検非違使の装束 

検非違使には、罪を犯したもの=穢れたもの=を捕らえて罰して「清める」という役割があるのだと思います。社会を清く維持するのが彼らの職務です。
こういう仕事の場合、やはり常人とは

    異なった装束

を身に付けることも必要かもしれません。
警官がスーツにネクタイで交番にいてもあまりありがたみがありません。消防隊はあの防火服を着ているからこそ頼りになります。
一見して「あの人の職業は」と分かることが必要なのかもしれません。制服とはそういうものでしょう。
検非違使の装束は絵画資料に残っています。伴大納言絵巻にもこんな絵が出てきます(模写)。

模写41 馬上の廷尉

これはもう、一見して検非違使と分かるのです。
馬上の人物が

    検非違使尉 (けびいしのじょう)

で、一行のリーダ-です。
カラーではないので分かりにくいですが、彼は白い襖(おう)とその下に見える赤い下襲(したがさね)が特徴です。そして弓を手にして矢を背負い、腰には太刀と立ちの鞘にぶら下げた弦巻(つるまき。二重円に見えるもの)を備えています。

手前にいるのは馬の口取りを勤める下部。そして特徴的な人物は検非違使尉の後ろにいる二人の男です。これも色が分からなく持て申し訳ないのですが、ふたりとも赤い装束を身につけ、手にする弓も赤です。彼らを

    火長(くわちやう)

といい、まことに目立つ存在です。
別の意味で目立つのが奥にいる男。なんとも悪そうな(笑)顔をしています。これが放免で、犯罪を犯したものが放免されて検非違使の下部として雇われたものです。彼は何やらぐにゃぐにゃした棒のようなものを持っています。検非違使一行の中に必ずいる人物で、この棒は実用的な鉾(ほこ)とは違って

    威儀の鉾

とでもいうような「めじるし」の役割を持っていたのではないかと思います。
尉がいて、火長がいて放免がいて、このほかに烏帽子ながら鎧を着けた随兵がいて、隊列を組んで行くのです。さすがに庶民の目でこの隊列を見たら怖いでしょうね。
下の絵ももはや一目瞭然です。

法然上人絵伝
↑法然上人絵伝の検非違使

右端の男が尉。その後ろが赤い弓を持った火長、さらにその後ろのやはり人相の悪いのが放免です(左端の男はやはり「威儀の鉾」を持っています)。この絵ではもう一人童が描かれています。
下の絵は『年中行事絵巻』からです(とても乱暴に写しています)。
ここでも馬に乗っているのが検非違使尉、左端の放免はやはり「威儀の鉾」を持っています。

年中行事絵巻の検非違使

平治物語絵巻にも検非違使一行は描かれており、やはり全く同じような姿です。

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