フォルスタフ 

ベルディのオペラに「ファルスタフ」があります。『アマデウス』でおなじみになった、あのサリエリもやはり「ファルスタフ」というオペラ(オペラブッファ)を書いています。オットー・ニコライにも「ウィンザーの陽気な女房たち」があります。
タイトルロールのファルスタフ(フォルスタフ Sir John Falstaff)が面白いキャラクターで、女性たちの策略やどたばたのストーリーも相俟ってオペラ作曲家にとってはなかなか魅力的な素材だったのでしょう。
ウィリアム・シェークスピアの『ヘンリー4世』(Henry IV)『ウィンザーの陽気な女房たち』(The Merry Wives of Windsor)に登場するこの人物が文楽に登場するようです。
9月文楽東京公演で

    不破留寿之太夫(ふぁるすのたいふ)

が上演されるとのことです。
鶴澤清治さんが音頭を取られたのでしょうか? 以前から清治さんはこういうことを考えていらしたように記憶しています(違いましたかね?)。脚本はシェークスピア研究などの学者で、翻訳をなさる河合祥一郎さん。このかたは以前狂言「国盗人」(『リチャード三世』より)も書いていらっしゃいます。「不破留寿之太夫」というタイトルは「ファルスタフ」をもじったもののようですので、この記事では「フォルスタフ」ではなく、「ファルスタフ」と書いています。

ベルディのオペラは、大体次のような内容です。
金に困ったファルスタフがアリーチェ(フォード夫人)とその友メグに金目当てで言い寄りますが、彼女たちに送られた恋文は同じ文章で書かれていて、二人はこの男を許すまいと仕返しを計画します。また恋文の件を知ったアリーチェの夫のフォードは嫉妬して怒っています。
夫が留守のときに、アリーチェはファルスタッフを招き、メグもやってきます。さて懲らしめようとすると夫が帰ってきます。アリーチェはファルスタフに洗濯かごの中に隠れるように言います。そしてアリーチェは召使に洗濯かごを窓から川に投げ捨てるように命じ、ファルスタフは濡れ鼠。フォード夫妻もメグも喜びます。
一方、フォードの娘のナンネッタはフェントンと恋仲。しかし父親は医者と結婚させようとしています。
アリーチェとメグは、またもファルスタッフを懲らしめようと深夜のウィンザー公園に誘い出します。すると、妖精の姿になった村の人々がファルスタフをいじめます。妖精の姿を見ると死んでしまうという迷信があり、ファルスタフはそれを恐れて無抵抗だったのです。
フォードはこのときどさくさまぎれに娘と医者の結婚を村の人々に認めさせようとしますが、アリーチェの機転でナンネッタとフェントンとの結婚が披露されることになりました。
すべての事情を知ったファルスタフは「この世はすべて冗談さ」と笑いました。

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今回の「不破留寿之大夫」がどういう内容なのかは存じませんが、国立劇場のHPには「シェイクスピア=作 「ヘンリー四世」「ウィンザーの陽気な女房たち」より」とあります。ですから、ベルディのオペラにむしろ近いのではないかと今は想像しているのです。
60分ほどの作品だそうですので、洗濯かごの場面と公園の場面で手一杯くらいなのではないか、と思うのですが、だとするとほとんど「ウィンザーの陽気な女房たち」の内容になってしまいますので、国立劇場があえて「ヘンリー四世」のタイトルも挙げているところを見ますとそうでもないのかな?
清治師匠はかつて山田庄一さんの

  『天変斯止嵐后晴』(『テンペスト』)

も作曲されました。シェークスピアはお好きなのでしょうか。
さて、こういう作品を上演するということになると、おそらく

    反対意見

がたくさん出ると思います。
「新作を作るくらいなら古典を!」「通しを!」「埋もれた作品の発掘を!」というご意見はそれはそれでごもっともだと思うのです。私も昔の作品で面白いものがあれば復曲をお願いしたいです。
その一方、私は新作容認派です。これまでにも新作はいくつも上演され、残っているのはほんのわずかです。しかしそれは古典も同じことで、残るものはいずれにしてもわずかなのです。ですから、成功を前提とせずに挑戦するつもりで上演してもかまわないと思っています。
失敗の許されない民間事業と違って、試みができるのは国立だけだとも思っています。
ただ、新作を上演する場合、三味線音楽として糸に乗らないもの、義太夫らしくないものは感心しません。やはり曲が大事なので、今回は清治さんのお力があるそうですから、その点ではあまり心配はしていないのです。

これを一般劇場でやろうとするとおそらくチケット代は相当高くなるでしょう。国立だからこそ格安で・・・あれ? 60分の上演で4500円? けっこう高いですね。

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コメント

狂言では法螺侍というタイトルでした

藤十郎さま
新作というのは興味深いですね。
ワタクシ的にはシェイクスピアなら間違いの喜劇などが視覚的に面白い気がします。
いずれにしても楽しみです。

  • [2014/05/23 00:34]
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  • とみ(風知草)
  • [ 編集 ]
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♪おとみさん

狂言の「フォルスタフ」(法螺侍)は高橋康也さんでしたね。原作よりもオペラの方が面白いかな、というのは私の勝手な思い込みですが、文楽ではどうでしょうか。
また清治さんは超絶技巧曲をお作りになったのでしょうか。
仮に一回きりの上演になっても、作ること自体にも意味があると私は思っています。
次の世代の人は何か考えていらっしゃるでしょうかね。作者候補の人も出てきてほしいです。

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