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三番叟は大地の歌(3) 

「寿式三番叟」は私にとっては土の香りのする演目です。
大地の上に生きることの喜びを感じさせてくれます。

  とうとうとうと鳴る鼓
  宇佐の神の御役にて
  笛の初音も高円や笛吹の大明神
  大鼓(おほど)は高野の大明神
  太鼓は熱田の源太夫
  いずれも、秘曲の打ち囃子
  鳴るは滝の水、日は照る神の神いさめ
  されば春日の大明神
  翁の袂ひるがえす、扇の手こそ面白や

「とうとう」という音は滝の水の音であったのに、いつの間にか滝という目に見えるものを隠してしまい、耳鳴りのような感覚から我々の血の中で鼓の音に転じます。
宇佐、高円笛吹、高野、熱田源太夫の神々による小鼓・笛・大鼓・太鼓の秘曲の演奏。
熱田の源太夫は謡曲「源太夫」でも知られます。源太夫の神は後シテとして登場して太鼓を打ちます(打つ仕種をします)ね。
そして春日大明神は扇で拍子を取り、翁の袂を翻します。さながら五人囃子でしょうか。

  青にぎて、青丹よし奈良の都の三笠山
  かげもあらたに慈悲万行、七五三の歩みの大事
  十五の拍子とりどりに
  万代の池の亀は甲に三極を戴いたり
  滝の水麗々と落ちて、夜の月あざやかに浮かんだり
  渚の砂(いさご)索々として朝(あした)の日の色を朗ず
  天下泰平国土安穏の今日のご祈祷なり

「にぎて(和幣)」は榊の枝に掛けて神に捧げる布。青和幣や白和幣があります。そこから「あをによし」の枕詞につながり「奈良」にかかります。私は観たことがありませんが、能の「佐保山」に、日陰と言うのは春日神の慈悲万行の神徳であるという里の女の言葉があります。「あらたに」というのは「新しい」のではなく「あらたかである」でしょうね。慈悲万行は七・五・三の十五の歩みをするのでしょうか。存じません。
このあたりは能楽の「翁」でも「およそ千年の鶴は、万歳楽と謡うたり。また万代の池の亀は、甲に三極を戴いたり。滝の水麗々と落ちて夜の月あざやかに浮んだり。渚の砂索々として、朝の日の色を朗ず。天下泰平国土安穏の今日の御祈祷なり」とあるのにほぼ同じです。

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  千秋万歳悦びの舞なれば、ひと舞ひ舞はう
  万歳楽 万歳楽 万歳楽 万歳楽
  長久円満息災延命、今日のご祈祷なり

そして「千秋万歳」の喜びの舞を舞おうということになります。今日のご祈祷は長久円満息災延命。人間が常に願って、しかしなかなか叶わないことばかりです。だからこそ願い、祈る。
そしてここで鳴物になって翁を送ります。そして活気ある揉みの段。

おおさへおおさへ ホウ 慶びありや、慶びありや
我がこのところよりは外へはやらじとぞ思ふ
ものの音につれて立ち舞ふ小忌衣
千歳は近江なる白髭の御神なり
黒き尉は住吉の大神
鼓は波のどうど打つ音は高天原なれや
岩戸に向かう神神楽
ほそろぐせりと吹く笛も、ひりやひしぎの音色まで
春は霞の立ち姿

三番叟が競い合うように前に出て、翁送りから一転してわくわくするような場面。
千歳は近江の白髭の神。猿田彦を祀る神社ですね。黒き尉、つまり黒色(式)尉の三番叟は住吉の神。
道案内の神たちを思わせますが、そういう意味ではないのでしょうか?
鼓は波のような音。どどーっと寄せる波のイメージでしょうか
「ほそろぐせり」は高麗楽にありますね。源氏物語にも出てきます。その曲にあるような、ということなのか、笛の調子も最高音のひしぎのピーッという音まで響きわたります。
そして、はるはかすみの、と言って「た・ち・す・が・た」を張ったように太夫さんが語るとまた一段胸のドキドキがまさるようにもいます。

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コメント

寿ぐ

1月4日は朝から劇場に行こうと目論んでいました。ところが幼馴染のお母さんから、当日お昼から天王寺で行われる浪曲会のチケットをいただいてしまいました。

こっちを立てるとあっちが立たず・・・。小心者のわたしの心は揺れに揺れるのでした。
そこで名案! 朝11時から「寿式三番叟」を幕見で見物。新春を寿ぐのです。そのあと天王寺に場所をかえて浪曲を楽しむ。新春からハシゴしようかと思っているのです。

♪やたけたの熊さん

初春から上方芸能のハシゴ。うらやましいですね。ダブルことほぎですばらしいスタートになりそうですね。

中途半端

浪曲会は第一部が浪曲3題。休憩をはさんで第二部はなんと歌謡ショー。ですから第二部がはじまる前の休憩時間に、こっそり会場を抜け出そうともくろんでいます。

文楽は幕見、浪曲は途中退場と、新年からなんとも中途半端でございます(笑)。

♪やたけたの熊さん

中途半端ついでに、あのあたりはお寺や神社が多いですから初詣をあちこちで中途半端に(賽銭を投げ入れる直前まで、とか)なさっては?。

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