紀海音の「八百屋お七」(二) 

中の巻は八百屋です。『伊達娘恋緋鹿子』の「八百屋」と共通する点がストーリーの上ではいくつもありますが、やはり人物の造型などは異なります。

師走も押し詰まり、餅つきの日です。使いに出る下女の杉は軒下にしゃがんでいる少年を見つけます。吉三郎です。杉は使いから帰ったらなんとか算段するから今は縁の下に隠れていて、と吉三郎に言って出かけます。
杉に言われたとおり吉三郎が縁の下に入ると、町年寄の弥三衛門が来て、久兵衛に

    武兵衛との縁組み

を改めて勧めます。久兵衛は「武兵衛は火事の後で『返すのはいつでもいい、証文もいらない』といって二百両を融通してくれた。しかし、いざ店を再建するとお七を嫁にくれと言い出し、お七がいやがるので断ったら、それなら

   『金を返せ』

と言い出した。金で娘を売るようなことはできない」と腹を立てています。
なおも弥三衛門が説得しているところに当の武兵衛が来て、とりあえず皆は奥に入っていきます。

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居眠りをしていたお七は目を覚ますと丁稚の弥作が来て、武兵衛とお七の婚礼の準備が進んでいることを告げます。お七が嘆くのを縁の下で聞いている吉三郎も足摺をしています。そこにお七の母が来て、「今は諦めて嫁に行きなさい。いやならこの家は武兵衛に渡さねばならない。親が困るのを見てはお前も吉三郎と添えるわけがないだろう。また、僧を女犯の罪に陥れては等活地獄に落とされる。両親を乞食にするかどうか、お前の心ひとつ。遊女奉公すると思ってとりあえず嫁に行き、

    いやがられるようなこと

をして離縁してもらって帰ってくればいい」と言います。かなり無茶な事を言っているように思うのですが、吉三郎はそれをこっそり聞いてもっともなことだと思っています。無茶ではあってももっともだ、ということは今でもよくあることだと思います。理不尽、ということですね。吉三郎は身に着けていた簑笠を脱いでとぼとぼと帰っていきました。

杉が帰ってきました。簑笠ばかりで吉三郎の姿はありません。さてはもううまいことやっているのかな、とのんきなことを考えてそこにいたお七を冷やかすと、お七は吉三郎には会っていないと言います。さては話を聞いて帰ってしまったのだろうと思ったお七は母とのやり取りなどを杉に話します。すると杉は「何が何でも嫌だと言わなかったのなら吉三郎さんが帰るのももっともですよ。お嬢様ばかりか私までが薄情者だと思われて恨まれます。もう今頃は出家でもされているでしょう」と

    突き放して

しまいます。お七にとって杉は唯一頼みに思っていた者ですから、彼女にこう言われるともはや完全に孤立してしまうのです。ここが大きなポイントだと思います。杉が立ち去るとお七は惑乱して「この家が焼けたらもう一度寺に行って吉三郎さんに会えるかも知れない」とまで思い詰め、ついに放火してしまうのでした。

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