外郎売はしんどい 

先日授業で昨年繰り広げられた大阪市長の文楽に対する発言を取り上げました。
政治的な話ではなく、あくまで間違った情報や詭弁を鵜呑みにしないことを伝えたい、という思いからです。
そのために、私の市長に対するスタンスは言わず、また学生には判断は自分でしてくださいと話しました。
意外に文楽についての市長発言は知っていました。そしてある程度信じていたという学生もいました。
たとえば
 ○文楽劇場は3割しか客が入らない
 ○文楽は新作が求められている
 ○文楽を理解しないのは観客が悪いという
  文楽関係者の態度では文化は根付かない
 ○文楽関係者はPRの努力をしていない
などの発言を取り上げて、ひとつずつその誤りを話していきました。
市長ファンの学生もいるでしょうから、どういう反応が返ってくるかと思いました。
意外にも(という感じでした)意見を書いてくれた学生の100%が市長に批判的。たとえば、
 ○昔からある伝統をぶち壊したような発言だ
 ○政治家が知識を持っているはずもないのに
  先入観だけで思いつきの発言をしている
 ○偽りだらけの市長の言葉は全国の人を不快
  にしたと思う
 ○文楽の人の努力を知れ、文楽のすばらしさ
  を実際に感じてみろ、と思った
 ○不謹慎極まりない
などなど。
私がある程度は誘導してしまった可能性があるのでいくらか割り引くにしても、かなり厳しい意見でした。

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この日は歌舞伎の話もしたのですが、中村屋が亡くなったことはこれまた多くの学生が知っていて、しかも「悲しい」「残念」「惜しい」という発言がたくさんありました。
世代を超えて人気があったのですね。
時々私は歌舞伎の話のついでに

    外郎売

の口上のセリフ(拙者親方と申すは・・)を語るのですが、いつもなら部分的に、たとえば「武具馬具」のあたりだけなどに限定するのです。ところがこの日は妙に時間があったので、思い切って「拙者親方と・・」から「外郎はいらつしやりませぬか」まで全部語ってしまいました。
何度か噛んだのですが、学生はあまり気づかなかったようです(笑)。
久しぶりですのでかなり体力を使いました。研究室に帰るとなんだか眠くて、バタン。30分ほど熟睡してしまいました。あれを語って、しかも前後のセリフも語って、歌舞伎役者さんは大変だとしみじみ感じました。
学生の中には演劇部出身の人もいまして、

    なつかしい!

と言っていました。演劇部では滑舌の訓練に使うところがありますからね。
この外郎売を終えると授業はいよいよ終わりが目前になります。
次回は最終回、総まとめの話をします。

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コメント

すばらしい教育!

学生さんたちのご意見を読んで、わたしもほっとした気分です。

昔からある伝統をぶち壊したような発言だ、政治家が知識を持っているはずもないのに  先入観だけで思いつきの発言をしている、偽りだらけの市長の言葉は全国の人を不快  にしたと思う、文楽の人の努力を知れ、文楽のすばらしさを実際に感じてみろ、不謹慎極まりない

そうだ! そうだ!

これをキッカケに、政治家の発言を吟味する習慣ができればいいですね。いま社会で起こっているナマの問題を、学生さんたちに考える機会を作られました。すばらしい教育!

♪やたけたの熊さん

政治に関わる問題はどういう風に話せばよいのかまだ試行錯誤しているのですが、基本は学生自身が判断して欲しいということです。
ただ、世間にあふれる情報は必ずしも正しいものではないということは教育の立場でも言うべきことだと思っています。私の場合は主に文化に関することになりますが。
上に書いた学生の反応は言葉尻は私が改めました(原文は丁寧語になっています)が肝腎の部分はそのままです。
学生が私のスタンスを判断して、いい成績が欲しいから私に賛成のようなことを書いたとは思えません。どんな意見でも自分の思うことを書いて欲しいということだけは何度も念を押しましたから。
この学生たちも(大半は)来年には選挙権を得ます。

美しい言葉に隠されたもの

先日、経済評論家・内橋克人さんの講演を聞きました。

「政治家の美しい言葉に隠れたものを見抜くチカラを身につけてください。そのうえで政治判断してください」

内橋さんは講演のさいしょのほうで話されました。

ところでこの講演会は、ローカル金融機関「尼崎信用金庫」主催でした。あましんです。アッパレあましん、ですね!

♪やたけたの熊さん

それに加えて、最近は美しくない言葉にも気をつけねばならないようですね。汚さの蠱惑。
スカトロジーもここまで来ると趣味では済まず、危険です。
中味を吟味せず、「威勢のいいことを言ってくれてスカッとする」という支持の仕方をする人、「美しい言葉の危険」に気づいたために、「美しくない言葉」に惹かれる人がまだまだ多いようです。
目の前の安易な「解決」が将来何をもたらすか、その想像力が大事ですね。

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