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錦秋公演開幕 

いい響きですね、本日初日を迎えるのが

    錦秋文楽公演

です。
でも、「文楽錦秋公演」ではないのですね。

古来もみじは「紅葉」「黄葉」などと書き、しかも常緑樹の緑もあって、山は本当に美しい錦に染まります。こういう美意識はすばらしいですね。
そんな中でおこなわれるのがこの錦秋公演です。
演目は

    心中天網島

    芦屋道満大内鑑

をたっぷりと。
皆様はいつおいでになるのでしょうか?
平日派の私ですが、ふと気がつくとこの公演に関しては日程の都合で土日に行かねばならなくなりそうです。木曜の夜以外は全て授業その他の予定が詰まっているのでした・・・。

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ああ、断酒ing 

今週からまたまた Dancing いやいや、そんな優美なものではありません、

    Danshing

に突入しました。
意味不明ですか? 要するに断酒ですね。
医者に止められているわけではありません。そもそも私は医者からアルコールを止められたという経験はありません。タバコは禁止されていますが、禁止されるまでもなく一切吸わないのですからこれも問題はありません。
すべて

    自己管理

で「そろそろやめよう」ということになるのです。
花の11月(笑)を目前にしてなんとも残念です。
11月はとにかく忙しく、文化の日の入試を皮切りに公開講座が始まり、学内学外での講演が3回、勤労感謝の日は授業、出勤予定日数は23日。それに文楽が絡んできます。
以前ならなんてことはないのですが、今やフラフラの状況ですので、とにかく節制第一です。

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70年の功労 

上方の芸能を愛する者にとってはなんとも嬉しい新聞記事でした。

落語家としてははじめての文化勲章受章者となられる

    桂米朝師匠

のことです。今年は入院されることもしばしばで、いささか気になってはいましたが、お元気なご様子でインタビューに答えていらっしゃるのが心強いです。
昨日、授業中にその話題を取り入れたのですが、学生の反応は芳しくなく、中にはアメリカと北朝鮮の話と思っている者もあったかも知れません。
米朝師匠の業績は著述の部分でも並外れており、文句のつけようのない堂々たる文化勲章かと拝察致します。

    坂田藤十郎丈

も同時に受章とのこと。おめでたいことです。

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道満と晴明 

私にとって、「道満」という人物はまず

    宇治拾遺物語

に登場する「道摩法師」でした。
藤原道長に恨みを持つ藤原顕光(あきみつ)が道摩法師に依頼してまじものを埋めたという話です。
道長の愛犬がそれを察知して、あの有名な陰陽師安倍晴明が事実を解明したというものです。
この道摩=道満と言われています。

こんな話もあります。長持に大柑子16個を入れ、この中に何が入っているか当てろ、と道満と晴明が命ぜられ、道満はすぐさま「大柑子16個です」と答え、晴明は

    ねずみ16匹

と答えます。
それを見ていた貴族たちは中味を知っていましたので、道満の勝ちだと思いました。で、長持を開けてみると、晴明が術をもって大柑子を鼠に変えていて、チューチューと鼠が走り回っていました。

このように、道満と晴明はライバルということになっていますが、晴明=正義、道満=邪悪というイメージが作り上げられて、二人の関係はさらに伝説化していきます。

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摩訶不思議な邦楽 

文楽の話ではないのですが、面白い「邦楽」をご紹介します。
私の知り合いで、というか、ご存じの方もいらっしゃるのではないかと思うのですが、細田明宏さんさんという方がいらっしゃいます。
頭脳明晰、人格温厚、謙虚でさわやか、それでもどこか摩訶不思議。浄瑠璃の研究者で、現在東京の某大学の先生をされています。
特に

    壺阪観音霊験記

についていろいろ論文を書いていらっしゃるのです。
実はこの方は、もうひとつとてもユニークな、本当にユニークな『顔』をお持ちです。

    邦楽の演奏家

なのです。
それのどこがユニークなんだ、と言われそうですが、いえいえ、本当にユニーク。
現代邦楽の真骨頂というか、なんとも摩訶不思議な歌を作られるのです。
かつてCDをいただいたことがあるのですが、演奏技術がすばらしいだけでなく、その斬新な内容に驚愕したほどです。

