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2012.4 千秋楽 

今年の文楽4月公演は開幕が一週間遅い感じでした。
そして幕を下ろすのもその分遅れました。しかし、春も遅かったので、なんだかいつもどおりのような(笑)気もしたのです。
開幕時はまだ寒いことがあったのに、千秋楽近くになると

    汗ばむ

陽気。いかにも春の公演でした。
この公演では『加賀見山旧錦絵』『祇園祭礼信仰記』『桂川連理柵』が上演されました。
『加賀見山』に「又助住家」が付いたことはよかったのですが、筑摩川(つくまがわ)がなかったので、又助の物語でその場面を回顧することがいささか難しかったかもしれません。「熊谷陣屋」の物語もあまり「組討」と一緒に上演されることは多くありませんが、本来は実際の場面を見せておいて、それをいかに物語っていくかが面白いのではないかと思うのですが、いかがなのでしょうか。
「筑摩川」はさほど長い段ではなく、これまでも「筑摩川」「又助」「草履打ち」「廊下」「長局」「奥庭」という上演はあったと思うのです。

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ツイッターは教材 

ツイッターを何のために続けているのか。
当然、交友を求めたり、自分の知らないこと(多すぎる!)に関する情報を求めたり、ということがあります。
また、優れた感性や頭脳、経験、人格に接することもできて、これはもう社交辞令などではなく、なぜ世の中にはこれほど

    すてきな人

がたくさんいらっしゃるのだろうと思いながら意味もない事をつぶやいているのです。
やはり文楽や平安時代史に関心を持たれる方をフォローしていますので、教えていただけることも多く、情報に疎い私としましてはほんとうにありがたいのです。
しかし、そういう、いわば

    まともな(?)

理由のみならず、ほかにも理由はないわけではないのです。ただ、これを言うとあっというまにフォロワーのみなさんが離れていかれるのではないかと(笑)こわいのですが・・・。

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先達は 

高校生になった時、古典の授業が楽しみでした。

    徒然草

が最初の教材だったかもしれません。
第52段。仁和寺にある法師が、長年の願いであった岩清水参詣を実行します。頑張って徒歩で行きました。
そして京に戻り、「いやあ、やっと宿願を果たしました。思っていた以上にすばらしい宮でしたよ。でも、参詣の人たちが山に登っていったのは何だったのでしょう。私は観光目的ではないから登らずに帰ってきましたけどね」。
兼好法師は

    先達はあらまほしきことなり

と結んでいます。
男山の岩清水八幡宮に行ったつもりが、実は麓までしか行っていなかったのですね。笑えますが笑えない。面白うてやがて悲しきお話です。
しかしこの法師は満足したわけですから、日とに話さなかったらそれでよかったとも言えます。
でも、話したために笑われたでしょうし、著名な歌人の兼好法師に書き留められてしまいました。先達、というのは、パイロット、水先案内人、経験者、先輩。一人で行くからこうなったのですね。
私も、絵を観に行くと、先達が欲しいと思います。ちょっとしたヒントをくれると楽しくなりそうな気がするのです。ミニマルアートだと解説の要は少ないのかもしれませんが、宗教画だとやはり解説してほしいです。

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ミニニンジン(1) 

園芸好きの方がご覧になると、たかがそれくらいで何を騒いでおるのだ、ということになるのでしょうが、これまであまり植物に関心を持たなかった私にとっては、いろいろ工夫しながら野菜を作るなど画期的なことなのでどうかお許しくださいますように。まあ、「許さない!」といわれてもどうにもなりませんが。
2月か3月頃、まだ寒い時期に、暖かくなったら何か植えてみようと思うようになったのでした。早速図書館に行って「プランターで野菜作り」の類のいかにも入門者対象らしい本を何冊か借りてきて熟読(専門書もこれくらい熱心に読めばいいのですが)。生兵法的知識だけが豊かになったところであちこちの

    ホームセンター

や園芸専門店をハシゴ。最初は何かハーブを植えて、お茶でも楽しもうかと思ったのです。ところが花かばさんややたけたの熊さんが野菜を作っていらっしゃるようで、なんとなくそちらにも関心が行きました。で、くだんの本を眺めているところに高校生になった次女が来て、ミニニンジンかきゅうりなら食べたい、というものですから、私の好みをプラスして前者に決めたのです。
でも、今年はなかなか暖かくならなかったので、種まきするタイミングを図っているうちに日が経ってしまいました。
以下、小学生の

    絵日記

のようなものを書いてみます。途中でだめになってしまうのか、見事収穫して口にすることができるのか。

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能勢は宇宙人 

今年の鹿角座公演の演目が決まりました。
鹿角座?
はい、大阪府豊能郡能勢町が誇る人形浄瑠璃の一座です。私の親しい人がここの花形人形遣いさんです。

    能勢の簑助

ことyayoiさんがその人です。
毎年能勢町の浄るりシアターでは6月を浄るり月間としています。そして、下旬の土日に鹿角座などが公演を行っていて、地元の方々の楽しみになっています。今年は

