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加賀見山旧錦絵(第五の1) 

秋。雪ノ下のお来と道芝の実家。お来は貧しい暮らしで賃仕事をしています。そこに隣家のお市が佐兵衛を連れてきました。お来はかねてお市に

    身売りの相談

をしており、佐兵衛は廓の肝煎なのです。佐兵衛はお来を見るなり100両で手を打つといい、半金の50両を置いて、残りは親父殿が帰られたら証文の上で、と言って帰っていきます。お市が金の必要なわけを尋ねると、お来は「母様の病気が重く、百日のうちに治らなければ命はないといわれています。治すためには人参が必要で、そのためにお金が要ります。そこで親には内緒で身売りすることにしたのです」と答え、お市はもらい泣きをして帰ります。
お来はひとりごとをいいます。「夫の源蔵殿は出世したいといっていたが、今頃はどうしているでしょう。出世したら便りもあるでしょうし、もし出世したら

    元の夫婦

になろうといわれたのでそれを楽しみに待っています。妹と同じ河竹の勤めをすることになるとは」と涙に暮れています。表には紙崎主膳が様子を伺っており、お来が奥に入ると紙崎もあとに続きます。
母親が出てきます。戻ってこない夫を案じていると、道芝が訪ねてきます。道芝は母に「つらい目に遭って気がかりなこともあるので来ました。話があるので奥に来てください」と言って母親とともに奥に入ります。

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お来が髪を整えながら廓勤めのことに思いを馳せていると、犬淵藤内が来てお来を道芝だと勘違いして捕えようとします。母親が出てきて抵抗しますが、「道芝がこの家に来たことは見届けている」と言われ、やむを得ず道芝を渡すと言い、

    しばしの猶予

を頼みます。犬渕が渋っているところに奴の雪平が近くにいるとの連絡があり、犬淵はいったんこの場を去ります。
お来は妹のことを母に尋ねます。すると母は「実は先ほど道芝が戻り、恋ゆえに科人になった事情を聞いた。そこでお来に頼みがある。妹の代わりに死んでくれ」と言い出します。お来が驚くと、母は「姉妹ともにかわいさにかわりはないが、道芝は縫之介様の子を宿している。追っ手が見間違えるほどよく似た姉妹だから、

    若殿様の身代わり

になるつもりで死んでほしい」と重ねて頼みます。お来は「私にもわけがあって命は渡せません。私も夫の子を宿しています」と、身売りのことを言わずに泣きますが、「かつて私が病気のときに妹が身売りされたことを思って、死ぬことにします。ひとこと妹に話がしたい」といって。奥に入ります。

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