姫は暮らしていない、餅をつくウサギなどいない、という、「実は誰もが知っている」のに「心のどこかで信じたい」と思っていることを容赦なくそんなものはうそだと決めつけてしまうからです。科学の発達は希望と絶望の両面を持っているように思うことがあります。絶望のもっともわかりやすい例が原子爆弾であることは言を俟たないでしょう。
科学が夢を膨らませてくれる反面、人類の存続を窮地に追い込む可能性を持つことは今や常識だと思います。
  科学とは夢と絶望
   月面に無人探査の機械が降りる

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久しぶりの大阪歩き(2) 

小橋という地域はわりあいに広くて、JR鶴橋駅を挟んだ東西に及んでいます。東側は東成区東小橋というところで、天王寺区小橋町は近鉄電車の線路を含む北側です。『迎駕籠死期茜染』のいう野中の井戸がどこにあったのかはわかりませんが、とりあえず小橋町をぐるりと歩いてみました。地図でわからなかったのは、東に向かって下り坂になっていること、言い換えると西の方(産湯稲荷神社のあたり)がやや丘陵地になっていることでした。大阪は上町台地の東西が低くなっていますから、下り坂になるのは当たり前なのですが、実際に行くまでは実感がありませんでした。
小橋町の北には大正時代まで味原池があったのですが、この池とともに丘陵地は桃の林として景勝の地であったそうです。
伝染病治療のための施設であった桃山病院(天王寺区筆ケ崎町。今はない)の名称もこの桃の林に由来するのかもしれません。小橋町の最寄り駅であるJR「鶴橋」のひとつ南側の駅は「桃谷」ですが、この駅は本来大阪鉄道の

    「桃山」駅

だったそうです。のちに大阪鉄道は合併して関西鉄道になり、さらにその後、関西鉄道は奈良鉄道も合併します。ところが奈良鉄道にも桃山駅(伏見桃山の「桃山」)がありますので、もとの大阪鉄道の駅が「桃谷」になったのだそうです。
産湯稲荷神社の所在地は、もとは比賣許曾(ひめこそ)神社があったところ(今は東成区に移転)で、産湯稲荷はその境外末社だったそうです。
「稲荷俥」という落語があります。もともと上方のものですが、江戸落語にも移され、そちらでは上野から王子稲荷まで俥に乗せる話にされました。上方では桂米朝師が戦後に復活されたのですが、その内容は次のようなものです。
高津で客待ちをしていた梅吉がある人物に「産湯まで」と頼まれ、あのあたりは狐が出るから、とためらいつつも30銭出すといわれて乗せることにします。梅吉が身の上話などをしているうちに産湯の森が近づいてきます。梅吉は狐が怖くて「もうこの辺で」というと、男は「私は産湯の稲荷のお使いの者(狐)だ」と言い、目的地まで生かせたあげく、「お前は正直ものだ、近い内に福を授けよう」といいかげんなことを言って車代を踏み倒して去っていきます。梅吉が帰宅して妻に事情を話しますが、妻はもちろん信じません。ところが俥の中を見るとそこには150円という大金がありました。男の忘れものです。これは警察に届けねばと彼女は言いますが、梅吉は「稲荷様のお恵みだ」と言って近所の人を集めて酒宴を始めます。一方くだんの男は150円を忘れたことに気付き、乗り逃げしただけに警察にも行けず、身の上話の途中で聴いた俥屋の家(高津四番町)に行きました。梅吉はお稲荷様のお越しだと言って大喜びして酒をふるまおうとします。男は「穴があったら入りたい」というのですが、梅吉は「とんでもない、お社を建ててお祀りします」。
落語と言えば、小佐田定雄さんの新作落語にも