    6月23日(土)、24日(日)

で、両日とも午後2時開演(午後1時30分開場)だそうです。
一般 2,500円<当日500円増>
中学生以下 1,000円<当日同料金>
はアマチュア劇団にしては高いかもしれませんが、それ以上のお金をかけていらっしゃるはずですし、地元の皆さんはこの金額でも大勢詰め掛けられます。

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散歩のお土産 

文楽劇場に行く予定だった昨日、体調が悪くて断念し、また病院で点滴していました。
残念です。
帰宅してしばらく昼寝したらこころもち楽になりました。するとなんだか空腹感が・・・。そうだ、昼に何も食べていなかった! で、買い物に行こうと思ってふと目をあけるとそこには犬がいました。チワワなのです。
そういえば今日は散歩にも連れていけないなあ、と思って、何気なく

    散歩に行く?

と声をかけたのです。私はしんどいから行く気はなかったので、ほんのはずみでそう言ったのです。どうせ犬にはわかるわけないのだし。
すると、次の瞬間、犬は玄関に向かって駆け出し、振り向いて、

    さあ、行こうぜ!

と目配せしてきました。キミ、ひょっとしたら意味がわかるの?
犬に引かれて善光寺参り。無理やり連れ出されるはめになりました。
まあ5分も歩いたら勘弁してもらおう、と軽く考えたのが運のつき。彼は徒歩10分強の距離にある広大な公園を目指すコースを取ったのです。広い公園ですから、園内でもたいてい10分から20分ばかりうろつくので、トータル30~40分のコースです。

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傾城阿波の鳴門(第八の2) 

お弓は心を落ち着かせて、わざとよそよそしくします。
「親たちが聞いたらさぞや喜ぶでしょう。でも、ままならないのがこの世の中。可愛い子を置いて国を出た親にはよくよくのことがあったのでしょう。恨まないでね」
「いえ、恨んだりはしません。でも、両親の顔も覚えていないし、よその子がお母さんに髪を結ってもらったり抱いて寝かせてもらったりしている様子を見ると、私もあんなふうにしてほしい、とうらやましいのです。どうしても逢いたい。でももう逢えないかもしれない、と思うと悲しいのです」
とお鶴は泣きじゃくります。
お弓は

    消え入る思い

です。
「どんなに尋ねても、顔も知らない親なら会えないかもしれないので、国にお帰りなさい」
「いいえ、いつまでも探し続けるつもりです。ただ、悲しいのは一人旅だからといってどこの宿も泊めてくれず、野に寝たり山に寝たり、人様の家の軒に寝てはたたかれたり。とと様かか様と一緒ならこんな目に遭わずに済むのに」
あまりの話にお弓はついにお鶴に抱きついてしまいます。
名乗ろうか、いややはりそれはできない。なおもお弓は悩みます。
「とにかく命が第一。旅をして病気になってはいけないからお婆さんのところに帰りなさい。そして待っていればご両親も帰ってきますよ」
「ありがとうございます。親身になってくださるので、どうやらおばさんが私の

    かか様のよう

に思われます。いつまでもここに置いてください」
お弓はもうたまりません。
「聞き分けのない事を言わないで・・・」
そして針箱の中から豆板(銀貨)を取り出して
「金があれば泊めてくれます。持っていきなさい」
「いえ、お金なら小判をたくさん持っています。もう帰ります」
それでもこれは私の志だから、と無理に金を持たせて別れを告げます。
お鶴は「逢はしてたべ、南無大慈悲の観音様

  父母の恵みも深き粉河寺
   仏の誓ひ頼もしきかな」

と三十三所の第三番、「風猛山粉河寺」の御詠歌を歌いながら去っていきます。
お弓はその場に倒れ伏してしまいますが、起き直って、今別れてはもう会えない。難儀がかかっても、そのときは夫も思案してくれる。連れて戻ろう」と決心し、あとを慕って追っていきます。

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嬉しい悩み 

去年の秋、奈良市の高級住宅街の幼稚園に、文楽人形をご覧いただくために学生4人と一緒に出かけました。。そのときのもようは →こちら に書きました。
どんな風に思っていただいたのか心配でしたが、どうやらまんざら悪評でもなかったようです。と申しますのは、先日、あのときに連絡係をしてくださったお母様(私にとっては元『上方芸能』編集員さん)からこんなメールをいただいたのです。

