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忠臣講釈の平右衛門 

『太平記忠臣講釈』は、初段が刃傷。二段目、三段目は伯州塩冶の城。ここでは、一見忠臣に見える斧九太夫が、実は師直に通ずる佞臣で、早野三左衛門(勘平の父)が自害を余儀なくされる話などが描かれ、最終的には九太夫の悪行が露見するも、城を明け渡すことになります。天河屋義平も登場します。
四段目からが忠臣たちそれぞれの苦難の話になり、四段目(お礼住家)は早野勘平、五段目(祇園揚屋)は石堂縫之助、六段目(七条河原)と七段目(喜内住家)は矢間重太郎の話です。六、七段目は今も時々上演されますね。
そして八段目(山科閑居)が

    寺岡平右衛門

のくだりです。
由良之助は山科で何でも倹約する生活を送っており、蔵の普請をするのにも、左官や大工と一緒になって仕事しています。
そこへやって来たのが寺岡平右衛門の妻のおきたと息子の平吉。
願いの筋があって来ました、というのですが、由良之助は銭勘定に夢中で相手にしません。そこに今度は鎌倉から飾間宅兵衛という使者が来たというので、おきた母子は追いやられます。
宅兵衛は「由良之助殿は主人師直に仕えたいと言われるが、仇討ちをするつもりではないのか」と問い質します。由良之助がもう武士は辞めてのんきに暮らしたい、師直様の京でのお買い物のお世話でもしたい、とのらりくらり。
そんな腰抜けには仇討ちはできまいと罵倒する宅兵衛に由良之助は茶を進めますが、そこには山吹色のものが。ころっと変わった宅兵衛が「京での買い物は任せよう。そのためには判官の子、為若を九つの鐘が鳴るまでに斬って身の証をせよ」と迫り、ひとまず奥に入ります。
そこにおきた母子が出てきて、夫の平右衛門を

    仇討ちに加えてほしい

と願いますが、由良之助は「その気はない、それより私の妻にならぬか」と、色事をしかけます。
怒り心頭のおきたですが、建物の鍵は締めたから帰れないと言い残して由良之助は奥に行きます。
悲しむおきたがふと見ると、刀が残されています。おきたはすぐに由良之助の心を察します。

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為若君と同じ年ごろの平吉を身替わりに殺せ、という暗示だと気づいたのです。
我が子をなだめすかして斬ろうとするものの、なかなかできないおきた。その時、

    九つの鐘

が鳴ります。覚悟をきめたおきたが首を斬ろうとすると、由良之助が現れ、平吉を抱いて連れていきます。そこに宅兵衛が「首を受け取ろう」と言って現れ、差し出された首桶を見ると

    百両の金

が置かれています。今度は金では済まぬ、為若を殺さないなら主人(師直)に報告する、と駆け出す宅兵衛。由良之助は「寺岡平右衛門、あつぱれ忠臣、心底見えた」と声をかけ、一味に加えると言います。飾間宅兵衛は実は寺岡平右衛門で、
由良之助の本心が知りたくて宅兵衛と名乗って様子を探っていたのでした。
息子の平吉の養育のため、と金をおきたに与え、いざ鎌倉へ行こうと立ち上がる由良之助。すると、左官や大工が姿を現します。彼らは千崎弥五郎や磯合十郎たちでした。
その場で平右衛門は足軽から御近習方に引き上げられ、これでメンバーが揃います。
平右衛門が加わってこそ47人が揃う、というのも『仮名手本』のとおりですね。

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