fc2ブログ

ひさしぶりの仮名 

一般の方々に「伴大納言絵巻」のお話をするのはとても楽しみですが、その一方大変な時間を予習に費やしています。
そうでもしないとまるで私には手が出せないような難物なのです。
美術史の論文も読まねばなりませんし、日本史の勉強もしなければなりません。
最近は美術作品に科学的な分析を施すことが行われます。
非破壊、非接触で

     蛍光X線

によってどういう顔料が使われているか、などということがわかります。しかしこういうことは私が家でチョイチョイとできることではありません。予算を獲得して、専門家に頼んで、もちろん対象となる作品の所蔵者にお願いして・・・とても大がかりな仕事になります。
私は恩恵を受けるだけですが、この伴大納言絵巻に関してもその研究成果をありがたくいただいています。
たとえば、庶民の中に貴族が描かれているとなると、その貴族の顔の部分にはPbが検出される。つまり鉛系統の顔料が用いられていることになります(具体的には鉛白)。
高校生の時、何が苦手と言って化学ほど苦手、いや嫌いな科目はありませんでした。ですから、

    Pb が検出される

などといわれるとつい「プライベートブランドの絵の具か?」と思ってしまうありさまです。

にほんブログ村 演劇ブログへ
 ↑応援よろしく!

kgaeonrjuiをフォローしましょう

しかし、やはりこういうものを読む楽しみは、たとえ複製であっても、原典に触れることです。文字は活字でも読めますが、絵だけはせめてカラー写真がないとどうにもなりません。もっとも、写真は色にうそが多くて、いくつかの写真版を照らし合わせると、色が全然違っている、ということもあります。しかしぜいたくは言えませんので、いくつかの写真版を観ながら、味わっているのです。

文字は活字でも、と申しましたが、もちろん本格的に研究する場合は活字ではダメです。
受講者の皆さんにも本物を味わっていただくために、この絵巻物の

    詞書

はやはりあのごにょごにょした文字を読んでいただくことにするのです。
長年おいでになっている方は、「最初はまるで読めなかったのに、今はかなりいけます」とおっしゃってくださいます。そりゃあそうです。百人一首の古注釈、日蓮上人御法海、紫先式部日記、伊勢物語などを読破してきたわけですから。
しかもこの伴大納言絵巻の文字はとても美しく、見ているだけでほれぼれするくらいです。
この絵巻物には本来最初にも詞書があったと思われるのですが、それは失われています。
よって、今読めるものはこんにち「中巻」「下巻」として伝わっているものの中に書かれているもののみです。
ただ、この絵巻物の詞書とほぼ同文(完全に一致するのではない)が

    『宇治拾遺物語』

にありますので、最初の部分もおよそどういうことが書かれていたのかはわかります。
つまり情報としてはおおむね安心なのです。ただ、やはりどんな文字で、どういう書き方をしたものであったのか、などを知ることができないのはやはり残念です。

このところ、その詞書のない部分ばかり観てきたのですが、いよいよ中巻に入ったため、冒頭の文字を読むことになりました。
学生対象の授業ではできませんので、やはりうれしいです。

スポンサーサイト



コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://tohjurou.blog55.fc2.com/tb.php/3201-22d7bfc2