★幼稚園で、新年度の本部役員に引継ぎをしている
★本部事業として、今年もまた文楽人形劇を見せて欲しい
園長先生も希望しているので、新たな演目で来てもらえないか

というものでした。
学生と一緒にそれなりに苦労して作り上げた舞台でしたので、やはりこう言っていただくと嬉しいものです。
去年と同じ子供がいますので、新しい演目で、といわれるのもやりがいがあります。
私個人としてはぜひ実施したいのですが、残念ながら演じ手がいません。
毎年こうやってもがいてきましたが、いつもどこかから

    救世主

が現れてきたのでした。
今年はもうメシアは出現しないのでありましょうか。

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だしまき2012-4 

この公演でも恒例のだしまきの夕べがおこなわれました。案内役をさせていただいているブログと致しましては、まことにありがたい限りです。
今回はじめて参加された方、いかがでしたでしょうか?
とにかく文楽が好きな人の集まりですから、面白くないはずがないと思うのですが。
さて、私はどうもこの「だしまき」の声を聴くとおかしくなってしまいます。

    体調

が、です。
今回も4月15日頃まではほぼ無事に過ごしていたのですが、翌日あたりからなんとなく変だ、と思うようになっていました。授業はしていましたが、しゃべりだして10分ほどすると咳き込むのです。
なんだか変だな、と思っていたのですが、それでも歩いたり食べたりするのはごくふつうでした。ところが水曜あたりから明らかに異常。結局木曜日に病院へ行ったら、医師いわく

    点滴しましょう

とのことでした。

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テニヲハ 

弖爾乎波などと難しい漢字で書かれることもあります。
「テニヲハ」「テニハ」は、ざっというと助詞、助動詞、接尾語などのことですが、これがうまく使えないと日本語として通じないことがあります。そこで、「テニヲハが合わない」というと単に助詞などの使い方が間違っているというだけでなく、言葉の用法そのものがおかしいとか、つじつまが合わないというような意味になってきます。
以前、どこかの都知事(笑)が、時の女性大臣の発言に対して「テニヲハのわからない大臣だ」という批判をしましたが、これはまさに話のつじつまが合わない人だ、といっているわけです。
ところで、最近、つじつまではなく、まさに

    助詞の使い方

に疑問を感じることがしばしばあります。もちろん私自身も間違ったことはないなどとは申しませんが、あまりにも目立つところでそれをやられると困惑すらするのです。
数週間前に、サッカーの助詞チーム、じゃなくて女子チーム、いわゆる

    なでしこジャパン

のみなさんがブラジルと試合をして、それがテレビで生中継されていました。
女子サッカーが生中継されるなんて、10年前には考えられなかったのですが、最近は注目の的ですね。
それはともかく、このテレビでとても気になる言葉があったのです。
画面の右上に試合の様子をひとことで紹介するような、あれはテロップといえばいいのでしょうか、短いフレーズが出ずっぱりになっていました。それがどうにも気になっていたのです。

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傾城阿波の鳴門(第八の1) 

やっとおなじみの場面が近づいてきました。八段目です。
浪花の町外れ、

    玉造(たまつくり)

に身を隠している銀十郎こと阿波の十郎兵衛の隠れ家。盗賊の姿を隠し、浪人と名乗っています。
とつぱ株の武太六がやってきて、「伊左衛門に貸した金を今日中に銀十郎から返してもらうことになっている」とお弓に迫ります。
お弓は「夫は夜が更けたから昼寝しています」と、暖簾に腕押し。なおも武太六が騒ぐので銀十郎が起きてきます。
余談というか疑問なのですが、ここに「昼寝とは、さては一晩中『てこづり』していたのか?」という意味の言葉が出てくるのですが、これは花札のことでしょうか? 花ー鼻ー天狗ーてこ ??? 武太六はお弓に「あんたも太郎四郎だな」「天正くらい知っててもいいのに」などとも言います。「太郎四郎」は「素人」「物知らず」「たわけもの」などのことですが、「天正」は「天正カルタ」-「花札」かなとも思うのですが。
それはともかく、銀十郎は、「もう一度行けば工面のできる金だ。一緒に来るか?」と銀十郎は武太六を連れて出て行きます。
すれ違いに飛脚が来ます。「銀十郎殿へ 急用」とだけあって差出人の名は書いてありません。お弓は受け取り、飛脚は帰って行きます。(ここまでが口)

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使ってみました 

議事録の作成や原稿の音声入力などに使われることの多い(らしい)

    音声認識ソフト

を授業に使えないか、と以前から思っていました。しかし私はパソコンは苦手ですので、どういうものがあって、どれほどの認識をしてくれるものかよくわからず、二の足を踏んでいました。しかし、昨年度末に最後の研究費というのが余っていましたので、自分のお金でなければ(笑)さほど高いものでもありませんから(15000円くらい)、思い切って買ってみました。
ところが厄介だったのがパソコン。家にあるのはノートとは言いながらけっこうかさばるので持って行くのは面倒。かといって仕事場に置きっ放しにするわけにも行かず、結局はどこかに誰も使っていないものはないかと探してもらったのです。
残念ながら大学のそういう関係の部署は返事もくれませんでしたが、強い味方がありました。
卒業生で、今は事務の仕事をしてくれている人が、見つけてくれて、一度

