市民大学「道行の美学」(2) 

浄瑠璃では心中する男女の道行があります。『曽根崎心中』『心中天網島』『心中宵庚申』など。時代物の道行はさまざま。恋人(夫婦)の道行(安達原)、主従の道行(菅原)、夫婦のようで夫婦でない男女の道行(廿四孝)、女と護衛の道行(千本)、親子の道行(忠臣蔵)、三人の男女の道行(妹背山)などがあります。それぞれ趣向を凝らしています。
道行は、『菅原伝授手習鑑』のように二段目に来ることもありますが、概ね四段目。また『妹背山婦女庭訓』のように四段目の前半からすぐに続く場合もありますが、二段目あたりで姿を消した人が久しぶりに登場するのがおもしろいと思います。『忠臣蔵』も『千本』もそうですね。

    竹本義太夫

は『貞享四年義太夫段物集』「四段目の事付り道行」で

一 間を広くもたれぬやうに語るべし。浄るりも大様結びになり、人の気も尽くる頃なれば、少しももたれては悪しし。道行のこと、節事の第一とするなり。貴賤老若男女、長道中、一日路、船路、山路のかはりめ有り。されどもこれは心持ちばかりなり。三味線にうちそひて優しく語るなり

と言っています。お客さんも疲れる頃なので、もたれてはいけない。優美に語るべきなのですね。
道行は太夫さんも美声がいいです。「義太夫語り」とは言いながら、やはりここは歌うように。実際、歌も出てきます。「縁を結ばば清水寺へ参らんせ」(忠臣蔵)は二上りの歌。
三味線も調子が高く、天に昇るような華やかさ。かと思うと心中ものでは沈み込んだような節も。

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そんな道行の美しさを少しでもお話ししたいと思って勉強しました。しかし相も変わらずのレベルに終わり、受講者の皆様の落胆はいかばかりかと思います。そんな時、おれにゃあしょうげえてめえという

    強い味方

があったのだ。
そうです。今年も人形に登場してもらいました。
受講者の皆様の目がパッと輝き、「もたれた」話から一転華やかな道行へと移ったかのようでした。
会場は三列になっていますので、演壇に向かって左側の通路がちょうど歌舞伎の

    花道

のような位置になります。そこでツメ人形と娘人形が旅をするていにして入場してもらいました。ツメ人形は振り分け荷物を肩にして、三度笠を手にしている姿です。そして娘人形の手を引いて歩いている。実際江戸時代に旅をするのに手を引いてというのはまずなかったでしょうが、そうしなければならない理由があったのです。
人形を持ってくれるのは二人。そして人形は二体。つまりそれぞれ1人ずつで持ってもらうわけです。ツメの左手は三度笠で隠して、ぶらぶらしないように固定しました。娘の左手は隠すものがなく、そこでツメの右手で娘の左手を持つようにしたのです。こうすると娘の左手も生きているように見えますよね。
こうして講座は何とか終わりました。しかし、もう文楽のお話しは無理だと思います・・・。

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