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伴大納言絵巻を読む(2) 

伴大納言絵巻は現在出光美術館所蔵です。海外に流れなかったことを喜びたいですが、だからといっていつでも自由に観られるというわけではない事には違いありません。
なにしろ国宝、800年以上前に描かれて、傷みもありますから、これ以上の損傷がないようにめったに表に出てくるものではありません。私もかなり長い間観ていないのです。ただ、今は写真の技術が進んでいるため、

    きれいな複製

を観ることができます。私が持っているのは中央公論社の「日本の絵巻」シリーズなどです(いくつか持っています)が、照らし合わせてみるとやはり微妙に色合いなどが違います。本物を観るに如かずなのですが、おおむねどういうものかはわかりますからありがたいものです。

冒頭は、本来はおそらく詞書があったものと思われますが、すでに失われていて、いきなり絵から始まるのです。なぜ失われてしまったのかはわかりません。冒頭だけに傷みもひどいのでしょうが、あるいはきわめて美しい文字で書かれていますので、この部分だけを切って誰かが持っていったのではないかとさえ思えます。
現在の形は描かれた当初とは違って三巻になっています。

    もともとは一巻

だったと思われるのです。それは古い文献にそういう記録があるからです。
で、分割する時や修理するときに切られたり貼られたりということがあったはずで、その時に上巻の詞書をまとめてどこかへやったのではないか。もしそうだとしたら、ひょっとして今もどこかにあるかもしれない、などとはかない望みを抱いたりしています。

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現存する絵巻物の冒頭はこんな絵なのです。

伴大納言絵巻 上 01

どうやら隊列を組んだものものしい男たちなのですが、最後尾の2人はなぜか後ろを向いています。
いったいなぜなのか、よくわかりません。もちろんこの前に別の絵があって、そこに描かれるもの(あるいは人物)を見ているのかもしれません。あるいはこういう描き方をすることで、後ろにも人がいることを想像させる意味があるのかも知れず、私はそう思っているのです。
最後尾の男は後続するものをにらみつけているかのようです。その前にいる騎馬の男たちは、実は検非違使(けびいし)なのです。京の警察や司法を担当した役所が検非違使庁で、そこの役人です。今で言うと京都市警察の刑事さんたちでしょうか。彼らが出動していると言うことは何か事件があったのでしょう。
実は火災なのです。火災なら消防では? と思うのですが、当時は火事があっても消そうという発想はなく、むしろ人々を取り締まることが大事だったようです。
たしかに、大火事なら水をまいたところで何の役にも立ちませんよね。
で、この検非違使の役人たち、なんだか動きが緩慢で、あまり緊張感がなく、視線もあっちこっち向いています。また彼らの足元を見ると、毛沓を履いているもの、浅沓のもの、そして裸足のものまでいます。どうもばらばらな印象を受けてしまいます。
ところが五人の騎馬役人の先頭に残念ながら剥落して姿は見えないのですが、リーダーらしき人物が馬に乗っている姿が描かれ、その前には松明をかざして先導する2人の人物が見えます。

伴大納言絵巻 上 02

この2人になるとかなり早足で、しかも松明の火が風に流されてスピード感があります。この2人が絵巻物のスピードを一気に上げるような役割を果たしているのだろうと思います。絵巻物はページを繰るのではなく、巻きながら見ていきますので、場面が途切れません。そこで、単調になりがちなのですが、こうう工夫をすることでずいぶん変化に富んだ場面構成ができるように思います。
この続きの場面はさらにスピード感があるのです。

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