かみなり太鼓(2) 

当初、この話のごくわずかなあらすじ(チラシに書かれている程度)を見たとき、寅ちゃんと雷がもっとからむのだろうと思っていました。ところが大活躍するのはむしろ「おかあちゃん」。マッサージをしたり、義太夫をうなったり。雷を落とす(叱る)役割も重要です。
この「おかあちゃん」の首は老女形でした。これについてはいろいろ考えがあると思うのですが、勘十郎さんも熟考された上でこれになさったようです。
単純に考えたら雷より怖くて力も強いおかあちゃんなら『鎌倉三代記』の

    「おらち」

が思い浮かぶのです。「おらち」の首は丁稚です。つまり男の顔の流用。今回も私は話を詳しく知った後では首は「丁稚」かなと思っていたのですが、そうではありませんでした。
「丁稚」ではあまりにもありきたりだろう、と感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかしそれは文楽をよく知っている方の考えかもしれません。そのありきたりを真正面から見せるのが親子劇場の観客には合うのではないか、と思いました。
びっくりするような「おかあちゃん」。こりゃ力が強そうだ、と一見して思わせてくれるような人物。
「おとうちゃん」は

    ツメ首

を使われました。私は「端役」か「斧右衛門」あたりをイメージしていましたのでこれもちょっと意外でした。
人はよさそうで、子どもに優しくて、仕事はまじめ。ただし奥さんには弱い。そんな人物像がツメよりももう少しはっきり出てもよいのではないかと思ったのでした。

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この話は、なんといってもトロ吉がなかなか太鼓がうまくたたけないので悩んでいると、人間界の人たちのくれたヒントで見事にいい音でたたけるようになる、というところが眼目だろうと思ったのですが、

    力を抜いて

というような、やや漠然としたアドバイスだったように思いました。たとえば「おかあちゃん」のマッサージ技術、「おとうちゃん」の義太夫の語り方(おかあちゃんが語っていましたが、それをおとうちゃんにさせて)、そして寅ちゃんの何かの技術をうまく援用することでうまくなっていくような形もありうるかなと感じました。
段切ではトロ吉が空に上っていきますが、やや宙乗りの時間が長かったような気がします。
私は歌わせるのが好きなので、私なら最後にトロ吉が太鼓をたたき、おかあちゃんが三味線を弾きながら歌い、おとうちゃんは鼓を持って寅ちゃんと一緒に踊りだして(下座が入る)、空から自然に雲が降りてくる(あるいは雷仲間を乗せて)。そしてトロ吉を連れて帰っていくような幕切れもいいかなと考えました。

天神祭です。昼間の場面から、もっと天神祭のわくわくした雰囲気を見せることがあってもよいかな、とも感じました。冒頭の裸の話はなくてもいいから、あそこで天神祭を感じさせるのがよかったのではないか。

それにしても、最後の一節、

    「よそでいうたらあきまへん」

というのは芝居の約束事のような気もします。うまい!
「今日お話ししたことは、この場所で出会った私(作者、演者)とあなた(客)だけの秘密、内緒ですよ。ふふふ、楽しかったですよね」。
けっして大通りでだれかれなしに見せる芸ではなく、裏通りでこっそり楽しむ芸。そんなことをプログラムの中で小佐田さんご自身が桂枝雀さんのおっしゃったこととして発言していらっしゃいます。
こういうところはさすがに小佐田さんだと思うのです。話の落とし方ですね。学びたいと思いました。
(続く)

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