自画像
- 日々牛歩
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画家はいろんな対象を描きますが、一番手っ取り早いのは自画像でしょうか。
鏡を見たらすぐに描けるし、モデル代はいらないし、文句は言わないし、休憩はしたいときにできるし。
しかし、自分の顔を鏡に映して絵にしようなんて、うらやましいです。私だったら途中で気持ち悪くなりそうです(笑)。
自画像というとレンブラントとかゴッホを思い出すのですが、そんなもんじゃないですね、あまたの画家が描いています。
日本人も描くのだろうかと思っていたら、江戸時代にもやはり描かれているのですね。ネットで検索したら椿椿山のものがありました。渡辺崋山はあれだけ肖像画を描いているのですから、自画像もあるかと思ったのですが、ないのでしょうね。
ラファエロの自画像がありますが、彼はあの有名な
アテナイの学堂
に自分の顔をこっそり「その他大勢」の中に描き込んでいました。昔は例えば聖書を素材にした絵の中に依頼者の顔を描き込むなどということをおこなったそうで、もし私が大金持ちで画家さんに最後の晩餐を描いてくれと依頼したら裏切り者のユダ」の顔は私の顔になっているかも(笑)。
ラファエロの「アテナイの学堂」はバチカンにありますが、バチカンの絵というとシスティーナ礼拝堂の壁画や天井画がありますね。
鳴門市の大塚国際美術館にはその複製がありますから、イタリアまでいけない場合は鳴門でかなりしっかりと味わえるわけです。なにしろ壁画は建物の一部ですから、はがして持ってくるというわけにはいかないので、写真や映像、あるいは模写でしか見ることはできないわけです。
ミケランジェロ
の天井画は「預言者ヨナ」「太陽と月の創造」「アダムの創造」等々すばらしいものが居並んでいます。しかし、1522年にローマ教皇となったハドリアヌス6世はあの天井画を見上げて「ここは裸体だらけの風呂場だ」といったとか。彼はオランダ出身の厳格な神学者だったそうで、あまり芸術に関心を持たなかったのだとか。
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システィーナ礼拝堂のミケランジェロ作品といえば圧巻は
最後の審判
です。しかしあの作品は当初あまり評判がよくなかったともいわれます。というのも、キリストが余りにも若く描かれすぎているとかひげがなくて威厳に乏しいとか言われたそうなのです。また、描かれる人物はほとんど生まれたままの姿であがかれていたそうですから、あのハドリアヌス6世が見たら卒倒していたでしょうね(「最後の審判」はハドリアヌス6世没後の作品)。あの絵の中には製作中に悪口を言ったという儀典長チェゼーナの顔をこっそり描き込んだとも言われます。それは地獄の裁き主ミノスの顔だとか、ミノスの上の方にちょっとだけ顔をのぞかせている人物がそれだとか言われるようです。
ミケランジェロも自画像をこの絵の中にこっそり描き込んでいます。皮剥ぎの刑に遭った
聖バルトロマイ
の「皮」の顔がそうだというのです。聖バルトロマイ自身がその皮を左手でぶら下げるように持っています。
↑最後の審判の聖バルトロマイの皮に描かれた
ミケランジェロの自画像らしき顔
口がひん曲がったような顔をしていますが、ミケランジェロがまったく別に描いた自画像と似ているといえば似ていると思えます。もっとも、横山ホットブラザーズの東六師匠に似ているような気もするのですが(このネタ、前にも書いたような気がします)。
↑ミケランジェロ自画像
ところで聖バルトロマイはキリストの左足元にいますが、周囲には多くの聖人が描かれています。この人たちは地獄に落ちることはない人たち。元祖ローマ教皇ともいうべき聖ペテロもすぐそばにいます。で、ミケランジェロの顔を持つ「皮」はもし聖バルトロマイが手を離せば地獄の方に堕ちてしまいそうな状態なのです。見ようによっては、ミケランジェロは「かろうじて地獄堕ちを逃れている自分」を描いているのではないかと思うくらいです。もっというと、聖バルトロマイがミケランジェロを手にぶら下げてキリストに向かって「キリストはん、こいつはなんとか助けたってくれまへんか?」と頼んでいるようにも見えるのです。
いや、これは私の勝手な見方で、美術史の専門家の方には笑われると思うのですが、ミケランジェロだって地獄に堕ちたくはないですよね。
外国の映画などを見るとよく「地獄に堕ちろ」とか「こんなことをしていると地獄に堕ちるんじゃないか」などというセリフに出会いますが、私たち日本人とは違って、地獄に堕ちることがとてもリアルに感じられるのでしょうね。
- [2014/02/10 00:00]
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