好色五人女のお七(三) 

仕事がらみで『好色五人女』の内容についてあれこれメモをしています。お付き合いくださっている方、ありがとうございます。

さて、思いがけず吉三郎と再会したお七ですが、彼は凍えています。精一杯暖めてやるとなんとか元気になりました。ところがそこに父親が帰ってくるのです。
姪の出産を喜ぶあまり、それ産着を用意してやろうなどとはりきっています。お七は吉三郎を隠して父を早く寝かせようとします。さんざんてこずらせた父でしたが、やっと寝ます。しかしすぐ隣で寝ていますので吉三郎と話もできず、二人は黙って

    筆談

をして心を通わせあうのです。こうして夜が明けて吉三郎は帰っていきました。

お七はある風の強い日にまたあの日のように火事になれば吉三郎さんのところにいけるのだろうかと思いつめ、出来心を起こして火をつけてしまいます。幸い小火で収まりましたが、火付けは大罪です。しかも彼女は正直に自分が火をつけたと白状しますので

    火あぶり

にならざるを得ません。
神田の崩れ橋(昌平橋)、四谷、芝、浅草、日本橋などでさらしものになって、鈴が森でついに十七の春の花を散らせてしまいます。しかし彼女は思い込んでやったことなので、やつれることもなく昔さながらに黒髪を結わせてうるわしい風情をしていました。
この場面、実にあっけなく書かれています。今の小説なら炎の描写をしたりそれがお七の心理を細かく描いたりすると思うのですが、西鶴はそうはしませんでした。

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彼女が処刑された鈴が森では旅人も知らん顔をすることなく、回向して通りました。
、恋の相手の男はなぜ出てこないのだろう、どうして回向もしないのだろうと世間の噂になっていた頃、、吉三郎は思い悩んで病になって、命も危ないほどだったのです。もしお七が処刑されたことを聞いたら生きてはいられないだろうからというので、周囲の人は「お七は助かった、今日明日にでも会えるだろう」とごまかしていました。お七の親類たちは一度吉三郎に会いたいといいましたが、これも遠慮してほしいと周囲が止めました。しかしお七の百か日の日、少し元気になった吉三郎が境内を歩いていると新しい卒塔婆があり、そこには

    お七の名

がありました。すぐに切腹しようとした吉三郎でしたが、僧たちに止められます。住職は「あなたは兄分の人から預かっているのだから、今松前にいるその人がこちらに戻るまではめったなことがあってはならないのだ」となだめて、とりあえず吉三郎は切腹を断念します。
兄分というのは衆道(しゅどう。男色)で兄弟の契りを結んだ「兄」のことです。
しかし、衆道では浮気はいけませんし、女性と関係を持つなどもってのほかですので、兄分の人が帰ってきても申し訳が立ちません。吉三郎はやはり死にたいと思っています。しかし、お七の親が「娘はあなたに出家して

    後世を弔って

ほしいといっていた」と伝えたこともあって、やがて彼は出家することになります。また兄分の人もいったん江戸に戻りながらもまた松前に行き、そちらで出家したのです。

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