ツキアゲ 

文楽人形はあれだけの演技をするのに、さほど複雑な構造を持っていません。
ツメ人形などは本当になにもない。三人遣いの重要な人形でも仕掛けだらけではありません。むしろ仕掛けの少ないほうが演技が色々工夫でき、首や鬘の制作にもしどころが多い(笑っているでも泣いているでもない

    微妙な表情

など)だろうと思います。
首の仕掛けとして、ウナヅキがあるだけのものも多く、顔の部分が動くというと目(文七などの立役に多し)、口(悪役、憎まれ役に多し)、その他、眉、鼻、耳の動くものも。
手は開閉がありますが、これも細かく動くもの(たこつかみなど)から手首が動くだけのもの(かせ手)までさまざまです。
足は膝が曲がるだけですね。
ところで、立ち役には奇妙な棒がついています。いわゆる

    ツキアゲ

です。これ、意外に使い方がわからないのですが、使えるようになると「うまく考えたな」と思わせられます。
重さを軽減したり、バランスをとるのみならず、緊張感を出したり滑稽な動きを演出したりもできます。
幼稚園で遣っているツメ人形にもツキアゲはついています。ところが本番終了後、遣い手さんが顔色を変えて飛んでこられて「こわしてしまいました」と平身低頭されるのです。
なんのことはない、ツキアゲを留めている三味線の糸が切れただけのことでした。また新しい糸で結べば済みます。

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ツキアゲは主遣いの胸や腕、掌で受けたり握ったりしますから、当然人形の右側に突き出しています。黒竹で長さは40センチくらい。一方の端の節の部分に切り込みを入れて、そこに三味線の糸を通して肩板に結び付けます。

切れたツキアゲ

これがツキアゲの先端部(肩板に結ぶほう)と切れてしまった三味線の糸です。反対側(人形遣いが触れるほう)の先端はサンドペーパーをかけて、けがなどしないように工夫してあります。
これを人形の肩板に結びつけるのです。

ツキアゲの位置

これが肩板を下から見た写真。真ん中のカギ穴のような前方後円墳のような(笑)部分が首を差し込むところです。その「前方」が人形の前、胸のほうになります。ツキアゲはその反対側、つまりうなじのほうに結び付けます。写真の、ツキアゲの先端部にわずかに黄色い糸が見えますが、それが三味線の糸です。
三味線の糸は丈夫なので、めったに切れませんが、時として舞台の上でプツン、ということもあります。いつぞや玉男師匠の人形の首の糸が切れたことがありました。さすがは玉男師匠、動ずることなく演技を続けられ、終わったあとで当時足遣いだった玉佳さんが床山部屋に飛んでこられて(私はたまたま床山さんにいたのです)修理を頼んでいらっしゃったことがありました。
ツキアゲは、人形遣いさんが人形の右手を動かしながら同時に使用するものですから、やはり慣れないうちは使うのが難しいのです。私も時々部屋で人形を動かしていますが、最近はこのツキアゲに凝っています(笑)。たぶん、幼稚園で糸が切れたのは私が荒っぽく使ったからだと思います。

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