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六助 

『彦山権現誓助剣』は十一段の芝居で、「毛谷村」はクライマックス近くの一段。『忠臣蔵』でいうと「山科」のように仇討ちの条件がすべて整う場面でしょうか。
あまりにも発端がわからないので、初見の時は解説を読まないと

  手も足も出ない

かも知れません(私はそうでした)。

毛谷村六助は郡音成(こおり おとなり)の剣術師範、吉岡一味斎から剣術の秘伝を授かっています。一味斎(妻はお幸)の三子のうち、長子の三之丞は病弱、末娘のお菊には夫との間に一子弥三松がおり、お園は実子ではないものの、一味斎は六助を婿取りして跡を継がせようとします。
京極内匠(武智光秀の子)は、お菊に横恋慕するものの叶わず、一味斎との剣術の試合にも負けます。
一味斎は後日、京極内匠に暗殺されます。三之丞は足手まといになると切腹しますが、武芸をたしなむお園を中心に、お幸もお菊も仇討の旅に出ます。
お菊は弥三松と家来友平との旅の途次、京極内匠に出会い、返り討ちに遭います。
お園は夜鷹となって敵を捜していましたが、折りしも出逢った京極内匠と名剣を巡って瓢箪棚で争いました。
(この次が杉坂墓所、毛谷村)
六助は京極内匠と再試合をして勝ち、六助の助太刀でお園は本懐を遂げます。

だいたいこんな感じだと思うのです(ご訂正を乞います)が、我々はそのほぼ最後を見ているわけですね。

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六助は九州の豪傑、快男児と伝えられ、山を動かしたという伝説まであるそうです。
後年、加藤清正に仕えて

  木田(貴田)孫兵衛

と名乗り、朝鮮出兵(文禄・慶長の役)に加わって、最期は朝鮮のジャンヌ・ダルク、朱論介とともに海の藻屑と消えたとか。

お人よしで朴訥な豪傑、自信はあるものの野心はないという芝居上の設定はこういう伝説や史実から生まれたのですね。京極内匠は六助と正反対の冷酷な男、お園もとてもユニークな人物ですし、チョイ役ながら斧右衛門も面白い。そういう

  人物のさまざま

は描かれますし、そりゃあもう六助ときたら、することなすこと女心をくすぐるようで、「ねんねんころろん」の優しい手と儀平を踏み付ける逞しい足。着飾りや見せ掛けでないダンディズムだからこそ梅や椿が一層映える…。そういう意味では見所満載。
さて、それではストーリーとしては何か残るものがあるのか、というと、どんなものでしょうか?
皆様はこの演目をどのようにご覧になっていますか?

ところで、福岡県添田町には

  六助と朱論介の碑

というのがあるのだそうです。肝腎の

  英彦山神宮

にも行っていませんので、いつか「だし巻きツアー」を企画して訪れたいと願っています。

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コメント

確かに

 わからない話です。2000年12月に国立小劇場で若手中心で演じられた時は、「須磨」や「瓢箪棚」も入れての半通しでしたので、まだ物語としては納得できました。
 一言でいって、近松のような義理と情のドラマを期待してはいけない作品だと思います。何より京極内匠の悪と六助の男ぶりの対比が中心かと。登場人物が次々殺されるし、お菊殺しなど陰惨なところも多いです。サスペンスドラマを見るような気持ちで見た方が楽しめるかもしれません。そうすると、杉坂墓所からというのは、ちょっと…
 ただ咲大夫師匠の切、勘十郎・玉女の六助、文司の京極内匠など、見どころ聴きどころには事欠かない舞台でした。

いらっしゃい、いらっしゃい、

ツアーでお越しの際は代理店業務をお引き受けします。
博多からはそんなに遠くは有りません。
但し、山奥なので覚悟が要ります。(笑)

実は近所付き合いがある人に筑豊出身の人が居られ、ずばり毛谷村の近く、と言っておられました。

その人がお見舞いに来られ、実は六助さんのお芝居を観るところだった、という話をしていました。

♪まゆみこさん

あの「瓢箪棚」はもう9年前になりますか!
簑太郎さんの飛び降りが話題になった(?)ものでしたよね。
さりとて通すほどなのか、「毛谷村」の面白みだけでいくのか、さて、今後は……。

♪しろくまさん

ではいつかしろくま解説委員で、花かばさんに運転してもらって(笑)。
六助さんは地元の怪力さんとして今も親しまれているのでしょうかね?

