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傾城阿波の鳴門(第三) 

夕立降りしきる両国橋。山口定九郎と佐渡平がこの道を通るはずの主膳をひと討ちにすべく待ち伏せています。もちろん国家老の小野田郡兵衛に頼まれたのです。
太鼓持ちの佐渡七を衛門之助平殺害に利用しようとしたのも郡兵衛でしたが、それに失敗した佐渡七を郡兵衛は咎めず、佐渡平として仲間にしてやったのです。佐渡平はそれに感謝しています。
定九郎は主膳の組下ですが、郡兵衛に近づき、主膳が預かっていた殿の重宝

    国次の刀

を盗み、郡兵衛に渡しています。

雨も小止みになった頃、十郎兵衛が主膳の勘気を許してもらおうとやってきます。
佐渡平が「主膳ならぬ」と斬りつけると、それを受け止めた十郎兵衛は声で佐渡平と見破り、問い詰めます。佐渡平は主膳を斬る思案だ、お前も生かしておかぬと、定九郎と二人がかりで斬ってきます。
すると十郎兵衛は、思案して両手を突き、「理非はともかく意趣遺恨はままあることだから、あなたたちのすることを無理とは言わない。私は勘当の身の上で、主人に許されるなら命は惜しくない。手向かいしないから主人の命を助け、替わりに私を斬って忠義を立てさせてくれ」と言います。それでも二人は主膳を斬ると言いますので、十郎兵衛は、それならお前たちは

    主人の仇

になる、と、逆に二人を斬ってしまいます。

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そこに主膳がやってきます。十郎兵衛が「定九郎と佐渡平があなた様をあやめようとしていたので斬りました」と事情を説明すると、主膳は悔やみます。二人を生かしておいて、郡兵衛の悪事をすべてを白状させるつもりだったのです。
それを聞いた十郎兵衛は浅慮を恥じた上、勘当を許してもらおうというあても外れ、腹を切ろうとします。
主膳は押し止めて、

    ひとつの手柄

を立てたら許す、と言います。十郎兵衛がどうすればよいのかを問うと、主膳は「殿の重宝国次の刀は代々当家で預かっているが、去る霜月二十六夜に紛失した(いわゆる「二十六夜待ち」の時なのでしょうね)。来たる三月三日の殿の誕生日には飾らねばならないのでそれまでに詮議せよ」と話し、腰の刀を与えます。十郎兵衛は詮議の手始めとばかりに

    定九郎の懐中

から金を盗ります。
そして勘平は天の与えと押し戴き、飛ぶが、ごとくゥゥにィィ・・・ん? これは話が違うか?・・・作者は『仮名手本忠臣蔵』の趣向を借りているのでしょうね。
失礼しました。十郎兵衛は「主君の為に斬り取りするのは武士の習いです。盗賊・騙りに身をやつして五右衛門の銀十(重)郎と名を改め、刀の吟味をします」と言います。
これが阿波の海賊十郎兵衛の盗賊・騙りのなのです、と作者は言います。
かくして十郎兵衛は姿をくらますのでした。

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