文楽超入門(番外)〜文楽初体験の方へ
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毎公演、文楽初体験の方がいらっしゃるはずです。
もしそういう方が「どんな芝居だろう?」と思われてネットを探し回られたら、と余計なおせっかいをするのです。
この公演、今日は休演日で、明日からいよいよ後半です。
そこで、簡単に見どころを書いておこうと思います。
後半の第一部は「双蝶々曲輪日記」「八陣守護城」です。
「双蝶々」は長い話ですが、今回はその一部分です。
関取の
濡髪長五郎(ぬれがみ ちょうごろう)
が、ごひいきの息子さんの恋愛を邪魔する男を殺して追われる立場になることを示す「難波裏喧嘩」。
ここでは濡髪の豪快な力強さが見られます。
そして「引窓」の段。
濡髪は八幡にある母親の再婚先に別れの挨拶に行きます。そこは母の継子である
与兵衛
の家でもあります。よりによって、この与兵衛はこの日庄屋代官に取り立てられて、濡髪を逮捕する役目を担わされています。
濡髪は潔く名乗り出ようとし、母や与兵衛の妻(お早)は逃がそうとします。与兵衛も事情を知ってついに逃がしてやるのです。
この場面では「引窓」(灯り取りの天窓)が大きな意味を持ちます。実は与兵衛の任務は夜の間だけ。
そこで最後は天窓を開けて、差し込む月の光を「夜明けの日の光だ。自分の役目は夜だけだから」といって逃がしてやるという趣向なのです。折しも放生会(捕えた生き物を逃がしてやる日)のことです。
しみじみとした母親と濡髪のやり取り、陰で支える嫁のお早。そして与兵衛の慈悲心。そういう人々の愛情が浄瑠璃の切々たる語りによって描かれます。
私が始めて泣いた浄瑠璃はこの作品でした。
やや地味な話で、初めての方にはひょっとしたら退屈かもしれませんが、よく浄瑠璃をお聞きになってください。じわっと来るかも知れません。![]()
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続いて
八陣守護城 (はちじんしゅごのほんじょう)
毒を盛られているのに、平然と振る舞う加藤正清の話です。あらすじは10月1日の記事をご覧ください。
「浪花入江」では琴の演奏があり、一見華やか。また舞台は大きな船がどっかりと置かれ、広大な海を想像させます。
最後に船がぐるりと回ると正清がぐっと前に出てきて大笑いとなります。文楽ではしばしばこの「大笑い」があり、太夫さんの聞かせ所になります。大声を張り上げるだけでなく、風格を漂わせなければなりません。
「早討ち」から「正清本城」は時代ものの芝居らしい豪快な語りが繰り広げられます。これ以上ない苦しみに置かれた主人公がどのようにふるまうのか、たっぷり浄瑠璃に浸ってください。
児嶋元兵衛(ごとう もとべえ)の大きな動きも楽しみです。人形の小技では、正清の顔が一瞬にして青ざめる、というものもあります。最後は正清が楼閣の上、小ぶりの人形を使って遠近感を表現します。
歴史上の人物である加藤清正、後藤又兵衛などをモデルにした演目です。「カッコイイ正清(清正)」「豪快な元兵衛(又兵衛)」など、理屈抜きに楽しめると思います。
文楽の醍醐味は太夫、三味線、人形の芸のぶつかり合い。お互いが叱咤激励するように即いては離れながら表現します。それを感じ取った時、あなたはもう文楽ファン。次の公演も見ないではいられなくなるでしょう。
- [2008/11/13 00:00]
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コメント
ありがたいです。
どちらも私の持っている文楽本に載ってなかったので、参考にさせていただきます。
あらすじ知っているのといないのは大きな違いですものね。
♪花かばさん
特に「八陣守護城」は文楽では久しぶりですので、はじめて、という方が多いように思います。
これでまたしばらくでないかもしれませんね。でも、この前に「毒酒」という段があるのですが、それを入れてもよかったところです。
毒酒ですか。
なかなか1段目から通しはありませんよね。
やはり、面白い所をするのがお客さんの方も安心して見られるし、時間もかかるでしょうから大変ですものね。
でも、伊賀越道中は最後まで観てみたいです。
♪花かばさん
「伊賀越」は沼津のみならず、藤川、岡崎、伏見、伊賀越などそれぞれ面白いですから、通しも半通しももしばしばありますね。
伊賀越えの場面では、「あ、あそこ、我が家ですがな」と大声をあげないで下さいね(笑)。
引窓の路銀と書いた包み紙
知人にビデオで確認して貰ったら、簑助のおはや、は包み紙を持って、下手に向いて(夫のいる方向)に一礼して、長五郎と婆に向って演技されるそうせす。行灯もちゃんと移動させて、おいて演技です。とありました。
♪☆☆☆さん
ありがとうございます。
路銀を今回ははだかで持っていたということですね。本にも「銀の包みに」とありますね。
作戦失敗
仕事上トラブルのさなか、夜の部に突入しました。おのおのが相手を思いやろうとする、濡髪、与兵衛、母、妻の人間模様に涙しました。
幕間、携帯を開くとトラブル関係のメールが。「八陣守護城」は残念ながら見られませんでした(泣)。
♪やたけたの熊さん
ありゃ〜、幕間に携帯は見るものではありませんね。
でも、お仕事はやむを得ませんね。私も時々そういう呼び出しを喰らってしまいます。極力知らん顔していますけど(笑)。
夜の部
お客の入りは50%。やはり少ないです。今日から一部、二部入れ替えですね。
♪やたけたの熊さん
「引窓」「八陣」のほうは団体のない日はいささか閑古鳥が……。
「八陣」、見ておかないと後悔しますよ、関西の皆さん。
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