名所江戸百景~王子界隈 

上方落語の「高倉狐」は人間にだまされる狐という面白い話ですが、これが江戸でも「王子の狐」として演ぜられるようになります。その王子というのが今の東京都北区にある王子稲荷。
『名所江戸百景』第十八景は「王子稲荷の社」。

名所江戸百景018
↑王子稲荷の社

江戸は稲荷神社だらけだったそうですが、ここは関東稲荷総社で、あの乃木希典も信仰していたそうです。二月の初午の日は人出が多かったそうですが、この絵では特にそれとはっきりわかることは描かれていません。しかし、梅の花が咲いており、およそそのころであろうことは想像できます。社殿には神官がいて、お参りの人が後を絶たない様子です。方角としては北を向いていることになり、この北側の田地に大きな榎があって、それが次の第百十八景「王子装束ゑの木大晦日の狐火」の舞台になります。

名所江戸百景118
↑王子装束ゑの木大晦日の狐火

毎年大晦日にこの榎の下に一帯に住む狐が集まって、女官の装束に身を包んで稲荷社に行ったという伝承があるそうです。その際、口もとから狐火を灯していました。村人はこの狐火の数で新年の農業の吉凶を占ったのだそうです。この絵は闇の中で自ら光を発しているかのような狐たちが、集まっている様子。それぞれの口もとに火が見えます。さらに中景にも数多くの狐が狐火を見せながらやってきます。星空は鉱物の雲母(きら)を混ぜた表現できらきらと光るように見えます。右奥の森が稲荷社です。

王子稲荷の東側にあった石神井川の堰が第十九景「王子音無川堰埭 世俗大滝と唱」。

名所江戸百景019
↑王子音無川堰埭

堰を越えて落ちてくる水を世俗では大滝と呼んでいたというわけです。春の桜のころですが、よくみると何人かの人が組になって川に入っています。まだ水浴するには寒いと思うのですが、あるいは何らかの方法で魚を獲っているのでしょうか。

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第十七景は「飛鳥山北の眺望」。第十九景の左手の山が飛鳥山。とても眺めのよいところのようです。

名所江戸百景017
↑飛鳥山北の眺望

古地図に「此所ヨリ筑波山見ユ」とあるとおり、北を見ると見事な筑波があったようで、この絵にも描かれています。徳川吉宗の時に整備されたそうで、桜の名所として今も知られるところです。毛氈を敷いてくつろぐ人、踊りに興ずる人などがいます。この山からはかわらけ投げがおこなわれましたが、中央やや右の人物がそれをしているのではないかといわれます。広重は『江戸自慢三十六興』で「飛鳥山投土器」を描いています。

第四十九景「王子不動之滝」。

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↑王子不動之滝

思惟山三昧寺正受院には裏手に滝があり、そばに不動尊が祀られていたことから不動の滝と呼ばれたそうです(泉流の滝とも)。注連縄もあり、堂々たる滝ですが、では人々はここで修行をしたのかというと、そういう人もあったのでしょうが、この絵ではむしろ水浴びを楽しんでいるように見えます。もちろん夏です。手前には縁台に腰を下ろして茶を求めている男もいます。女性たちも涼しげな風情です。

このあたりの石神井川は何か所も滝が落ちていたため「滝の川」とも呼ばれたようで、第八十八景は「王子滝の川」です。

名所江戸百景088
↑王子滝の川

蛇行する石神井川。この絵の右端に滝があり、弁天の滝といわれたもののようです。そこでは水に打たれている人があります。この人物はやはりなんらかの目的で信仰心によって打たれているのでしょうか。しかしその手前に見える小島のようなところには休憩所のようなものが設けられています。その奥には岩屋があり、鳥居が置かれています。この中には弁財天が祀られていたそうです。

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