どうもわけの分からない話だな、とお思いの方、百聞は一見に如かず、じゃなくて、「一聞に如かず」です。とにかくお聴きになって下さい。

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誕生日は 

私の父親は1月2日が誕生日だったのです。
実際は12月の押し詰まった頃に生まれたそうですが、昔はいい加減ですから(笑)、親がめでたい年明けに届けたのだそうです。
そういえば先代の燕三師匠も同じことをおっしゃっていました。たしか、燕三師匠は1月5日生まれと公称されていらっしゃるはずですが、実際は12月で、役所の仕事始めの日か何かに届けられたとご本人から伺いました。

さて、吉田玉男師匠に似た(笑)私の父は、その1月2日は毎年家にいなかったのです。
どこに行っていたのでしょうか?
正解は

     ゴルフ場

でした。父はゴルフが趣味でしたので、誕生日は自らを祝うべく、家族を見捨てて勝手にゴルフに行っちゃうわけです。
私の子供の頃からそれが習慣になっていましたので、まったく気になりませんでしたが、

    正月に家族旅行

などという習慣はついぞ生まれませんでした。、全く、マイペースな父親でした。

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原作主義 

「心中天網島」は、「河庄」「紙屋内」「大和屋」「道行」で上演されますが、要するに

  心中の約束をした男女が心中した

お話です。
そういってしまえばみもふたもないのですが、そのみもふたもない話をこれだけの名作に仕立て上げたのが近松門左衛門という人の力量というべきなのでしょう。
私も数ある近松作品の中ではやはり一番見ごたえのある名作だと思っています。

紙屋の主人で28になる、もう理性も何もわきまえてよさそうな(今の28歳とは感覚が違うでしょう)治兵衛なる人物。
彼が9歳下の小春という遊女と深い関係になってどうにもならなくなってしまう。
その治兵衛に関わっていく兄、妻、妻の両親(叔母とその配偶者)などが苦悶を重ねつつ、がよかれと思って尽くすのに、それでも心中をとめることのできない不条理。悪人など一人もいないのに。

現行の「河庄」では太兵衛と善六が出てきてあれこれ言いますが、実は私はあってもなくてもいいと思っているのです。「口三味線」というのも、どうもなんだか・・・。以前こういうことを書きましたら、いや、やはりあれはおもしろいというご意見もあってなかなか難しいのですが、もっとさりげなくあの場面は流してしまってもいいと感じています。
「河庄」は改作を用いているためいささか前後の関係もすっきりしません。

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橋尽くし 

十一月公演の定番と言えば

    心中天網島

です。
心中のあった神無月は今の十一月がほぼそれにあたりますから、季節感はピタリです。

「走り書き、謡の本は近衛流」に始まる「道行名残の橋尽くし」はすばらしい文章です。
「この災難に大江橋」「難波小橋から船入橋」「堀川の橋」「聞くも恐ろし天満橋」を経て、

    南無綱島の大長寺

に着きます。
大江橋は御堂筋に今も架かるおなじみの橋です。「災難に遭う」を掛けています。
難波小橋は今はありませんが、蜆川に架かっていた文字通り小さな橋です。この橋を渡ると堂島に別れを告げるわけです。
船入橋は鍋島藩の蔵屋敷(現在の裁判所合同庁舎の場所)の入堀に架かっていたもので、裁判所の正面にはその顕彰碑があります。
堀川にもいくつもの橋が架かっていましたが、大川に最も近いのは大平橋。難波橋からの眺望として十六の橋が見渡せたそうですが、そのうちのひとつです。「東西みな見にきたれ浪花橋 すみずみかけて四々の十六」という狂歌もあったそうです(陰山梅好『浪花のながめ』)。
そして天満橋。「聞くも恐ろし」は「天魔」を掛けているのでしょう。今も谷町筋に架かります。
「数も限らぬ家々を、いかに名付けて八軒屋」という一節もありますが、これは三十石船が着いたところですね。『摂津名所図会』にも八軒屋の賑わいが描かれます。大川の南側(左岸)です。

