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道頓堀の残り香(2) 

道頓堀の蕎麦屋の二階には、師匠を待ちかねたお弟子さんがずらっと勢揃いされている・・・のだと思っていたのですが、実は小宴を催していらしたグループの方以外はどなたもいらっしゃいませんでした。やがて女性がお一人(以下、Kさんと書きます)おいでになって、テーブルを寄せたり座布団を整えたりなさいます。もうお一人を待って始めるのだとか。
もうお一人の方というのは、

    文楽の第一部

をご覧になっていて、終了次第おいでになるとのことでした。
やがてその方がおいでになると、どこかでお顔を拝見したような記憶があります。彼女(このかたも女性)は大きな鞄から三味線を取り出して組み立て始めます。なんと、東京の女義さんの竹本KHさんでした。道理で・・・。
お稽古はKさんからで、KHさんはその三味線を弾かれます。

    『傾城阿波の鳴門』「順礼歌」

でした。
もうほとんど床本をご覧にならなくても語れるほどのかたで、きっと名調子だったのだろうと思います。お口の動きから「シテシテ、ととさん、かかさんの名は。アイ、ととさんの名は十郎兵衛、かかさんはお弓と申します」などよくわかります。それほどに口がよく開いているのです。
師匠はさかんに注意なさって、ほとんどご一緒に語られるような熱心さ。たった今本番を終えてこられたのに、すごいものです。

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続いてKHさんの稽古。こちらは朗読に近い形で『生写朝顔日記』「明石船別れ」。さすがにかなりすらすらと進みます。師匠が注意されると、KHさんは鉛筆でサササッとメモしながら次へ次へと進みます。
語り終えられるとしばし休憩。このとき、KさんとKHさんに少しお話をうかがいました。
師匠はしばし姿を消され、5分ほどで戻ってこられました。このあと「稽古その2」をなさるのだそうで、あまり長居するのも憚られ、私は「ここで失礼」とカメラマンさんと一緒に帰ろうと思いました。すると師匠が「今、下でコロッケもろて食べてきてん。お二人にも夕ご飯頼んどいたから食べて帰って」とさりげなくおっしゃいます。

    「鴨肉の親子丼

ですねん。お金払(はろ)たあるからね」とのこと。どちらかというとこちらが何かご馳走しなければならないのに、びっくりしました。
おごっていただいたから言うわけではないのですが、白蕎麦と鴨肉の親子丼は出汁がとてもおいしくて絶品でした。あまり食欲はなかったのに、私はぺろりと食べてしまいした。
愛想のいいおかあさんは「師匠のお客さんやから」とお茶の気配り、そしてそろそろ出ようと思った頃にコーヒーまで出してくださいました。
朝日座の筋向かい、更科の蕎麦、浄瑠璃の稽古、三味線の音。

    道頓堀の残り香

というべきかぐわしさを堪能できた時間でした。
中国語や韓国語の飛び交う(と思われる)若者と外国人観光客の町になった道頓堀を難波駅の方へ歩きながら、ただただ「昭和」を懐かしんでいました。

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