    試してみよう

ということになりました。この人は頭がよい上に気がよく回るので、どうすれば一番使いやすいかを一生懸命試してくれました。ありがたいです。
で、早速今週の月曜日にインストールしてもらって、テスト。
何も、完璧に変換してくれなくても、ある程度のことはわかりますし、わからない部分だけ聞き返せばよいのです。
最初いささか戸惑いもあったのですが、途中からきわめて快調になり、慣れると9割方理解できました。

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国籍 

アメリカの野球選手の名前を見ていると、アメリカ人の割合はどれくらいなのだろう、と思います。
統計はどこかに出ているのでしょうが、別に調べたいわけではありません。
カブレラとか、ノエシとか、カノとか、ヘルナンデスとか、ロドリゲスとか、オリボとか、中米から来たとおぼしき名前が目白押しです。

    スペイン語

が乱れとんでいるのではないかと想像するのですが、そうでもないのかな。
アジアの選手もイチロー、黒田、青木などの日本人のほか、秋なんていう台湾の人も頑張っていますね。ダルビッシュもいますが、名前だけ見るとまさか大阪弁でしゃべるとは思えません。
いわば「外人」だらけなのですね。アメリカ国籍を取っている人もあるのでしょうが、ベネズエラやドミニカなどの人が多いはずです。
日本のプロ野球は、かつてほどではありませんが、それでもまだ日本人がほとんど。先日ちょっと調べたら、その日の読売ジャイアンツは先発メンバー全員が日本人でした。

大相撲も外国の人が増えました。かつてはハワイ、今はモンゴルが中心です。しかし、グルジアとかなどからも来ていて活躍されています。彼らは日本語がうまいですね。

    インタビュー

の受け答えも見事なものです。

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王朝文化の華 

京都市東山区茶屋町にある京都国立博物館は片山東熊の設計。
七条通りに面して、すぐ近くには豊国神社、方広寺、三十三間堂(蓮華王院)や智積院などがあります。
京阪電鉄七条駅から歩いて5分ほど。緩やかな坂道もあってなかなかいいところです。京都女子大学も近いですね。
本日からここで

  王朝文化の華 陽明文庫名宝展

が始まります。
観覧料は一般が1300円(前売 1100円)、大学・高校生が900円(700円)、中学・小学生は400円(300円)です。

京都市右京区、仁和寺から遠からぬところにひっそりとたたずむのが、近衛家(五摂家の一)の宝物を納める陽明文庫です。大内裏の陽明門から東に延びるのが近衛大路。この通りの北、室町の東に邸があった藤原氏を代表する家が、通り名にちなんで近衛と名乗るようになりました。陽明通りでもありましたから、陽明家ともいうのです。そこで近衛家の至宝を集めたのが陽明文庫。
お公家さんというとどこかぼんやりとした形式ばかりにこだわるおぼっちゃまたち、という印象を持たれがちですが、この家からは近衛基煕、家煕、忠煕などというなかなか見識豊かな人物が輩出し、昭和になると総理大臣になった近衛文麿がいますし、その異母弟の秀麿は作曲家、指揮者として知られます。
当主の近衛忠さんは、文麿の娘の温子さんの次男。温子さんが熊本の細川家の奥さんとなったので、忠さんは細川さんだったのです。ところが近衛家の当主がいなくなったため、養子になって後を継がれました。。ちなみに、忠さんのお兄さんは、かつての総理大臣、細川護煕さんです。
近衛家の祖は近衛基実。彼は藤原忠通の子で、さらに遡ると忠実、師通、師実、頼通、道長・・・となります。

何度か書きましたが、私はこの陽明文庫にはずいぶんお世話になりました。ながらく藤原道長の日記『御堂関白記』の注釈の研究会がここでおこなわれ、頻繁に通っていたのです。この研究会は恩師山中裕先生(元東京大学史料編纂所教授)の主導で進められ、その成果は

    『御堂関白記全注釈』→こちら

となりました。

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芽が出ない 

まったく何をしても芽が出ない私なのです。特にこの5年ほどはガラガラと

    音を立てて

崩れていくようにうまくいかないことが多いような気がします。
もちろんそれなりにささやかな幸せもあるので、文句を言ってはいけません。いやむしろ分不相応な生き方をさせてもらっていると感謝しなくてはならないのだろうと思います。
すでに能力以上のことをさせていただいたことがあれこれ思い浮かびます。恩師のおかげで本も書けましたし、アマチュア劇団に新作浄瑠璃の上演もしていただきましたし、文楽の世界にも関わっていくらかの発言もさせていただきました。つまり運は使い果たした(笑)ということなのでしょうね。
ですから、じゅうぶんに

