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忠臣講釈の由良之助 

『太平記忠臣講釈』でも貫禄豊かな大星が描かれます。貫禄豊かなのはいいのですが、酒と女性にだらしない(ふりをする)時があります。
『仮名手本』「一力茶屋」でも、本心を隠している時点ではいやらしい中年男を装っていますが、『忠臣講釈』ではさらにエスカレート(笑)。
まずびっくりするのが、顔世御前との秘め事(三段目)。
由良之助の妻、お石がお気晴らしにと顔世に酒を勧めていると、由良之助が現れ、顔世は由良之助と話があるから、とお石を下がらせます。そこで二人がじゃらじゃらとして、なにやら

    ラブレター

らしきものを交換します。様子を伺っていたのはお石と天河屋義平。障子の音にびっくりした顔世と由良之助がその場を離れた後に義平は怒り、お石もつらい思い。そこに斧九太夫が現れ、私に任せなさい、というようなことを言います。
義平は九太夫のもっともらしい言葉に感激し、お石もいったん下がります。千崎弥五郎らが、九太夫に追い腹の相談に来たところに由良之助も現れます。
そこで九太夫は顔世とのことを問い詰め、証拠のラブレターまで出します。さすがの由良之助も、「顔世御前の

    色香に迷った

と告白し、切腹すると言います。
ところが力弥が持ってきた腹切り刀は九太夫の前に。九太夫が師直に通じ、金銀をもってへつらったことや千両の金を盗んだことを証拠をみせて明らかにし、逆に九太夫を切腹に追い込みます。
義平は疑ったことを詫びますが、由良之助は討ち入りの準備を任せると言います。武具はもちろん衣装、小手脛当てまで義は引き受けてくれます。

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もうひとつは、「忠臣講釈の平右衛門」でも書きましたが、平右衛門の妻の「おきた」に言い寄る場面(八段目)。
繰り返しになりますので詳しくは書きませんが、
八段目の由良之助は最初ユーモラスに描かれます。左官や大工の賃金はこっち飯(いわゆるアゴつき)で一人三匁、汁に炊く味噌が十五文、菜のめぐろを五つ切りにして一切れが一文六分・・・とまあ、私といい勝負の細かい計算。しかしこういう正確な数字が出てくると、当時の生活が偲ばれますね。
で、平右衛門の妻に、「夫を仇討ちの一味に入れてほしい」と頼まれると、仇討ちなんてする気はない、それより僕と結婚してください、と、いきなりのプロポーズ。あんた、

    岡八郎かい!

と言いたくなる(注)離れ業。

(注)吉本新喜劇の岡八郎さんは、きれいな女性をみると初対面でも「ボクと結婚してください」と声をかけるのです。その時のせりふは「ボクは、きれいな女性にはもれなくプロポーズするシステムをとってるんです」。

まあ、それもこれも仇討ちの本心を隠すための芝居なのですね。
結末はもちろんかっこよく仇討ちの本懐を遂げます。
女性にだらしない、というのはセクハラで終わるとどうにもなりませんが、由良さんだとこれまた粋な感じがしてしまいます(そうでもないですか?)。
岡八郎さんも、あくまで三枚目ながら、ハートはけっこう

    二の線


だったのです。
以上、岡八郎=大星由良之助論でした。

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