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百人一首姥がゑとき」(一) 

葛飾北斎(1760〜1849)は数えの90歳まで生き、画家としての人生のきわめて長い人です。
北斎と言えばまず「富嶽三十六景」や「潮干狩図」(肉筆画)あるいは「北斎漫画」を思い浮かべられると思うのですが 、実際は美人画も役者絵も本の挿絵も、その他さまざまな分野の絵を描いています 。
「富嶽三十六景」「富嶽百景」「諸国滝廻り」など、揃い物の絵にもいろいろありますが、七十代の後半に描かれた

    百人一首姥がゑとき

という、おそらく百枚を計画していた揃い物があります。おそらく、というのは最終的に30枚ほどしか世に出ず、版下絵を併せてやっと90枚ほどになるというものだからです。
なぜ出版が途中で挫折したのかはよくわからないのですが、推定されているのは経費がかかり過ぎて採算が合わなかったのではないかという理由です。たしかに色も豊富で、ぼかしの技巧も繊細でよほどよく売れるか、あるいは値段を高く設定するか、何とかしなければ完成は難しかったでしょう。そしてもうひとつ、『百人一首』を「姥」が絵解きするというものではあるのですが、その絵解きが

    よくわからない

ためにさほど評判にならなかったのではないかという理由も考えられています。
私は浮世絵のことはよく解りませんが、平安時代の文学を愛する物として、ちょっと興味がありますので、この27枚の絵を眺めてみたいと思うのです。かなり頓珍漢なことを言うと思いますが、論文ではありませんし、敢えてそれを厭わずに思ったままを書いてみます。

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『百人一首』の第一番は天智天皇

  秋の田の刈穂の庵の苫を粗み
    わが衣手は露に濡れつつ

で、秋の田の稲刈りの時期、番をするために建てた小屋の屋根は目が粗く葺かれているので、私の袖は露にずっと露に濡れている、というような意味です。もっとも、実際この歌が天智天皇によって詠まれたとは思えず、厳密にいうなら作者不明です。しかし、『後撰和歌集』という勅撰和歌集にこの歌は天智天皇の作として入っており、勅撰和歌集から歌を採るという『百人一首』の方針からいうと、やはりこれは天智天皇を作者としておくのがよいのでしょう。冒頭に置かれたことにも意味があるはずです。『百人一首』は天智天皇、持統天皇という親子の天皇に始まり、後鳥羽院、順徳院という親子の天皇で終わります。
この歌に対する絵は次のものです。

天智天皇

全体のイメージは茶色っぽく、あぜ道はそれと区別するかのように、本来の色とはおそらく違った緑色に見えます。画面中央に三本の樹があり、梢はやや色づいています。遠景の山も同じような色合い。そう思ってみると、木々の間からのぞく家々の屋根も何となく同じような配色のように見えます。
着々と稲刈りが行われていて、農民が刈穂をかついでいる姿とともに旅人らしき人も往来しています。二人の旅人は着物と風呂敷の色が逆になっています。
人物はほとんど顔を見せていません。左半分の四人はあちらこちらを向いていて、動きが感じられます。
「秋の田の刈穂の」まではよくわかる絵だと思います。では「庵」はどこにあるのでしょうか。いわば番小屋ですから、さほど大きな物ではなく、しかも見晴らしはよく仮に建てる物だけにたいした設備ではない、というと左端のものでしょうか。しかし人が入るには小さ過ぎるようにも思えますし、「苫を粗み」といえるかどうか。また誰も人がいませんから「我が衣手は」以下も表現されていないことになります。
こういうところがよく解らないのです。わからないので突拍子もないことを書きます。
画面右半分には

    若夫婦と子供

かと思われる三人が描かれています。鎌を腰に差して左手にはタバコ入れとキセルのようなものを持った奥さん、鍬を左手に、笠を上げて前を行く息子を案ずる夫。そして「笠なんてかぶってられないよ」と言っているかのような、やんちゃ坊主。稲を刈り、整地しての帰り道なのか、平和な若夫婦一家の様子です。
この絵の人物の中で、私はこの子供がかなり強く印象に残りました。着物が赤く、目立ちますし、動きもアンバランスな姿勢で目を引きます。
子供の周囲には稲がいくつも干してあります。さながら家の屋根のような形に。いわば刈穂で作った小さな庵。いくらなんでも稲ですから屋根の部分は目が粗いです。そこで「わが子」が飛び跳ねていて稲にかかった露に濡れています。
秋の田の刈り取った稲で作った庵のような稲叢の屋根の部分の目が粗いのでわが子が転びそうになって露に濡れているよ、と右端の両親は思っているのかもしれません。
めちゃくちゃな解釈です。専門家の皆様すみません。

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