    芽が出た

と満足すべきだと思います。芽が出て、花は開いたのか、実は生ったのか、きれいな花なのか、腐っていない実なのか、というところはいささか問題かもしれませんが(笑)。

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傾城阿波の鳴門(第七) 

第七は道行からです。「道行思ひの富士」。私は何も知らないものですから、伊左衛門と夕霧が関東に下る話かと思っていました。
不覚でした。
「思ひ」という言葉は和歌の歴史の中では「火」との関わりが深いものです。つまり人は心の中で「おもひ」という「ひ(火)」を燃やすわけです。これは「恋ひ」も同じこと。

  人知れぬ思ひを常にするがなる富士の山こそ我が身なりけれ
                (古今和歌集 恋一 534 読み人知らず)

  君といへば見まれ見ずまれ富士の嶺のめづらしげなく燃ゆるわが恋
                (古今和歌集 恋四 680 藤原忠行)

この道行では「思ひ」という火が燃えるようですが、どうも普通の道行とは違うようです。

今橋の「屋(くけや)」の娘、お辻は伊左衛門を恋しく思っていますが、伊左衛門がもし噂のように亡くなったのなら自分もあの世へ旅立ちたいとまで思いつめ、ついに家を出て行きます。
一方こちらは伊左衛門と夕霧。伊左衛門は揚げの客との仲のことで夕霧を責めてすねています。夕霧は伊左衛門からの音信が途絶えたために癪を起こしてかろうじて薬で命をつないできたのに、いまさら愛想づかしをするなんて、と泣きますが、空涙を雨のように降らすから「大雨(たいう、太夫のシャレ)」と言うんだ、などと

    痴話げんか

です。
お辻がやってきます。
「伊左衛門さんですか?」 伊左衛門が知らんふりをしようとすると、「いいなづけなのに、あんまりな仕打ち。尼になれとでもおっしゃるのですか。それもこれも遊女の『霧』に隔てられてのこと」とお辻は歎きます。
夕霧は「あなたがお辻さんですか。私はお二人の仲を隔てようなどと思ったことはありません。でももう退くに退けないのです」と、町娘と廓の女でも一筋の思いは変わりません。伊左衛門は戸惑うばかりです。(ここまでが「道行」なのですが・・・)

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だしまき2012ー4(再告知) 

文楽4月公演が始まって1週間。そろそろ舞台も落ち着いてきたでしょうか。
すでに一度はおいでになったかたも少なくないと思います。
さて、来週の土曜日は待ちに待ったもうひとつのお楽しみ、

    だしまきの夕べ

があります。
「あれはもう決まった仲良しグループの人たちの集まりだから」と遠慮されているかたがありましたら、どうぞご心配なく。メンバーの皆さんは排他的で内向きなかたがたではありません。すぐに溶け込んでいただけると思います。それどころか、新しいメンバーのかたがいきなり場を仕切る、というのもよくあること(笑)。
また、「文楽通の人ばかりで難しそうだ」とお考えの向きもあるかもしれませんが、それも案じていただく必要はありません。基本は

    ミーハー紳士淑女

の集まりです。

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内裏の焼亡 

火事は恐ろしいです。
江戸の町は火災が多く、火消しが組織されたり、放火は火あぶりという悲惨な刑に処せられたりしました。八百屋お七を思い出してしまいます。
住宅が密集すると、火が出たらどうにもならず、芝居小屋もよく火災に遭ったようです。
江戸時代ではありませんが、文楽と火災というと、

    御霊文楽座

ですね。四ツ橋文楽座の前の、御霊神社境内にあった小屋です。五世鶴澤燕三師匠にお話しをうかがったときに、御霊文楽座のことを申しましたら、「京町堀やね」としみじみ回想なさっていました。京町堀というと、今では雑誌『上方芸能』の編集部があります。あそこの代表さんも「このへんを摂津大掾はんがあるいたはってんね」とおっしゃっていました。
江戸城も焼けましたが、平安時代の内裏もしばしば火災に遭ったのです。
門が焼けた、というと、『伴大納言絵巻』でも知られる

    応天門の変

が有名ですが、門どころか、建物もずいぶん焼けたのです。

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今年の桜 

私が通っている病院では、名前を呼び出されることはありません。昨今は個人情報、プライバシーにはさまざまなところでデリケートになっていて、名前を呼ばないようにしているところが増えてきています。私のような有名人(ウソ)の場合は、特に困ります(大ウソ)。
そこで、病院ではポケベルを持たされて、医師が診察券をさっとカードリーダーに通すと、ポケベルに