    産湯狐

があります。こちらは桂枝雀さんがお話しになりました。
極道者の息子の吉松が家を飛び出したあと、その母親のお米(およね)が「吉松が無事に戻りますように」と毎朝お膳を産湯稲荷に供えに行くようになって、風邪気味なのに無理を押して行ったところ、倒れてしまいます。長屋の隣の男が明日からは代わりにお膳を供えてやると約束して、妻のお咲(おさき)に頼みます。お咲も承知してお膳を供えるのですが、夕方御膳を下げに行くとカラになっています。宮司さんの話では、狐の仕業だろう、ということでした。
そんなある日の夜中、お米婆さんの家からお米と若い男の声が聞こえてきました。長屋の薄い壁に穴をあけて覗くと、そこには吉松がいたのです。翌朝、事情を聴くと吉松が帰って看病してくれたとのことでしたが、吉松はまたどこかへ行ってしまったとのことです。
その夜、また吉松が来ているようです。雪の降る早朝、男は吉松と話をしようと思って隣に行きますが、また吉松はいません。おかしいと思って外を見ると、狐が一匹屋根から屋根へと飛ぶように去っていくのが見えました。
そんなお話です。「きっちゃん」と呼ばれる「きちまつ」は、もちろん「きつね」をもじった名前でしょう。

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大阪府西宮市 

九州とか東北などの人は、西宮市、芦屋市、宝塚市などといっても、それがどこにあるのかご存じでない方が多いと思います。私の兄は九州でしばらく生活していたのですが、「西宮は大阪だ」と思っている人がとても多かった、と言っていました。九州のように遠方でなくても、「西宮市がどこにあるかなんて知らない」という人はかなりいらっしゃると思います。それは当然で、私でも「宇都宮市が何県か」と問われたら瞬間的に「えーっと、群馬か栃木だったような」といういい加減さです。まして「川越市は?」「志木市は?」「桐生市は?」と聞かれてすぐに答えられる関西人は多くはないでしょう。
阪神タイガーズが優勝しましたが、このチームは本社が大阪市にあって、本拠地は兵庫県(!)西宮市にあります。しかし、全国的には

    大阪の球団

と思われているでしょう。
だって、優勝したら武庫川(西宮市を流れる川)ではなく道頓堀(大阪市の運河)に飛び込む人がいて、パレードと言ったら大阪市の御堂筋でおこなったりしますから。広島カープが優勝したというので山口県の川に人が飛び込んだというのではニュースになりませんし、岡山県でパレードをするかというとちょっと考えられません。しかし、阪神はやはり「大阪のもの」という意識の人が多いのでしょうね。しかし、パレードというなら、兵庫県神戸市も黙ってはいません。以前もフラワーロード(神戸市役所や東遊園地などに沿った道)でパレードをしたことはあるのですが、今回も意欲を持っているようです。大阪の知事と兵庫の知事は同じ政党のお友だちですので、けんかにはならず、

    「一緒にやろうね」

ということになるかもしれません。
オリックスも今は大阪が本拠地ですが、もともとは神戸なのです。しかし、あまり話題にならないのは、阪神人気とは比較にならないからでしょう。
うちの長男が『名探偵コナン』が大好きなのですが、彼の持っていたコミックを見たことがあり、そこには「大阪と言えば甲子園」「大阪と言えば宝塚歌劇」と、よりによって大阪の若者が言い合っている(コナン君がぼそっと「どっちも兵庫県じゃねえか」と、きつい関東弁で言うのですが)場面がありました。
つまり宝塚歌劇までが大阪扱いされているわけです。「大阪と言えば大阪ドーム」「大阪と言えば文楽」ですけどねえ。
関西地方は京都と大阪という個性的な「府」があり、兵庫「県」はワンランク下に見られてかなり影が薄いのです。
ただ、私はそんな兵庫県を愛する者で、京都、大阪、神戸の街なら一番好きなのは神戸です。下町のちょっと怖そうなところもあり、中心部には山側にも海側にも異国情緒の漂う場(異人館、外国人居留地、中華街、教会、モスクなど)があり、東側には高級住宅街があり、港の街で酒の街。とてもすてきなところです。
お願いですから、大阪府神戸市と覚えていらっしゃる方、改めてくださいね・・。

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