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忠三郎の不在 

忠兵衛が梅川を藁葺きの家に連れ込みます。
親達の家来も同然の者が住む家なので安心しています。が、家にいたのは最近嫁入りしたばかりの女房だけ。前かたの近づきは知りませぬ、とのこと。
女房は傾城の意味も知らぬ田舎者ですが、人のよさもまた田舎の人ならでは。あっさり家を、すなわち舞台を空け渡して、夫の

    忠三郎

を呼びに行きます。
女房は端役ですが、文楽ではともかく、歌舞伎では引っ込みで声も掛かる面白い役とも言えそうです。
で、忠三郎は戻るのかというとそうではない。幻の役(笑)です。
忠三郎がいたら、話はどのように展開したのか。そんなことを考えても意味はないのでしょうが、

    男気な

人物らしいので気になります。
そこに通り掛かる道場参りの人々。そして孫右衛門。転んだ孫右衛門を介抱すべく飛び出した梅川は、まあまあここへ、と門口へ、と思うとなぜかあっさり家の中へ。
文楽ではそういう演出ですよね。あとは忠三郎の家の中の出来事になります。

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ここは雪を避けるために門口を「借りる」恰好になるのでしょうから、テキスト通りにしてもよいのかな、とも思います。やがて梅川の素性に気づく孫右衛門。それから家の中へ、という形。長い文楽の歴史の中でこのような形になったのでしょうから、事情はありそうですが。
でも、ここが忠三郎の家であるがゆえに梅川は安易に孫右衛門を中には入れられないはずで、事情がわかった時点で初めてここに忠兵衛がいることが無言のうちに梅川から孫右衛門に伝えられ、孫右衛門も納得するのではないか。それはここが

    男気な

家来も同然の者の家、すなわち唯一安全な家だから。
忠三郎というのは、人物は不在でも、その意味でたしかに存在しているようにも思います。
父子の再会、間を置かぬ別れ。巡礼姿の八右衛門や利平が蚤取り眼で家捜ししようとしますが、別に梅川・忠兵衛と名乗る者がいるとのことで違う方向に出て行きます。この家に染み付いた

    忠三郎の「男気」

が危機を救ったかのようにも思えます。暖かい家を後にして上手に逃げる梅川と忠兵衛。しゃがみ込んでしまう(前回の勘十郎さん)孫右衛門。
出てこなかった忠三郎の「男気の藁葺」も下手に引かれて行きます。

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