六助さん

どうぞおいで下さいませ。
かと言って筑豊地区には殆ど行ったことが無く、私にとってもワンダー、な所です。

近所付き合いのあるその方は70過ぎていますが、確かに毛谷村、と来れば六助さん、と話が出てきました。
毛谷村辺りを今年の博多座文楽でやってくれないかなぁ、と思います。
博多座でやらんでも、嘉穂劇場でやってくれませんかねぇ?

私が見たときは

その昔、「自作おにぎりのお供は冷水機の水&番付買わない」時代のことで、まさかこれが長い話の一部分だとは知らずに見て、それなりに納得していました。

杉坂墓所からだと、最初に出てくるのが「何も知らない六助」ですからね。何も知らない六助のところに、次々といろんな人が押しかけてきて、「ちょっとちょっと何なの?」という視点を共有していたのだと思います。その場に六助がいるおかげで、みんな六助にだけは事情を説明してくれますからね。古典芸能をそんなに見慣れていなかった当時は、反対に入りこみやすかったんだろうと思います。

たまたま切った場所が場所だったために、現代の小説とかハリウッド映画とかでいう「巻きこまれ型」の導入になっちゃったという感じでしょうか。

ただ、仇討ち成るか、本懐遂げるか、という話ではなく、「次々と珍客ばかり来る理由は何だったの?」という謎解き話へと、趣旨がすり替わってしまったわけですけど(笑)。

♪しろくまさん

六助さん、やはり地元では人気がありそうですね。
お園が家事を始めた時のうろたえぶりもまた純朴で、今も昔も九州男児のかっこよさは変わらないのかなぁ。

♪えるさん

自作おにぎり持参、もうやめられたのですか?
私は他作おにぎりは時々持参しています。
この演目、私の場合、歌舞伎が先だったのかも。終わって納得してたら、実は仇討ちの話だったのね、そこまでは知らなかった、っていう記憶があるのですが、文楽だったのか…よく覚えていないのです。

飛び降り

「瓢箪棚」の飛び降りるところよく覚えてます(でも「毛谷村」と同じ話の中だなんてすっかり忘れてしまってました)。けっこう高いところから飛び降りてましたよね、それも左遣いさん足遣いさんも一緒だからけっこう迫力と重み(人間3人分の?)があってそのシーンだけ特に印象的でした。お里沢市は人形だけだし、飛び降りじゃないけど宙乗りはふつう人形と主遣いさんだけだから…(話がどんどん逸れてすみません)。

ふふふ、

おにぎりはときどき持って行きますが、売店でお茶やらアイスやら平気で買うようになりました。やっぱり仕事をして稼ぐといいことがありますね。

コーヒーは10杯分で11枚の回数券です。

♪nanasinonaさん

高かったですよね。当時の簑太郎さん、まだ40代だったとはいえ、腰など大丈夫かなと随分心配しました。
そうそう、黒衣さん込みで3人一緒の飛び込みでしたね。
いやぁ、なんだか懐かしいですね。

♪えるさん

私は生活が貧しいものですから、ほとんど売店で食べ物を買うことがありません。持参おにぎりはたいていコンビニです。日本橋のファミマではよく技芸員さんに会います。
えるさん、もうけたはりますね(笑)。
回数券ってあるんですか? それも知りませんでした。

おにぎり

人の金銭感覚って面白いですね。私はコンビニのおにぎりこそなんだか割高な感じがして踏み切れません。

105円とかそんなものですから、コーヒー(273円)より安いのにね。

お米の原価を身近に感じているせいか、炊飯器のごはんを管理しているのが自分だから作り放題なせいか……。

空腹やアルコールはがまんできても、コーヒー切れはがまんできない、という優先順位の違いもあるかな?

♪えるさん

サンドなんて割高というか、中味に比して高価ですよね。
あまり嗜好品を口にしない私の場合、腹にたまるかどうかが重要なんですよ(笑)。

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