    シンサツシツへ

というような文字が出て、同時にバイブ機能で機械が震えるのです。そのほかにも「ショチシツヘ」「カイケイヘ」「サッサトカエレ(これもウソ)」などの文字が出ます。
そして会計の時にそのポケベルを返すことになっているのです。
ところが先日、何をボケていたのか、返すのを忘れ、病院の職員さんも気がつかず、私は家にもって帰ってしまっていたのです。
それで散歩がてら返しに行きました。
おりしも4月10日。

    桜の満開の日

でした。
天気がよくて、暖かく、とてもそのまま帰宅する気になれず、午後のひと時を花見の散歩としゃれ込みました。
といっても、毎年同じところを歩いているのですけれども。

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少人数 

やはり人気がないのです。
私個人の人気がまずないのですが、加えて、おそらくは

    古典文学

というだけで学生は嫌うのではないかと思っています。
なにしろ、理系の学生と保育士になろうという学生ばかりですから、古典文学なんてキライ、という人が多そうです。
「文学」というタイトルの授業なのですが、方針として源氏物語を取り上げようということになっていましたので、私もそれに従って内容を考えました。ドドドッと学生であふれるのではないかというのははかない夢物語でした。
なんと

    7人

しか受講しないようなのです。
この人数でいったいどのような授業にすればいいのでしょうか。私の場合、大人数の講義形式は何の苦もないのです。
しかし、少人数は一人ひとりの学生と向き合うことになりますので、ほんとうなら話し合いながら実施したい、いわば簡単なゼミ形式が好ましいと思うのです。

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買い物 

広島で一人暮らしをしている頃は、日々判で押したようにアパートから徒歩3分のスーパーで夕飯を買っていました。五日市にあるスパークというスーパーでした。
出来合いのものも買いましたが、不器用なりに何か作って食べていたように思います。
何しろ車がありませんから、遠くの店に買出しに行くということはできず、せいぜい3日分くらいのまとめ買いでした。広島では車は持っていて当然。私の場合、

  免許も持っていない

状態であちらに行きましたので、変人扱いされました。
車があればもっと大きな店にもいけたのでしょうが、店の存在自体を知りませんでした(笑)。

関西に戻ってくるとさすがに店はいくらでもあって、しかもそこそこの規模。以下、きわめてローカルな話で恐縮です。
宝塚市は開発という名の乱開発をしたため閑古鳥が鳴いていますが、

    逆瀬川

という駅の前など、一時は至近距離にコープ、マスダ、ジャスコ、西武と大型のスーパーが4つもありました。絶対にうまくいかないと思ったら案の定、2つは撤退していきました(それでもコープ、いかり、コーヨーと今も3つあり、少し離れたところにマンダイもある)。

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授業開始 

暇、というか、仕事のいただけない私は、今年度は週休5日。まだバイトが見つからず、あせっています。
今のところ、かろうじて与えられた仕事は、週に2日の授業。それが今日から始まります。
しかし、およそテンションが上がりません。
かろうじてひとつ、専門分野と言える、

    文学

という授業はあるのですが、あくまで教養の科目。あまり専門的にならず、原文は音読のみで、内容は現代語で追うほかはないと思っています。外国文学を日本語で読むような感じでしょうか。
具体的には、

    源氏物語

の柏木と呼ばれる人物を中心に、光源氏の40代、いわば初老の時期を取り上げることにしています。
来年度は同じ源氏物語の葵巻を中心に。その次は宇治十帖・・・・いや、そこまで持たないかな(笑)。
源氏物語はどこをとってもおもしろいのですが、わずか3か月半の、しかも必ずしも関心をもっているとは言えない学生相手の授業ですから、派手な、と申しましょうか、大事件の起こるような場面を飛ばし読みするのが妥当かなと思っています。

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名刺 

いくらなんでもまだ名刺なしでは暮らしにくいと思うのです。昔なら文具店が仲介したり、ずばり名刺屋さん、とでもいうような店がありました。表札と名刺とか、名刺と印鑑とか。
私が最初に勤めた短大では名刺は各自で作っていましたので、私も作ってくれるところを電話帳で探し、おじいさんがひとりでやっているような小さな印刷店に頼んだ記憶があります。失礼ながらめちゃくちゃ汚い店でした。
その後は

    和紙

で作ったりして、ちょっと凝ったこともあったのですが、やがては勤務先に任せるようになりました。味もそっけもないものでしたが、私自身あまり気にしなくなっていました。

この一年は、ビジネスマンの方は信じられないでしょうが、

  古い名刺を3枚ほど

使っただけ。古いので、肩書きも嘘が書いてありました(笑)。
この春からもめったに使わないとは思うのですが、持たないのもどうかと思います。
文具店や表札の店に頼む金銭的余裕はありませんから、今回はパソコンで自作しようかと思います。