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水のような 

以前、女性の同僚から「あなたって

    水のような人

よね」と言われたことがあります。
といっても、「不可欠な存在」の意味ではなく、味もおもしろみもない、という意味でした。そう言われると身も蓋も無いのですが、当たっているかも知れません。
彼女が本当に言いたかったのは、「危険を感じない男」ということだったようです。
色気がないというか、つまらない人間だなあ、と呆れられたようです。

私自身は「近づくとあぶないですよ」と思っているのですが(笑)、どうも世の女性からは

    人畜無害

扱いされているようで、かなり不満です!

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これでも授業? 

先日、

    創作と批評

という授業でのことです。当初予定していたのは「批評家はどのような態度で批評に臨んでいるのか」というテーマ。プリントも作って準備していました。
ところが、話のきっかけにと思って映画の話を学生に振ったところ、予想外の展開になってしまいました。

ある学生が「カイジ」を見に行ったというのでその話をしてもらったのですが、そこから次々に話題が出てきて、

  俳優で映画を見るか
  監督で映画を見るか
  CGの面白さとつまらなさ
  映画音楽の楽しみ
  好きなジャンル、苦手なジャンル
  私(ある学生)が洋画を見ない理由
  一人で行くか友だちと行くか
  オススメの映画とその魅力

など、止めようがないほど盛り上がってしまい、ついに90分間学生がしゃべり通しました。
最終的にはみんなで同じ映画を見て話し合いたい、というところに行き着いて、アルバイトのために帰った学生を除いて授業時間後も話が続いたのでした。

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やっぱりビール 

飲みに行く、ということをめったにしない(特に一人では絶対に行きません)寂しい(安上がりな)人間なのですが、家計が苦しくて、家でもなかなかいいお酒を飲むということができません。

    ワイン

は最近400円、500円程度のものでもいいものがあります。
800円も出せば南米のそこそこいけるものを手に入れることができます。
2000円も3000円もするものはめったに買いません。
いいものは知人のソムリエがくれることがありますのでそれを期待するばかり(笑)です。
でも、味オンチの私の場合、普段飲むワインとしては安物でも問題ないのです。

ワインもさることながら、私は

    ビールが好き

なのです。
経済状態からいうと「第3のビール」がいいところなのですが、正直申しまして、あればかりは遠慮したいのです。味がよくなったとは言いますが、とてもだめです。
発泡酒ならいくらかましなので、そのあたりで妥協することが多いのです。
しかしこのところ体調不良のためにめったにお酒を飲むことができません。この10ヶ月で飲んだ酒量など今でもすぐに計算できるくらいしか飲んでいないのです。
それなら飲めるときくらい好きなものを飲もう、と贅沢な気持ちが最近強くなってきました。

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床磨き 

経費節減のためだと思うのですが、勤務先の個人研究室の掃除は自分でするのです。
以前は

    お掃除のおばさん

がマスターキーで入って来て掃除してくれたのですが、今はそれがありません。
物ぐさな私ですが、清潔にしないと学生に嫌われますので、時々思い出したように(笑)掃除します。
先日も朝早く出勤して掃除用具置場をさぐってひとしきりクリーニング。
まずは

    掃き掃除

普段気がつかないところなど、は埃とゴミがいっぱいです。
自分のデスクは汚いままですが(笑)、学生用の机を

    拭き掃除

本棚も埃にまみれていますが、それは次回に回しました(こういうところが物ぐさなのです)。

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評を書くこと(続) 

技芸員さんがいったいどれくらいあの「評」を読んでいらっしゃるのか、私は伺ったことがありません。
親しい人にも「読んでくれてますか?」なんて聞いたことはありません。
時々何かのついでに

    読みました

とおっしゃってくださる事があるくらいです。

以前書いたと思いますが、ある人間国宝の師匠(熊さんの通われる図書館のお近くの方です)からは一度お叱りをいただいたこともあります。それは完全に私の書き間違いでした。お詫びとご指摘のお礼に伺った時、師匠は実に丁寧にご説明くださるために時間を取ってくださいました。後日自宅にお電話下さって

