生写朝顔話3(有朋堂文庫による) 

大磯揚屋は大きな山場。二段目の切に当たります。
ここで駒沢次郎左衛門が主君大内義興にどのように諌言するのでしょうか。鎌倉に勤番の義興ですから、大磯になっていますが、実際は江戸勤番で吉原を暗示しているのでしょう。ですから、登場するのは松葉屋であり傾城瀬川です。

<大磯揚屋>
大磯の松葉屋では今日は廓中の女を総揚げにして大踊りをするという注文が入って亭主の仁左衛門は大忙しです。注文の主は

    大内義興

です。岩代多喜太にせかされた仁左衛門が勝手へ行くと赤星運八がやってきます。岩代に「殿(義興)は傾城瀬川と後から来る」と伝えると、岩代は相談があるといって赤星とともに奥に入ります。
やがて義興が瀬川らを伴って千鳥足でやってきます。岩代が現れると義興は「田舎からやってきた新参者(すでに駒沢次郎左衛門となっている宮城阿曽次郎)が会いたいと言っているらしいが踊りの中に呼んで恥をかかせよう」と言います。岩代が「駒沢がもし諌言したらどうしますか」と問うと「相手にしない。しつこく言えば

    手討ち

にする」とまで言います。
やがて踊りが始まり、召された駒沢も現れます。駒沢は諌言に来たのではなく、叔父の跡目を相続したため殿にお目見えしたかったこと、一度でも殿のおそばでお酒の相手をしたいと思って来たのだと言います。義興が大盃を進めると駒沢は見事に飲み干し、岩代に盃を回すのですが、岩代は飲み干せず、義興は駒沢を気に入り、奥で飲みなおそうと新造禿とともに座を立ちます。

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後に残った駒沢は瀬川に向かって「もし殿を心から大切に思うなら頼みたいことがある」と言って花生けの車返しの桜(里桜の品種)を取り、また床の掛け物の楊貴妃と玄宗皇帝を例にとって「桜はいつまでも咲いているわけにはいかず、散ればこそ潔い。玄宗皇帝と楊貴妃も永遠ではなく馬嵬(ばかい)で死別することになった。それなら日陰に活けられて嵐を避ける工夫もできよう。『手折るとも人なとがめそ桜花今日ばかりとぞ盛りをも見め』」と謎をかけます。
駒沢は一間に入り、瀬川は謎を胸に奥へ行きます。
岩代と赤星が現れ、「駒沢と瀬川の関係は奇妙だ、不義ではないか。もしそうなら好都合だ」と話し合い、打ち合わせをして奥の間と奥庭に別れていきます。
奥では義興は寝息を立てており、瀬川は思案に暮れてなにやら書いています。禿を遣わして駒沢を呼ぶと、駒沢が忍び足でやってきます。瀬川がさきほど書いていた紙を渡そうとすると岩代が

    「不義者」

と叫び、空寝をしていた義興は瀬川を斬りつけます。さらに駒沢にも切りかかろうとしますが、駒沢は言いたいことがあると抵抗します。
義興は不義の証拠だと瀬川の書いた手紙を取り上げますが、それは玄宗と楊貴妃の馬嵬の別れがつづられた漢文でした。
駒沢は「国許では薬王樹や家宝の霊符の尊像を奪われ、養父了庵から殿の放埓を諌め申すようにと厳命を受けてきました。瀬川殿に命を所望する謎をかけるとこのような見事な漢文で馬嵬の別れを書き綴られました。わざと殿の手にかかったのは戦場で命を落とす家来以上のけなげさです」と諫言し、瀬川は苦しい息の下で「せめて来世では夫婦だといって欲しい」と願います。義興は感じ入って

    「未来は夫婦だ」

と約束して本心に立ち返り、それを聞いた瀬川ははかなくなってしまいます。
岩代は「殿が本心に返られたのはよかった」とごまかして去ります。
義興が「今後は駒沢を師範として儒学を学び、家宝を奪ったものを探し出そう」と誓い、駒沢は「まず手始めに」と小柄の手裏剣を松の枝に向かって投げると赤星が落ちてきます。
そして一同は館に帰っていくのでした。

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