ひとつの終わり
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3週間の文楽初春公演も終わりました。
技芸員の皆様は、それぞれ満足の行く成果を得られたでしょうか。100点などということはありえず、60点でもよしとせざるを得ない厳しい世界ですが、次のワンステップのためにも意義ある3週間だったと拝察いたします。
このあと、休むまもなくさまざまなお仕事がおありの方が多いのでしょう。
そして2月の
東京公演
が待っています。
この公演は
吉田簑助文化功労者顕彰記念
で、簑助師匠は「曽根崎心中」のお初。相手役は勘十郎さん、天満屋は嶋大夫師匠です。
おそらくチケットはもうほとんどないのでしょうね……。
このほか、「花競四季寿」「嬢景清八嶋日記」(以上第一部)「大経師昔暦」(第二部)の上演です。
玉女さんの景清も楽しみですね。玉英さんはこの公演まではお休みなのでしょうね(未発表?)。
それにしてもこれで5,700円はちょっと高いような気もします。
↑応援よろしく!
さて、実は2009年度の
大学の授業
も今日で終わりなのです。
個人的には主に健康面で大荒れに荒れて、最後まで持たないのではないかと覚悟すらした1年でした。しかし、なんとかゴールに倒れ込めるか、というところまでこぎつけました。
今日はおもに文化の話をします。
文化や歴史というのはなんとなく「昔」のイメージが強すぎるために、学生は「古くさい」「面倒くさい」とクサイを連発します。
私はまったくクサイ話をするクサイ教員としてきっと学生の間で定評があるのだろうと思います。
しかし、実は文化というのは学生一人ひとりの血の中にあるもの。私はいつも彼女たちの中にあるその文化の美しさを気付かせてやろうとしています。
仏師は仏像を作るとき、ノミや槌で木を削って行きますが、ある仏師の方は「何もない木のかたまりを仏の姿にこしらえあげるのではない。仏様は最初から最初からいらっしゃる。その仏様を取り出して差し上げるのが仏師の仕事だ」とおっしゃいます。
私は教員として、まったく同じことを考えています。
学生に知識を教え込むのではなく、学生が
本来持っている美しさ
を取り出してやりたいのです。彼女たちがそれに気付いてくれるようにすることこそが私の授業なのです。
今日はそんな話をしようと思っています。
これから試験(リポート)の採点、来年度の授業計画(これがめちゃくちゃ面倒!)、さまざまな書類の作成などがあり、
春を待つ
ことになります。
文楽の皆さん、そしてこのブログを読んでくださっている皆さん、お互いに健康に気をつけて次のステップへと向かいましょう。
- [2010/01/27 00:00]
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コメント
高いし無いし。
東京の土日のチケットは、なかなか穫れません。
何故か、3部なので、通しやと5700円は、あまりにも高すぎです。
ここのところ、関東に居るのに、大阪は観に行けて、東京は行けないという事態に落ちいいって居ます。
なんとかしてほしいものです。
♪花かばさん
ネット販売分でいうと、もう『曽根崎心中』なんて平日もありませんよね。
人口が多い上に劇場が小さく公演期間も短いのですから大阪に比べてチケットが取りにくいのも分かりますが、すさまじいですね。
『曽根崎』だけで5700円ねぇ・・。ちょっとなんだかなぁ・・。
1日3回公演
いやー、凄まじいですね。
平日でも売り切れですか!!!
大阪にいては、想像もつきません。
大阪では日曜の新春公演でも、なぜか中央正面席が空席だったりしますし(笑)。
わたしが興行師なら東京で、「曽根崎心中」だけを1日に3回公演しますねえ。そして大入りが続く限り延長します(笑)。
♪やたけたの熊さん
興行師、というのがいいですね。似合いそうです。
曽根崎心中は関西より関東でより人気があるのでしょうか?
私の場合、今回の東京の演目なら、1大経師 2嬢景清 3 曽根崎 なのですが。
先生は大変だったのです
大人になって、学校の先生と友達になってみるまで、先生の苦労を知りませんでした。試験の採点だの非常勤先間の移動だの補助教材作りだのレポート読みだの科研費の書類のノリ付けだの。
自分が学生のときは、追試を受けることになったらまるでイジワルでもされたみたいに被害者意識を持ってたものですが、あれ、やる方がよほど大変だったのですよねぇ。それも、救済措置としてわざわざ超過勤務してくれてたのに。
まあ、講義がすんだというだけで仕事がすんだわけではないのですが、それでも、お疲れさまでした!