  わからないことはいつでも聞いて下さい

とおっしゃっていただいた時は感激しました。
全然お付き合いがなかったので私のことをご存じないと思っていた技芸員さんから、「いつも僕のことを好意的に書いてくださって嬉しいです」という意味のことを突然言われ、驚いたこともあります。けっしてこの方を「好意的に」書いているという意識はなかったのですが、そのように思ってくださっていたようです。
みなさん、意外に読んでいらっしゃるのかな?

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また来年も 

大学ではそろそろ来年度の授業について詳細が決まり始めています。
学内事情で、私はいわゆる専門科目はほとんど担当することはなくなりそうですが、脚本を作る授業が担当できそうで、さて、これは何をやろうか、と今から楽しみにしています。
もちろん芸大ではありませんので本格的な芝居の本を書くわけにはいかないでしょうが、例えば

  短いアニメ、寸劇、コント

の台本なども考えられます。

ところで、今年限りで文楽人形を遣う

    伝統芸能演習

という授業は最後になると思っていました。
しかし、どうやらもう一年可能になるようです。

少し授業のタイトルは変わりますが、内容はさらに充実したものにできそうです。

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評を書くこと 

文楽の劇評を書けと上方芸能の編集長(現・代表)のMさんに言われた時にまず思ったことは、

  そんなに人材がないのか

ということでした。
長年文楽を見続けて詳しい方なんていくらでもいらっしゃるでしょうに、よりによって私に依頼が来るなんて。
ただ、詳しいことと文章を書くこととは別だとは思います。
Mさんが私に白羽の矢を立てたのは、見識はともかく、文章は

  書き慣れている

はずだ、との見通しがあったのだろうと想像します。そうでないと私に話を持ってきた説明がつきません。
ある程度の年月文楽を見てきて、文章が書けそうな人。まずそういう基準だったのかな?
もちろん私は「文章が書ける」とうぬぼれているわけではありませんが、書いてきたという事実だけは否定するものでもありません。
お粗末な研究歴ではありますが、どうすれば説得できるか、ということを基準に、恩師の学風に従って実証的な研究をしてきました。それだけに、印象批評的な文章を書くことは自分でいやなわけです。

今回、○○大夫さんがいいなと思ったとします。
で、「○○大夫が好演した」と書いても読む人にとっては「ああ、そうですか」という程度の反応しか出てこないのではないでしょうか。どこが、どういう風によかったのかをできるだけ短い言葉で的確に書かねばならないのだろうと思います。
ひとことでいうと

  何に感動したのか

ということになります。

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久しぶりの映画 

夏に体調が悪くなってから、映画を全く見ませんでした。
ペネロペ・クルスも見逃しましたし、絶対に行く、と決めていた「グラントリノ」も見ていません。
とにかく何もできなくなる厄介な状況でした。
せめて少しでも調子のよいときに見ておこうと思うのですが、何かいい作品はあるでしょうか。

たまたま大学の授業で取り上げる必要があったので、ニック・カサヴェベテス監督、キャメロン・ディアズ、アビゲイル・ブレスリン主演の

  My Sister’s Keeper (私の中のあなた)

を見てきました。
白血病の姉のためにドナーになるべくこの世に生を受けたというアナ(アビゲイル・ブレスリン)が姉に必要な腎移植を拒み、裁判を起こします。そこにある秘密が隠されているわけですが、その裁判を脇筋に置いて、家族が家族を愛する、あまりにも当たり前のことに苦しまざるを得ない人々の心を描いていきます。

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こする 

いささか気分のすっきりしない日々。
いろんなストレス発散法があると思うのですが、私は先日ひたすら

    こすって

発散しました。
別に車を傷つけたわけではありません(笑)。
風呂場の掃除をしたのです。

カビ落としの薬液を使いつつ、必要に応じて何も考えずにこする。呼吸器の弱い人間ですので、換気してマスクとタオルで口を覆って、手にはもちろんゴム手袋。
家の風呂は親の趣味で広めに作ってあり、しかも換気などあまり配慮されていないので、カビも、垢汚れもかなりひどい状態でした。
私はこういうことが割合に好きで、子供の頃も年末の大掃除など兄妹が何もしないほうだったのに、私は

