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近松忌 

国立天文台に旧暦のことを質問すると、「天文台では旧暦を正式なものと認めていない」という理由で、はっきり答えてくれないという話を聞きました。今でもそうなのでしょうか?
旧暦と新暦の扱いにはたしかに困ることもあります。

さて、1724年11月22日(当時は貞享暦)は

    近松門左衛門の命日

です。
現在の暦ですと翌1725年1月6日に当たるようです。
さて、どちらの暦によって命日と定めるべきでしょうか?
一般的には旧暦の日付である11月22日としているようですが、けっして晩秋ではありません。寒のころですよね。
近松は亡くなる少し前に辞世文を書いています。
こんな内容です。

  代々の武士の家に生まれながら、武門を離れ、公卿に仕えたが爵位もない。
  市井で暮らしながら商売を知らないし、隠者のようで隠者でない。
  賢そうで賢くない。物知りのようで何も知らない。そんなまがいものだ。
  唐や大和の教えから雑芸だの滑稽だの、なんでもしらないことがないように
  いいかげんなことばかり書いたり言ったりしたが、死に臨んで言うことが
  なにもないことが恥ずかしい。
  そんな七十年余りの時間は、思えばとりとめもない世だった。
  そんな一生をまもなく終えようとしている。
  もし辞世は?と問う人がいたら、

    それぞ辞世 去ほどに扨もそののちに 残る桜が花しにほはば
     (「さるほどに」とか「さても」とか「そののちに」とかいう
      浄瑠璃の作品が、後々まで残るならば、それが私の辞世だ)

   享保九年中冬上旬
    入寂名 阿耨院穆矣日一具足居士

  最期の時を待たずあらかじめ記しておく。

    残れとは思ふもおろか埋み火の消ぬまあだなる朽木がきして
     (埋み火が消えずに残るわずかな暇に書いた駄作が、
      後世まで残れと思うのも愚かなことだ)」

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そんな命日にも、駄作どころか不朽の名作である「心中天網島」は上演されています。私は今日も行ってまいります。

あ、どうでもいいのですが、近松の命日である11月22日は私の誕生日でもあります。

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コメント

お誕生日おめでとうございます

藤十郎さま お誕生日おめでとうございます。11月22日とは、近松のご縁も深い運命の日、ということですね。先生と文楽のご縁も、前世からの?ということでしょうか。
 「天の網島」先日授業で取り上げ、小春とおさんの「女子同士の義理」を説明していたら、学生が「分からん、理解できへん」と。確かに、夫の愛人のために自分や子どもの大切な衣類を質入してまで尽くす、というのはわかりにくいようです。でも、相手だけを死なすわけにいかない、というと少しはわかってくれたかも・・私はここの「何いうても跡へんではかえらぬ」が好きです。昭和30年代まで、大阪の女はこんな強さ、、潔さ、自分を犠牲にしても他者を生かそうとするけなげな強さを持っていたように感じます。昭和一桁生まれの母も、このおさんのような強さを持っていました。その母も先生と同じ誕生日で、ここにもありがたいご縁を感じます。

さりげなく,おめでとうございます。

>藤十郎さま
明日は近松忌。今や年中どこかの小屋で近松がかかっています。難しいこと分かりませんが,くーとなる名文です。今日は,頭の中でリフレインします。23日は一葉忌。寒さの到来と共に,文豪の命日が続きます。
あ,松の木に飛び乗る鬼女の謎!ありがとうございました。
事務連絡:ボタンを尊敬する演劇評論家のところに移しました。

どうでもいいって・・・

よくないですよ!!
重大じゃないですか!!

お誕生日おめでとうございます。
今年一年がいい一年でありますように☆

近松の辞世文いいですね。
>賢そうで賢くない。物知りのようで何も知らない。そんなまがいものだ。
のくだりがすごくすきです。


藤十郎さんの誕生日が近松の命日。運命感じてしまいますね。
もしかして・・・「前世????」

おめでとうございます

藤十郎さま
お早うございます、それに、お誕生日おめでとうございます。m(_ _)m

近松の命日と同じ日とは、奇遇ですね。

おいくつになられたのかは、分かりませんが、ご多幸を祈りながら


>まゆみこさん

私も近く網島の話をする予定です。
さて、どんな反応を示してくれるでしょうか?
先だって源氏物語によってさまざまな恋愛や結婚の話をしましたら、意外なまでに学生が真剣に話を聞き、理解を示してくれました。さすがは源氏物語だと思いました。さて、網島は…?
お母様が同じ誕生日ですか! ますますお元気であられますように。

>おとみさん

そうそう、一葉忌がお隣なんですよ。
どちらも私の好きな作家です。
ちょっと、私なんかを渡辺大先生と並べたらあきませんがな。元に戻しなはれ。

>さとうきびさん

はい、前々世は近松でした。
前世は徳川最後の将軍慶喜でした(この人も今日が命日)。
ところが、どう間違えたのかろくでなしの風来坊に生まれてしまいました。
来世はもう少しまともに生まれ変わろうと思います(笑)。

>rudolf2006さん

どうもありがとうございます。
rudolf2006さんとは近い世代なのでしょうね。
rudolf2006さんの方が少しお兄さんでしょうが(あれだけ鴈治郎さんの舞台を見ていらっしゃるのですから)。

ぞろ目

お誕生日おめでとうございます。
旧暦にせよ新暦にせよ、11月22日って11・22と行進しているようで、景気がよいのじゃないでしょうか。

>野崎小唄さん

今日は「いい夫婦」の日でもあるのだそうです。
ケネディ大統領暗殺の日でもありました。

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