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六角堂の後半 

『桂川連理柵』の「六角堂」の段は今も上演されていますが、原作では長右衛門やお絹の弟の才次(治)郎たちが登場します。「帯屋」で長右衛門が為替の百両を使い込んだのは

    才次郎のため

であったと告白しますが、その場面がここにあるのです。

お絹と長吉が連れ立って立ち去ると、それとは知らず長右衛門が為替の金を受け取って茶屋の床几で休んでいます。そこにお絹の弟、才次郎が恋仲の雪野に呼び出されて来ます。そして本堂の陰にいた雪野と会い、語らいます。
「近頃、あなたを寄せ付けない兄さんの心底が知れました。私を百両で田舎に遣る気です。いやと言っても聞いてくれず、死ぬ覚悟です。名残惜しくてあなたのお顔を見たくて」
「それはつれない。わしには十両の金も才覚できないから、いっそ一緒に死のう」
と二人が抱き合っていると、雪野の兄、

    惣兵衛

が現れ、
「やい、銭なしの才次郎。妹は大金にするからもう来て下さるな、と言ったのに、こっそり会うから田舎に遣ることにした。いやなら百両出せ」
と、雪野を連れていこうとします。
二人は「夫婦だから離れない」というので、惣兵衛は才次郎を蹴倒して殴ります。そこに現れたのは・・・

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もちろん長右衛門です。
惣兵衛の足首を取って投げつけます。
「やい、なぜこいつの味方をする。味方するなら百両出せ。そうすれば妹は自由にさせてやる」
「ならば受けとれ」
と長右衛門は

    為替の金

を惣兵衛に与えます。そして惣兵衛に一札書かせつつ、才次郎をいたわります。
惣兵衛が証文を差し出して帰ろうとすると長右衛門は「まだ用があるはずだ。先ほどなぜ才次郎を踏んだ。さあ、才次郎、仕返しを」と、惣兵衛を蹴倒します。才次郎にまで蹴られたは惣兵衛は、ほうほうの体で逃げ去ります。
才次郎と雪野は感謝し、長右衛門は雪野のとりあえずの

    落ち着き先

も心宛があるから、と二人を伴って行くのでした。

「帯屋」で長右衛門が為替の金の使い込みを咎められたのにはこんなわけがありました。

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