    家中を磨く

のが恒例になっていました。
親に褒められようとか家をきれいにしようとかそういうのではなく、ただただ何かに集中するのが好きだったのかもしれません。

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ハーブ 

あまりしゃれたことはできないのです。
関東在住の文楽関係の友人には

    ワイン通

が多いのですが、彼らは家に常時相当量のワインを持っていて、中にはちょっとしたセラーを設置している人もあります。
生半可な知識ではなく、舌ですべてを見通す力を持っていて、ワインの味わい方をいろいろ教えていただいたこともあります。
その中に、もう30年来の、歌人としても有名な友人がいます。
彼女はハーブティにも詳しく、ちょっとした時にハーブをつまんでお茶を点れるという

    しゃれた生活

をしています。
参加しているSNSでそんな話をしていたら、彼女が何種類ものハーブを送ってくれたこともありました。

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野心 

先日、急逝された政治家の方のことを書いたときに、政治家というのは誰もかなり強い

    野 心

あるいは野望を持っているのだろうと想像しました。
野心という言葉の意味を辞書で見ると「ひそかに抱く、大きな望み。また、身分不相応のよくない望み」とありました。特にこの後半が一般的にこの言葉に向けられるイメージではないかと感じます。
政治家というと、一生懸命働いても、総理大臣になりたいとか、黒塗りの車に乗りたいとか、SPをつけたいとか、料亭に行きたいとか(笑)、なんとなくそんなことばかり考えている人種のように思われがちかもしれません。それは彼らにとっては気の毒だと思います。しかし、それでもなお野心ということになると政治家の専売特許のような感じもします。

では私には野心はないのか、というと、さすがにそんなきれいごとでは済みません。
私にも野心はある。
本を書きたい、というのは学生時代から抱き続けた身分不相応の望みであったと告白せねばなりません。

    恩師や先輩のお引き立て

によってそれをさせていただいたのは私の野心を満足させてくれたと思います。
それらはいわゆる専門書なのですが、今後の私の野心はやはり文楽に向けられています。

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落ち込み中 

ストレスの多い現代ですから、誰しも悶々とすることや落ち込むことはあると思います。
私は今まさにそういう状態で、久しぶりにかなりのレベルまで(笑)落ち込んでいます。
こういうことはしばしばあるのです。
いわゆる

    うつ状態

なのかもしれませんが、なんとなくこういう状態に慣れてきて、意識してよくなろうとか病院へ行こうとか、あまりそういうことを思わなくなっています。
うつ状態になるのはほぼ間違いなく孤独感からです。

先日京都にある日本文化の研究をおこなう機関から

    共同研究

のお誘いをいただきました。
もちろん専門分野の話ですので主に

    平安時代の日記の研究

ということのようでした。出版も目的としたかなりハイレベルの研究を目指すようです。
以前の私なら垂涎のお誘い。喜んで承諾のお返事をしたと思います。
しかし今となっては・・・。

それでもなんとかならないか、必ずしも聞く必要なしに会合に出席したり、出席せずに原稿を書いたりする方法はないか、誰か助けてくれないか・・・。メールをもらってから数日間あれこれ考えました。
しかし、どう考えても無理。
その結論に達した時に激しく落ち込んで、しばらくひどい耳鳴りを抱えたままぐったりしてしまいました。

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看護のひとたちとともに 付420,000 

病院とはどういうところか、と考えてみると、個人経営の医院や大病院の外来などは「医者に診てもらうところ」というイメージが強いのですが、病棟となると

   中核に看護師がいて

   医者が診察に来訪する場

という印象すら持ってしまいます。
それは、かりそめのものであっても、そこが

    生活の場

だからなのでしょう。
食べて、寝て、時には仕事もして。
医者の言うことは「はいはいごもっとも」と聞き流して、じゃなくて、ありがたく承りますが、はるかに年下のナースにはけっこう叱られたり、笑われたり、諭されたり、いろいろしておりました。

