鶯姫 

「竹伐爺」という昔話があります。『竹取物語』とは別の話です。
ちょっと尾籠な話も出てくるのですがご紹介します。昔話ですのでいろんなバージョンがありますが、そのうちの一つです。あるところにおじいさんがいて、竹を切っていました。四十雀(しじゅうから))が飛んできたのを捕まえて

    ひと呑み

にしてしまいました。その四十雀はおじいさんのお尻から足を出しました。ところでおじいさんの切っている竹はお殿様の持ち物で、切ってはいけないのです。そこにお殿様がやってきて、「だれだ! 竹を切っているのは!」とおかんむり。おじいさんは「私は日本一の屁こき爺」でございます」といったので、殿様はおもしろがって「ではどんな屁なのかためしてみよ」とおっしゃる。おじいさんが屁をこくとさきほどの四十雀がお尻から足を出しているのでなんとも不思議な音が出ます。このミニコンサートにお殿様は大喜び。ご褒美をもらったのだそうな。
まだ話は続くのですが、ここでおじいさんが

    鳥のおかげで

大金持ちになることに注目しておきます。鳥を我が物にしたおかげで富裕になる話ということです。
よく似た話に「鳥呑み爺」というのもあり、こちらはおじいさんが山で弁当を鳥にやったらその鳥がおじいさんの口の中に飛び込んできておなかに入ってしまうのです。そしてへそから羽が少し出ていて、それを引っ張るとおもしろい音を出すのでこれまたお殿様に聞かせて褒美をもらう話です。
こういう具合にあるきっかけで富裕になるという話を昔話や説話文学の分野では「致富譚(ちふたん)」と言っています。鳥による致富譚ですね。
『竹取物語』の翁もかぐや姫のおかげで大金持ちになるので、この部分は「致富譚」の形を取っています。しかしかぐや姫は人間の姿をしていて、鳥ではありません。

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ところが、『竹取』の伝承の中にはかぐや姫は竹から生まれたのではないという話もあるのです。
『海道記』という鎌倉時代の紀行文の中に引用されている話があります。それによると、竹取翁が竹林の中で

    鶯の卵

から孵った女の子を見つけ、連れて帰って育てたところ、それ以後翁は青竹の節の中に黄金を見つけることがあり、たちまちに大金持ちになった、とあります。『海道記』の中では彼女のことを「赫奕(かぐや)姫」とも呼びますが、「鶯姫」とも言っています。鶯の卵から生まれたということは、彼女は鶯です。つまりこれもまた鳥を我が物にしたことによって大金持ちになる翁の話なのです。
そういえば、『竹取物語』の中にも、翁はかぐや姫を家に連れて帰って「籠(こ)に入れて養ふ」とありました。籠に入れて育てるというのはやはり鳥ではないでしょうか。どうもかぐや姫は鳥のイメージがあるようです。実際、彼女は最終的には天の羽衣を着て月の世界(天上界)に帰っていきますが、やはりこれも

    空へ飛んでいく

ともいえるわけで、鳥とは無縁でないような気がします。
ここに書いたのは私が発見したことではありません。あの柳田国男大先生のおっしゃっていることです。

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