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仮名手本忠臣蔵 十段目(1) 

忠臣蔵で通しといっても、最近ほとんど上演されないのが十段目です。
いわゆる「天河屋」の段です。
実は文楽では私も一度観たことがあるのみです。平成10年12月で、千歳大夫、錦糸、文吾、玉女、玉英らの出演でした。
子供の頃は浪曲でしょうか、

  天野屋利平は男でござる

の一節だけを、誰から聞いたというのでもなく覚えていました。天野屋利平という人物が何者なのかは知りませんでしたが(笑)。
九段目「山科閑居」の最後に力弥の言葉として「泉州堺の天河屋義平方へも通達し、荷物の工面つかまつらん」とあり、話は十段目に至って堺へと移っていくのです。

義平はかつて塩冶判官の恩を受けたことに感謝している

    男気のある

人物。大星は信頼して武器の調達を依頼しています。
義平は秘密を守るため、妻の「その」を実家に帰し、使用人のほとんどを解雇して残っているのはあほうの伊五と四歳の息子よし松。よし松は「芳松」と記されることが多いので以後それに従っておきます。
そこに原郷右衛門と大星力弥がやって来ます。義平は海路陸路を使って武器などを鎌倉に送る手筈を説明し、秘密が漏れる心配はない事も話し、二人は安堵して帰っていきます。
そこに義平の舅(「その」の父)の大田了竹がやってきます。かつて斧九太夫から扶持をうけていた了竹は義平に向かって、「その」に離縁状を書け、それをしないならこの家に帰すと迫ります。秘密絶対の義平はやむなく承知し、これで縁が切れたと去り状を投げつけます。了竹が「なにやら企みをしているらしいから、娘を置いておくわけには行かない。幸いさるお歴々から嫁に欲しいといわれたので今夜の内に嫁に出す」と言うと義平は了竹を蹴飛ばして追い出します。

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亥の刻過ぎ。捕り手がやってきて、船頭のふりをして義平を呼び出し、取巻きます。義平がわけを問うと、「大星由良助に頼まれて鎌倉へ武具を送るのであろう」と詰め寄ります。証拠として持ってきた長持を開けようとすると義平はその上に乗り、「これはさる大名の奥様のお誂えの道具だ。『笑い道具』の注文までお名前が記してある。お歴々の奥様に恥をかかせられないし、もし見たらお前たちもただではすまない」と拒みます。
すると捕り手は芳松を連れ出してきてのどに刀を当てて「塩冶浪人が師直を討つ子細を白状せよ」を迫ります。義平は「人質を取って脅すとは、女子供を相手にするようなものだ、

    天河屋義平は男

でござるぞ」と突っぱね、「あらゆるものを調達して売るのが商人だ」といった上で芳松を奪い取って自らわが子の首を絞めようとします。
すると長持のふたが開いて中から現れたのは

    大星由良助

でした。
捕り手は、実は塩冶浪人の大鷲源吾、矢間重太郎らでした。
大星が事情を話し出します。
「私はあなたを信じてきたが、あなたと面識のない同士の中には『町人を信用してよいのか』という者もいた。そこであなたが信用するに足る男がどうかを彼らの前で見せることにしてこんな芝居を打ったのだ。あなたは武士も及ばぬ立派な人だ。あなたを手本にして師直を討つならきっと成功するだろう。亡君存生なら一国の政道をお預けしてもよいほどの器量の持ち主」と絶賛します。
疑いを抱いていた大鷲たちもさすがに納得して詫びるのです。
義平は疑われてももっともだといい、「自分は判官様にお世話になったので、なんとか判官様の恥辱を雪ぐすべはないかと思っていた。しかし町人の悲しさで仇討ちにも加われない。皆様がうらやましい。どうか私のことをあの世で判官様におとりなしください」と語ります。
旅立ちを急ぐ大星に対して、義平は手打ちのそば切りを勧め、「手打ち」とは幸先がよい、と大星、大鷲、矢間の三人が義平に案内されて奥に入ります。

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