紀海音の「八百屋お七」(一) 

文楽のお七というと安永二年(1773)大坂堀江豊竹座で初演の菅専助、若竹笛躬らの『伊達娘恋緋鹿子』が有名ですが、その先行作には紀海音の

    『八百屋お七』

があります。
『伊達娘』は実際に半鐘を叩くだけですが、海音の作では実際に火付けをします。
いったいどういう内容なのか、覚書をしておきます。
上中下の三巻です。

上は吉祥寺。
火事で焼け出されたお七は避難先の吉祥寺で吉三郎と出会い、深い仲になります。自宅に戻った後も思いはやむことなく、両親が寺に行くのに付いていく形で下女のお杉ともども出かけます。そして吉三郎と逢い、心を確かめ合ったあと、起請文を交わすことにします。ところが、そのお七から吉三郎に渡された起請文は萬屋武兵衛の手にはいってしまいます。
吉三郎の父、安森源次兵衛の家来、十内がやってきて、住職と吉三郎に向かって

    吉三郎を出家させよ

という源次兵衛の言葉を伝えます。源次兵衛は若殿の放埓の尻拭いをして罪を得て浪人しています。
吉三郎はお七のことがありますから、それはいやなのです。そこで家を再興するためにという理由で拒否します。

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お七の親、久兵衛夫婦、武兵衛、太左衛門がやってきます。武兵衛は住職に向かって吉三郎の父は悪人だと罵り、吉三郎を追放するように言います。追放の理由はお七との密通だといい、起請文を読み上げます。「あなたに出家をやめさせるために私も嫁入りはしません」とあって、

    「よし様 お七」

と名も書かれています。久兵衛は怒り、どうせ吉三郎は家がほしさにお七に手を出したのだろう、などといって、お七を打ち据えます。
すると住職は「お七さんの相手は私だ。実はかつて避難してこられたとき、お七さんをみてかわいいと思い、戯れごとを言ったことがある。その起請文にある『よし様』とは吉祥寺のこと、つまり私のことなのだ」と言います。
武兵衛はとっさに「女狂いをするならなまぐさものを口にするだろう。ちょうど持っているこの卵を酒に入れるから、この卵酒を飲んでみろ」と住職に詰め寄ります。
住職はやむを得ず飲もうとすると十内が盃を取って捨て、吉三郎を打ち据えます。吉三郎が怒ると十内は源次兵衛の遺骨を見せます。実は源次兵衛はすでに

    切腹していた

のでした。
十内は源次兵衛の言葉つきになって「師恩を忘れて卵酒を飲もうとする住職を止めることもしないのは八逆の罪にあたる」と吉三郎を厳しくとがめます。あらに自分の言葉として「家目当てに恋を仕掛けたなどと町人に辱めを受けたからには欲からではないことを示すためにお七と縁を切って出家してください」と言うのです。

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