ナースの中にはとても親切で1から10までこまごまと「こうしていいか」「これはどうしようか」と私に尋ねてから仕事をしてくれる人があります。
私としてはその6割くらい言ってくれれば十分で、あとは勝手に判断してもらってかまわないのですが、彼女の思いやりを考えると邪険にもできず、かなり時間がかかることもあります。まあ、そこはお互いさまですからね。分かり合うのは大変なことです。

病状が好転するとナースが来る回数は減ります。よかったような、寂しいような。
そういえば、男性看護師君はあれから1度来ただけです。まあ、私の場合は女性看護師だけでいいですけどね(笑)。

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行きたかった東京 

何をしに? と言われたら返す言葉もありませんが、実は9月30日の夕方に勤務先を出て東京へ向かい、翌日(10月1日)うろうろしようと計画を立てて、出張届まで出していました。

「うろうろ」の内容はいろいろ考えていたのですが、最終的な目的地は

  早稲田大学大隈講堂

…といえばお分かりの方もいらっしゃるでしょうし、おいでになった方もいらっしゃるのではないでしょうか?
早稲田大学が熱心に続けている公開講座+素浄瑠璃の会です。
お前に分かるのか、と言われたら、さあ、そこです、だから冒頭に「返す言葉もない」と申し上げたのです。
それでも私行きたかった。
内山美樹子先生のお顔も久しぶりに拝したかったですし、レジュメのようなものがあればいただきたかったのです。
そして素浄瑠璃

    市若初陣

というものに肌で触れてみたかったのです。
「和田合戦女舞鶴」の一場面であるこの演目は、なかなか上演されることがなく、大阪ではなんと、

    十代目 豊竹若大夫

がなさって以来上演がないそうです。

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給料泥棒 

他人事の場合、軽く言ってしまうのですが、今の我が身を振り返ると笑い事では済まされません。
私はやはり

    給料泥棒

なんじゃないか。

酒席で同僚の悪口って言いますよね。おそらく私も言われてると思い(確信し)ます。
会議の役に立たない、授業はつまらない、研究はおろそか、人望はない、性格が暗い、人付き合いをしない等々。

以前どこかで書いたと思いますが、桂枝雀師の「饅頭怖い」で、

  アリさんが怖い

という男が、「あのアリさんとこのアリさんが出会うて、何か話してまっしゃろ、あの時、私の噂をしてるんやないかと思(おも)たら、怖い、怖い」と言いますが、あれを初めて聞いた時、まさにそのアリさんのような黒い笑いを浮かべてぞっとしました。
シュールな笑いです。
おもしろうて、やがておそろしい落語です。

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区切る? 

薬の効き目とは文字通り恐ろしいばかりです。
ものの見事に症状は改善しました。
しかし、こんなことを繰り返していては老化とともに悪化は速く、治癒は遅くなる、それどころか薬石効なく・・なんて大変なことになりかねません。

医者はこれ以上の療法は思い付かないようで、完全に

    頭打ち状態

です。
せめてあと10年は生きて現役で働きたいと思うのですが、そんなふうに時間を区切って考えると、いろいろ逆算して計画しないと思うことができません。
しかし計画を立ててもこんな状態では

    思うに任せず計画倒れ……

回復しつつも気分がいまひとつすっきりしないのです。
時間を区切るなんて、と思われるかも知れませんが、イチロー選手が毎年200安打を達成するには時間を区切らざるを得ないわけで、まさにその心境かなと(違うか?)。

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退院して思う 

昨日(6日)は休みました。
とにかくゆっくり寝たかったのです。
職場はいわゆる「研究日」なので大目に見てもらえます(たぶん)。

  寝ずに研究しなさい

と言われたら返答のしようがありませんが。

結局、夜の9時過ぎに床に入って、10時には眠っていました。夜中2度ばかり目を覚まし、朝は5時には起床、しかしその後も断続的に寝て、最終的には11時に起きました。
その13時間中、

