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駆け来る女たち 

この公演には熱い思いを抱いたまま舞台に登場する女たちがいます。

  お里

  お夏

  清姫

が、それぞれの想いを抱きながら駆け込んできます。
清姫(清十郎)は安珍を追いかけて全速力で掛けて来るかと思いきや、憔悴してたどり着いたかのように日高川へ。
そこでひとしきり船頭とのやり取りとなります。
私はかつてこれほど来いやり取りを見たことがあるだろうかというくらい、船頭の存在が大きかったように思いました。床はおなじみ津国さん(もうおなじみでなくなってもいいくらいですが)で、手摺はなんと幸助さん。
もう泳いでいいよ、っていう感じになかなかならない、おもしろい日高川だったと思っています。
清十郎さんはむしろおっとりとした少女の清姫が水鏡に自らを映すことで実と虚の二つの像を練り上げるように蛇身に変じ、一気に泳ぎに入りました。それにしても、文章上、清姫は

    火焔を吹き

というようなすさまじいことまでしているのですね。道真みたいです。

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文雀師匠のお里は生活感豊かで、いかにも「女房」という言葉のふさわしい人物像でしょうか。彼女自身観音様に助けてもらうわけですが、ストーリーの深層としては彼女に観音が乗り移ってすべてを解決するようにさえ感じてしまうのです。そのお里はいったん沢市と別れて気もそぞろに戻ってきます。

    そぞろ

というのも分かるようで分かりにくい心理状態かもしれません。落ち着かない、浮き足立った、いわば「虫」のようなものが知らせる「何か」に突き動かされる心理なのでしょうか。

簑二郎さんのお夏は猛スピードでした。ありゃきっと姫路から山陽道をすっ飛ばしてきたな、というくらい速かった。
一直線、真一文字、ひたすら、ひたむき。とにかく純粋で清十郎を一生懸命探し回ったのだという思いが伝わってきました。
中にいる清十郎が「しょんぼり」していますから、「走り込」むお夏の勢いがさらに強く感じられます。そのあとも、「身を悶へ」「涙に暮れ」「殺して、と縋り嘆く」なかなか激しいお夏でした。

人形遣いさんは「出」が大事です。小幕の中でほとんどじっとしていて飛び出していくわけですが、その間に感情を高めていくのでしょうか。
能の鏡の間とは少し違うかもしれませんが、舞台から小幕で隔てられたわずかな空間はちょっとした魔法の空間であるようにも思います。

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コメント

今夜の私は…

3人の女性の魅力を、素敵な言葉で生き生きと表現されていて、引き込まれるように読んでしまいました。藤十郎様の文章には、いつも陶酔させられてしまいます。
さて、私は今夜、大阪へ向かうわけなのですが、この3人の女性のどのタイプになるのでしょうか?
仕事で疲れ果てて、やっとたどり着く清姫?
残してきた仕事に、気もそぞろなお里?
ひたすらに、一直線に走りこむお夏?
現実からのモードチェンジのできる魔法の空間は、さしずめ、新幹線でしょうか…
気持ちだけはお夏のように駆けつけたいと思います。

♪くみさん

再度のご来訪ですね。
実は今私は劇場にいまして、ついさっきお夏と清姫を拝見、このあとはお園やお里です。
くみさんは悠々と、でも心ははやるお園かな、と思ったりしております。
気をつけてお越しください。

お二人とも、いらっしゃいまし

くみさん転ばないでね。

藤十郎さん無理しすぎないでね。

♪えるさん

運動不足が祟って、私が転びそうです(笑)。

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