心中紙屋治兵衛(7) 

「長町」の段の続きです。

母が目を覚まし、お市を捜します。お市はそっと姉を中に入れます。
母の頼みに従って肩をさすっていたお市はしばらくするとそっと

    小春に代わり

ます。
そうとは知らず、妙光は「この癪を起こしたのは小春のせいだ」と愚痴を言うとお市は「お姉さんを誤解しないで下さい。さっき飛脚が来て、姉さんからお金が届きました」と渡します。けがらわしい、治兵衛様に顔が立たないといって妙光がその金を放り出すので、お市は必死で姉を許してほしいと頼みます。
妙光は「治兵衛様は実は小春のために商売もうまく行かないようで、奥様やご一家から責められて死のうとまでなさったと噂になっている。それなのに今さらほかの男を持つなんて憎い娘だ。とは言っても、小春が町娘のままだったらあんなふうにはなっていなかっただろう。勤め奉公を許した

    私の誤り

だ。親不孝な子を持つのもすべて私の身の因果」と言ってまた咳き込みます。あわてて白湯を飲ませて左右から姉妹が世話を焼くと、妙光は不審を抱き「この白湯は誰がいれてくれたのか」と尋ねます。あわててお市いつも傍に置いているので私がいれたのだとごまかします。
妙光が「私が生きている間は小春を許さないが、死んだら姉妹むつまじく暮らしてほしい」と言うと小春は死なねばならないことを心の中で詫びるのです。

妙光はこの時実は小春がそばにいるのではないかと察していたのでしょうか? そうは書いていませんが、母親の直感としてなにかそういうものがあったのではないかと、観客としてはそんなことを想像することもできるように思います。

にほんブログ村 演劇ブログへ
 ↑応援よろしく!

kgaeonrjuiをフォローしましょう

そこに紀伊国屋才兵衛が来ます。声を聞いて小春が裏口へ逃げて行くと才兵衛が「小春が駆け落ち(逃亡)した、ここにいるならを返せ」と詰め寄ります。
驚いた妙光は「来ていません。不審なら家捜しでもしてください」というので紀伊国屋の伴の者が探そうとしますが、才兵衛は妙光の口ぶりから

    本当に知らない

のだろうと察して「命にかかわることだから、小春が来たらすぐに知らせろ」と言い残して去ります。
妙光が思い当たることがあって先ほどの金包みをさぐると中には

    数珠

が入っていました。妙光は小春の覚悟を察します。一子で小春を呼び続ける母に「ここにいますと」いいたい気持ちを抑えて、小春は法善寺の十夜の鐘の中、姿を消しました。

「長町」の段は短いのです。こうして小春は親方から追われ、治兵衛から愛想を尽かされ、母とも別れて孤独の中に身を落としていきます。

スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://tohjurou.blog55.fc2.com/tb.php/2760-7f9c9576