  8時間は眠っていた

のではないかと思います。
熟睡まではもう一歩だったかもしれませんが、溶けるように眠る体験は久しぶりのものでした。

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続・白雲仰臥録(終) 

どういうわけで「続・白雲仰臥録」を書かねばならないのか、と恨んでも仕方がありません。そもそも恨む相手がどこにもいません。

しかし、皆様に不快なお気持ちを抱かせたままこの記録も今日で終わります。
昨日

    退院いたしました

ほぼ2週間、けっこう苦しかったです。
昨日の朝、8時半頃医者が来まして、「調子もよさそうだから、

  いっそ帰りますか?」

と言われ、「じゃあそうします」ということで午前中に引き上げることにしました。
ただ、外出を予定していたので逆にあわただしくなってしまいました。
荷物を整理して、ごみを捨てて、薬をもらって、会計を済ませて、ナースセンターに声をかけて。結局病院を出たのは9時半頃になってしまいました。両手で抱えた荷物を家に置いてかばんを持ってすぐに出勤。

実は昨日が締切というものが2つあって、なんとか片付けました。いつもぎりぎりの仕事で、瀬戸際の魔術師(笑)というか、

    がけっぷちの人生

そのものです。
授業は午後の2コマだったのですが、昼休みに少し気分が悪くなり、居眠りしてしまいました。
そのためやや苦し紛れの90分でした。

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続・白雲仰臥録(10) 

10月4日

夜11時半頃から3時間ほど連続して眠ったと思います。連続しての3時間睡眠は2週間ぶりくらいかも。

昨日(3日)はどうしてもパソコンがなければ出来ない仕事があったため、一時帰宅しました。午後だけでしたが、3時間ほど完全にパソコンの前に座ったままでした。
数種類の、こまごまとした資料の作成でしたのでかなりくたびれました。
そのあとはまたぶらぶらと病院に帰り(途中スーパーに寄って食べものの仕入も)、またもベッドの人となりました。

    仲秋の名月

を拝むことは出来ないままでした。きれいに見えましたか?

おそらく今日が一日中じっとしている最後の日になるだろうと思います。
名残を惜しみつつ(惜しくもありませんが)読書三昧。主に司馬遼太郎さんの対談集を読んでいました。
つくづく思うのです、やはり我々は生涯勉強だろうなと。

80代のお師匠さんなどが「自分は未熟だ、まだまだ勉強せねば」などとおっしゃいますと、いまさらご謙遜を、もう完璧じゃないですか・・・と言いたくなることもあるのです。
しかし、あれはご本心からおっしゃっている、と最近なんとなくわかってきました。
最後の息をする瞬間まで、私もまた、

  勉強するほかはない

と感じます。
たとえば、私のように呼吸が苦しくて、動くことはもちろん、苦しみを表現することすらできない状況になっていても、いや、むしろそういうときに限って(笑)勉強したくなるというのは不思議ですらあります。
でも、文化というものを持ち、育んできた我々は、瀕死の苦しみのさなかでも、たとえば浄瑠璃のテープを聴いて感動したい、などと思ってしまうのがむしろ自然なのではないか。
そういうことも含めて「勉強」と言っているつもりなのですが、今回こういう体験をして改めて自分の中に流れている歴史や文化の血というか、この国に、この時代に生まれ合わせた使命のようなものを認識してしまいました。眠れぬ夜、ずっとそんな思索を巡らせてきました(なんと哲学的な夜々!)。
かくして、もうだめか、と繰り返し思いながら、まだ性懲りもなく文楽につながっている私です。

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続・白雲仰臥録(9) 

