心中紙屋治兵衛と時雨炬燵 

『心中紙屋治兵衛』は、「心中」というタイトルを持ちながらタイトルを持ちながら最後に一発逆転で

    心中しない

物語でした。

これをさらに増補したものが『天網島時雨炬燵』だそうです。
こちらは時々上演されますのであらすじを書くほどのことはありませんが、『心中紙屋治兵衛』の「紙屋」とどれほど違うのかを少しメモしておこうと思います。
といっても、今上演されている『時雨』はもともとの『時雨』とは違うようです。今このあたりを知りたいのですが、なかなか思うように行かず、まだ詳しいことは分かりません。
我々が見る『時雨』は伝海(伝界)と太兵衛が出てくる『心中紙屋治兵衛』と同じ内容を持っています。これは少なくとも大正、明治(昭和もかなり長い間同じ)の時点では『心中天の網島』として上演されていたものです。
しかし、本来の『時雨』は伝海・太兵衛のくだりはなかったのではないのでしょうか。また調べてみます。
「日本名著全集江戸文芸之部」などで読む限り、『時雨』の「紙屋」は「直に仏なり」で始まります。つまりちょんがれのくだりはナシ。あれは「心中紙屋治兵衛」のものを後になってくっつけたのでしょうか。ただし、今の『時雨』では治兵衛が脇差を取って太兵衛を斬ろうとした時におさんはおらず、とめるのは孫右衛門。『心中紙屋治兵衛』でとめるのはおさんです。ああややこし。
このあたり、ご存じの方教えてください。

『時雨』では

    五左衛門

がまるで違う人物です。金山の詐欺話に引っかかって大損をしたために治兵衛から金を借り、治兵衛は財を失います。治兵衛はもし本家から財産を調べられるた場合「舅に無心された」とも言いにくいのでわざと茶屋に通って自分が使い込んだということにするわけです。ところがそこで出逢ったのが小春。いつしか馴染みを重ねてしまいます。にもかかわらず五左衛門がおさんを連れて帰るというのでおさんは父に抗議をするわけです。実はこの五左衛門の行為は偽りで、お末とおさんを尼にしてたんすをガタガタいわせたときには逆にそこにお金を置いて小春を請出す資金にさせようとしたのですね。

細かいですが、今の『時雨』ではお末を連れて行くのは伯母(五左衛門の妻)ですが、『古今名劇二百種』の『時雨』の梗概では五左衛門が男の子は男親につくのが天下の大法だからとお末だけを連れて帰っています。

にほんブログ村 演劇ブログへ
 ↑応援よろしく!

kgaeonrjuiをフォローしましょう

『時雨』ではおさんが五左衛門に連れていかれたあと、小春が出てきて話はすべて聞きました、自分はもう死ぬ覚悟ですといい、治兵衛もおさんのようなすばらしい女へのいいわけには死ぬほかはないと自らも覚悟の程を伝えます。すると丁稚三五郎がおさんから「小春さんんがきたら旦那さんと祝言させてあげなさい」と言いつけられたといって、酒の代わりに水を入れて持ってきます。治兵衛と小春は別れの水盃として飲みます。
そこにお末が一人戻ってきて、白無垢に書かれた文字を見せます。そこにはおさんからの手紙としてお末は引き受けるので勘太郎を小春さんによろしくお願いしたい、と書かれていました。また五左衛門からは百五十両の金をさきほど箪笥の大引き出しに入れておいたのでそれで小春を請出して欲しい。おさんとおお末は尼にした。と書かれていました。
そこに太兵衛と善六がやってきて喧嘩沙汰になり、太兵衛と善六ははずみで相打ち。しかし太兵衛が治兵衛に斬られたと声を上げるので、治兵衛はついに太兵衛に止めを刺してしまいます。かくなる上は仕方がないと、治兵衛と小春は網島へ心中に行くのです。

今は近松の原作が重んじられるようになっており、私も「心中天網島」はそれでいいと思っています。ただ、こうして改作してでも「網島」を上演したいというのは「忠臣蔵」や「菅原」の増補ものと通じるところもあったように思います。

スポンサーサイト

コメント

時雨炬燵は

『置土産今織上布』の改作(の改作)です。

♪えるさん

毎度ありがとうございます。
新生活はいかがでしょうか。

なかなか

土地に慣れることには自信があるのですが、部屋に慣れるのがヘタでして。ずっと、キャンプみたいな生活が続いてます。修理や配達を待つ時間の多いこと。なこなか原稿に専念できないので、今回はとうか大活躍でカバーしてくだちゃい

承認待ちコメント

このコメントは管理者の承認待ちです

♪えるさん

今も劇場のそばでうろちょろ(失礼)していらっしゃるような気がしてなりません。
菅専助さん、当分(金輪際?)読めそうにありません。

わたしも手抜きをして活字で読む気なので、ひとのこと言えませんね。

とはいえ、せっかく活字になっているのに、札幌の市立図書館にも、北海道立図書館にも所蔵がなく、札大か北大が頼りのようです。

♪えるさん

いやいや、平安時代の史料なんて、私はほとんど活字頼みです。
北海道大と札束大かな、頼りになりますね。

えーっ

それってなんか怖くないですかー!?

♪えるさん

授業料が高いのか、ここを卒業するとがっぽり儲かるのか。
実は札幌大というのを知らなかったのです。

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://tohjurou.blog55.fc2.com/tb.php/2767-aeaa3f2a