♪えるさん
ご理解いただき、ありがとうございました(笑)。
選んだ仕事なので、大変なのはかまわないのです。せめて世間並みに給料いただけるなら(泣)。
学校の先生には、
「お茶手当」「お八つ手当」が出てもいいのにね。
♪えるさん
学生が意外にお酒を飲まないので助かっていますが、お茶とお菓子、それから本を買ったら必要経費にして欲しいです。
高いとは
全然思ったことないです!文楽。
個人的には(特に東京は)もっと高くてもいいと思っているくらいです。
庶民のものである反面、実際には保護・援助しなければ残らない可能性もあるという厳しい現実の中、100名足らずの座で公演を続けていることを思えば出演者のレベル(言葉はシビアですが)総額で、演目ごとに値段違ってもいいんじゃないかとも思います。きちんと採算を取って、技芸員さんにきちんとそれなりの報酬が行くのか不安になるんですよ・・・
と、まだまだ初心者のワタクシが熱弁ふるうのも変ですが、歌舞伎やほかの演劇のチケ代から考えると全然!と思ってしまうのでした。
長いコメントでスミマセン。
後半のお話もとても納得です。自分が今いる、ということだけでどれだけの奇跡の積み重なってきた結果なのかが身に沁みて“わかる”、そういう瞬間がその人ごとにどういう時に来るかわかんないのが難しいトコで・・・
って、藤十郎さんのおっしゃることと違っちゃったでしょうか(^^;ゞ
♪cocoさん
たしかに歌舞伎と比べると半額の感覚ですね。歌舞伎というと3階席しか縁のない私ですが、本当にいい席駄と2万5千円くらいしますよね。
数年前、子供の頃からお世話になった上、文楽関係の資料をたくさんもらった(文楽のごひいきさんだったので)近所のおばさんが引っ越される時に、その席のチケットをプレゼントしたことがあります。
採算を考えると仰せの通りですよね。実際東京公演はこの値段でもチケットが飛ぶように売れているので「高い」という感覚は少ないのでしょうか。どうも関西にいるとそのあたりの感覚が鈍っているのかもしれません。でも、文楽劇場のチケット代を国立劇場並みにするとさらに観客が減ると思います。私も各公演1回は減らすかも(笑)。
若い技芸員さんの収入は正規のものだけでは生活そのものもなかなか大変みたいですね。夜なべでかせがないと・・。奥様もパートに出たりして苦労されるようですし。
文化の話、分かりにくい書き方だったと思うのですが、ご理解いただけて幸いです。
ジャンルごとの相場感
オペラ好きの人がバレエのチケットを見ると「安っ」と言いますよね(反対にバレエファンをオペラに誘うと「高っ」と言われてしまうわけですが)。私はそれと同じノリで歌舞伎の「いいお席」の値段を見るとついつい文楽のチケット代で割ってしまい、3階に落ちつくことになるのでした。もともと歌舞伎から入られた方は文楽のチケットを安く感じることでしょうね。
私が布教と称して連れて行く馬合いの二人はバレエ好きと歌舞伎好きなので誘い易いです。私が一番気楽な思いをしているんやないかな。
安いといえば講談です。経費がかからないことは落語以上。お三味線も笛も、締め太鼓もいりません。大太鼓だけなら出演者が手代りで打てますがそれさえもなかったり。しかしそれだけにお客さんの相場感も安くなってます。この間から旭堂南湖さん(講談)と春野恵子さん(浪曲)の二人会が始まったのですが、チケット代を決めるにあたって南湖さんは「2000円も取ったら講談会の常連さんは来てくれませんよー」と言わはったとか。結局2000円になってましたけどね。
♪えるさん
学生時代、カラヤン・BPOが12000円だったか、もっと高かったか、で、もちろん私は行けませんでした。大フィルなら2500円で聴けましたからね。今は海外一流オケなら25000円くらいするのでは?
素浄瑠璃の勉強会も安いですし、十色会も気の毒になります。十色会については、私はいつもチケットを買うときお釣りだけはカンパしているのです。1000円アップでサイン色紙付きチケットを売るなんてできませんかね?
十色会のチケットの安さはほんまに気の毒になってしまいます。なんぼ勉強会やからといって、大道具や照明や会場など、経費が変わるわけでもないのに。
♪えるさん
人形遣いさんは一式必要だから大変ですよね。
私の勤務先の講堂は1400人の音楽ホールなのです。広すぎますし、第一田舎ですので、お貸しするわけにも行かず…。
何とかなりませんかね。
こんなところに!
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100203-OYT1T01071.htm
うつむいて歩く場所をまちがえていたようです。
♪えるさん
あ、これ、私が先日茨城に行ったときに落としたものです(行ってないって)。
本公演増収策(笑)
歌舞伎は3階でも4400円とか4200円とかしたりして。それ考えると、文楽は5列目の30番でもおんなじ5800円なんですねぇ。
3から6列の25番以降なんかは高~くふっかけても買う人があるやもわかりません。足元見てヤラシイようでいて、確実に欲しい方にしてみたらかえってありがたいかも。
アカンかしら(笑)
♪えるさん
劇場の方、読んでいらっしゃいますか~?
心配なのは、(多くは関西人相手ですから)その部分だけが空席になる、という悲惨な状況ですね(笑)。
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