10月3日

昨日(2日)出勤して、さすがに疲労が来ました。
でも、こういう動きを増やしていくことによって元の暮らしとの間にある垣根を取り去ろうとしている感もあります。

ここは明るい雰囲気の病院ですが、やはり漂う空気にどこか

    違和感

を覚える瞬間があります。
先夜の出来事です・・・。
眠れない夜、ふと目を開けると、ナースが巡回しているらしく、部屋の中の空気が動いています。
大部屋(4人)ですから、ベッドを隠す淡い浅葱色のカーテンが部屋中にかかっており、それもふわふわと靡いているようです。
天井のカーテンレールあたりをぼんやりと眺めていると、カーテンの皺になったところが「D」の字を右に90度傾けたような形で揺らいでいました。
その形はちょうど人間の口の形。笑顔を作っているようでした。ベッドにいる私を見下ろして笑みを降らせる

    揺れる唇

がそこにありました。
ゾクッとしたかと思うと、そのカーテンの端のほうがボヤっと曇ったような気がしました。端といっても部屋の中央になるのですが、そこにある円筒形の細い柱に目を移すと、柱からニョッキリ

  人の顔らしき影

が現れたのです。
えっ!
私の歯がガチッと音を立てると同時に、その影はあっというまに形を崩して闇に溶け込んでいきました。
しかし私はたしかに聞いたのです。その影が瞬時にして作った、「D」の字を90度右に傾けたような口から、か細い、しかしはっきりとした

    何 してるの?

という声を……。

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続・白雲仰臥録(8) 

10月2日

雨の中、11時頃に

    一時外出

して出勤しました。
最低限の、ほんとうに最低限の務めを果たそうと思って行ったのですが、大学が山のように仕事を置いて待ってくれていました(笑)。
届を書いて、締切を過ぎたのに待ってもらっていた書類を出して、学内秘の(笑)仕事をして、差し迫って必要なデータをプリントアウトして、メールの整理をして、学生にわけを話した上で60分程度(本来は90分)の授業をして……結局丸4時間働き通しました。
貧相な顔をさらすのも恥かしく、誰にも会わないように隠れていたのですが、有能な副手さんに見つかってしまいました。この人を甘く見てはいけません(笑)。

授業については、変な話ですが、半期15回の授業を

   実施したことにする

回数合わせ、いわば方便のようなものです。こんなことをして何の意味があるのか、我ながらわかりません。
文部科学省のエライお役人様にバレたら咎められるんだろうな。

久しぶりに歩いて足が痛いです。しかし、

   心地よい疲労です

気が晴れて、運動になって、いい時間でした。
補食の品(笑)を少々仕入れて、夕方には帰院して、もうしばらくおとなしくしています。

週末の楽しみのためには司馬遼太郎の本を持ってきました。

   ウヒヒヒ

ただし、何を思ったか、うっかり教材も持ち帰ってしまいましたので、病室でいくらか働くことになりそうです(因果な性格です)。

今日の記事は病室で書いたものを研究室で仕上げました(笑)。今から事務室に寄って病院に帰ります。
 以上、10月2日 16:30。

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続・白雲仰臥録(7) 

10月1日

相変わらず3時間前後しか眠れません。

月末に保険の計算が締めになり、同じ病気で続けて治療しても月代わりで出費が一気に増えます。貧しい身の上にはやはり堪えます。計画入院(手術など)であれば月初めに入るのがベストです。

ところで、昼間かなり時間がありますので、

    授業の予習ノート

を作っています。
といっても材料は錆び付いた頭の中にしかありませんのでたいしたことはできません。ノートというより資料作りと言うべきかも知れません。
「日本語表現」という授業のためには、例えばこんなことを考えてみました。
次の内容を最適な表現にして相手に伝えてみよう、という感じです。

○ゼミの先生にベトナム料理をごちそうになった。
 初めて食べたが、とてもおいしかった。
 また行きたいと楽しそうにお礼を言う。

○先生の研究室に呼ばれた。
 いきなり手を触られ、成績を有利にしてあげる、と言われた。
 学内のセクハラ委員会に訴える、と強く抗議する。

平素のお互いの立場やその時の状況、今後のあるべき関係などを意識して各自の言葉で表現させようかと思います。
このほかにも30例あまりを考えてみました。
おざなりの表現でなく、生きた日本語を相手に伝えてほしいと思います。
劇的表現、我々の身近でいうなら

    文楽の表現

に通ずるところもあるかと思うのですが、いかがでしょうか?

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