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文楽2012ー4公演初日 

大相撲春場所、甲子園センバツ、プロ野球開幕、そして春の到来を告げるトドメは

    文楽4月公演

です。
いよいよ今日が初日となりました。
演目は、第一部が

  『加賀見山旧錦絵』

から「又助住家」「草履打」「廊下」「長局」「奥庭」です。「又助」がポツンと出る印象を持ちますが、制作の会議の時は議論にならなかったのでしょうか? せめてプログラムにはうまく補足していただきたいのですが、学生さんなど、プログラムを買うお金がもったいなくて買えない、という場合もあります。ロビーのモニターなどを使って説明されてもよいようにも思います。
「草履打」以下はお馴染みの場面。「廊下」「長局」は浄瑠璃をじっくり聴きたいなあ。皆さんがうらやましいです。私はしっかり予習して、越路師匠や織さん(源師匠)を思い出しながら拝見します。
人形は玉女さんの又助、勘弥さんのお大。お初は勘十郎さんで岩藤は玉也さんですから、この対決はかなり見もの。和生さんも期待しています。

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傾城阿波の鳴門(第六の3) 

袖乞の客は助右衛門。彼は夕霧と伊左衛門を前にして語り始めます。

「店のお嬢様のお辻様は藤屋に嫁入りするはずでしたが、結納の五百両を私が

    騙り盗られて

しまいました。その申し訳に私は自ら勘当を受け、病気までしてしまい、長町の裏屋住居をしています。そのとき伊左衛門様と会いましたが、江戸でのことをうかがい、京の本家には帰れないとのこと。私の家へ貧乏を隠してお招きしました。ところが、『夕霧にあいたいから大坂に帰ってきたのだが、この格好では会いにいけないから衣装を調えてくれ』『高砂屋の羊羹を買って来い』『金を四五十両借りてきてくれ』などとおっしゃる。お辻様の仇になる夕霧様でもありますが、欲の張った方なのか、真実心の方なのか、といったいどういう性根の方なのかを試してみたいと、袖乞姿になって色事を仕掛けたのです。するとその私に情をかけてくださった、驚くばかりの

    真実心の持ち主

でいらっしゃった。どうか、紙衣姿の伊左衛門様でも添い遂げてください。また秋ごろから病がちのお辻様のこともお願いします。貧しい暮らしの中で伊左衛門様に茶屋で使うお金の仕送りをするため、私は妻を伏見に売りました。三つになる子が泣いている様子を見ると私も涙が出るのです」
助右衛門が涙ぐむと、夕霧も「お辻様に義理を立てて思い切ろうとは思いますが、どうしてもそれはできません」と泣くのです。

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買っていただけませんか 

私はけっして『上方芸能』誌の回し者ではありません。
むしろ普段は売上に協力するどころか、図書館あたりで読んでください、なんて、金欠の(失礼)編集部の皆さんから恨まれそうなことを言っているのです。
しかし、おそらく5月はじめあたりに発売になる184号については、あえて皆様にお願いしたいのです。
本屋での立ち読みや図書館での閲覧ではなく、

    買ってください

と。季刊で、さほどよく売れるわけでもない(失礼)マイナー雑誌(再三失礼)ですから、やや割高感があるかもしれませんが、二度と無理なことは申しませんので、今回だけは1,600円寄付する、というお気持ちでお願いいたします。
その理由は、次号の特集が

    文楽を守れ!

だからです。
いくらなんでも調子にのりすぎて無責任にいい加減なことを言いまくっている大阪市長にきちんとした文楽ファンの声を届ける機会だと思うのです。
ひとつには文章を書く人の声、そしてもうひとつ、この特集号を多くの人が買ったという「民意」を届けたいと思うのです。

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耳が痛い 

誰が言い始めたのか、慣用句というのはおもしろいですね。
人間の身体の一部を使った慣用句にも、首が回らないとか、目の毒とか、鼻が曲がるとか、手におえないとか、眉をひそめるとか、数多くあります。
耳を使った慣用句にも、「耳が肥える」「耳に障る」「耳を揃える」「耳を洗う(すすぐ)」「耳を疑う」「耳にたこができる」などがあります。自分の欠点や失敗をずばり言われてしまうと

    耳が痛い

ということになります。私もずいぶんいろいろ言われました。ほとんどが「勉強しろ」の意味なのですけどね。「勉強しないからこういう目に遭うんだ」と今は言われっぱなしです。
頭の出来がよくないのに教員など目指さなければよかったのかもしれませんが、ほかにできることもなかったのでやむを得なかったのです。
文楽評の仕事も荷が重く、長年『上方芸能』さん、文楽ファンの皆様、文楽関係者の皆様にはまことに申し訳ないことをしてしまいました。でしゃばったことをしたな、と言われたら、ただただ耳が痛いのです。文楽評も教員の仕事も、始めた時は自信めいたものもあったのです。だから始めたのですが、日に日に自信喪失(笑)。
きっと『上方芸能』の編集部には苦情もあったんだろうな、と想像しています。あの、腰の低い、声も低い

    編集長

が謝ってくださったのだろうと思います。

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傾城阿波の鳴門(第六の2) 

京から吉田屋喜左衛門が戻ってきて、太四郎と喜八を呼び出します。
二人が言うには「お金は受け取って来られましたか。阿波の客が大騒ぎして伊左衛門様に会うと家捜しされたのですが、奇妙なことに伊左衛門様がいらっしゃいません」。すると喜左衛門は「やはりそうか、南無阿弥陀仏」などと言い出します。喜左衛門が言うには「伊左衛門様はこの夏に江戸で大名の名を騙ったというので成敗され、石塔を立てるのだと大騒ぎだった。戒名は

    好色院粋客美男信士

だそうだ。たった今まで姿があったというのは幽霊であろう」とのことです。

一方の郡兵衛「伊左衛門はここにいるか。出て来い」と言いながら夕霧と例の袖乞の男のところに来て、男の髻を持ち上げて顔を改めるなどの乱暴を働きます。夕霧は「伊左衛門様は亡くなったそうで、ここにいるはずがありません」と答えますが、郡兵衛はなおも「夕霧を揚げ詰めの客は伊左衛門だと聞いてきた」といきまいています。
男は「私の名前も伊左衛門。同じ名はいくらでもありますし、夕霧を買ったのは私です。その私に暴力を振るうとは、粗相をしましたね」といって、郡兵衛の足首を取って

    ひっくり返して

しまいます。
郡兵衛は怒り、刀を抜こうとしますが、喜左衛門はじめ太鼓持たちも必死に詫びたため、帰って行きます。(ここまでが「次」)

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吉備大臣(3) 

『吉備大臣入唐絵巻』は、残念ながら後半はほとんど失われています。
しかし、前回も書きましたように、『江談抄』『吉備大臣物語』『長谷寺縁起』によって内容を補うことができます。今の絵巻物は以前の説では吉備大臣が『文選』をだましとって、囲碁の勝負もごまかして勝ったところまで、ということになっています。
新説(黒田日出男氏)では、『野馬台詩』を宝志和尚が書く場面と吉備大臣に日月を封じられた唐朝廷があわてふためく場面が錯簡の結果残っているとされます。
『野馬台詩(やばたいのし)』は、日本の未来の予言詩で、「やまたいのし」と読んでもよさそうな詩です。平安時代末には

    百王思想

というのがおこなわれていて、これは王が百代続いたあと世は乱れ、「茫茫として遂に空(くう)となる」というものです。これが『野馬台詩』の内容です。世が乱れたあと「猿犬英雄を称し」とありますが、「猿の惑星」のようですね。中国の宝志という僧の作とも日本人が作ったものとも言われます。120字の五言詩、つまり24句から成っています。
普通に読むと「始定壌天本・・・」と、意味が通じないのですが、真ん中から独自の順序で読むと、

  東海姫氏国 百王天工に代はり・・・

と、意味が出てきます。「東海姫氏国」は、東海の日本、ということです。姫氏というのは、天照大神が女神だったからだとも言われます。この難解な読み順を蜘蛛が教えてくれたことになっています。
これで、「文選」「囲碁」「野馬台詩」の3点が揃います。このあと、怒った唐人が今後は楼を一切開けないと決めると、試されるばかりだった吉備大臣が逆襲します。唐の日月を封じてしまったわけです。
吉備大臣は自分を日本に帰してくれるなら日月は現れるだろう、といい、ついに唐人を降参させます。

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文楽と王朝と障害と 

4月1日にブログ名を変えますと申しましたが、中には「エイプリルフールに違いない」と思われた方もいらっしゃったのではないでしょうか。いや、ほんとうに改めました。
キーワードに

    王朝

を入れただけですが、私としてはかなり大きな変更です。
日本における「王朝時代」というのは、中世以後の武家政権に対してそれまでの天皇を中心とした政権を指すと考えられているようです。とすると、必ずしも平安時代だけを意味するとは言えないでしょう。しかし、王朝文化、王朝文学というと、一般的にはこの時代のイメージが強く、私もそれに倣うことにします。
これまでも時々平安時代史のことを書いてきましたが、それをいくらか増やしていければ、と思っています。カテゴリーにも

    「平安王朝」

を作りました。
これまで、文楽の話にばかり付き合ってくださった皆様には申し訳ないのですが、やはり私の本職というか、学問のルーツは平安時代なのです。

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