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合邦といえば 

この公演、かなりの評判なのが

    摂州合邦辻

のようです。住、綱の床ならむべなるかなですね。
話としては「そんなあほな」の代表格みたいで、谷崎潤一郎が「痴呆の芸術」と呼びたくなったのもわからないではありません。
第三部のお三輪もそういうところがありますね。しかし、どちらも犠牲になる女性の哀れが演じられているのであって、生き血云々は道具立てに過ぎません。

この作品で思い出すのは

    十世豊竹若大夫

…といっても、昭和42年に亡くなっていますので、私などナマの語りを知るすべもありません。
テープで聴いただけです。

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とにかくすさまじい力でした。
開いた口がふさがらないというか、聴き終わったあと呆然としたくらいです。
十世若大夫は徳島の出身で、子供の頃から熱心に稽古をした上でプロになられたのです。が、目を患われて、晩年は

  無本(つまり何も見ないで)で

語られたのだそうです。
ほんの短い時間でも、例えば忠臣蔵七段目序盤の平右衛門などを思い出せば分かるように、無本というのはなんとなく「大丈夫だろうか?」と思ってしまいます(笑)。それが一段すべて無本で語り通すのですからすごいものです。
暗記すること自体は、芝居の経験のある方ならおわかりのように、まあなんとかなるものです。
しかし、あの複雑な節による音曲を、精一杯の感情を込めて一人で60分も70分も語るのですから、

    すさまじいプレッシャー

ではなかったでしょうか。
そしてあの血を吐くような名演。
若大夫という、義太夫に匹敵する大きな名を継いだだけのことはある、と思わせるものでした。
NHKからテープが出ています(まだ売ってるのかな?)。お好きな方は一度お聴きになってください。

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コメント

無本というのは

怖いですね。確かに、大夫の方々は、浄瑠璃の言葉はすべて暗記して語っておられるのだそうですが、舞台で人前で大声で語っていると、自分がいま、どこをやっているか、わからなくなるので、床本でどこまでいったか確認している、というようなことを聞いた覚えがあります。(やや不正確な表現かもしれません)オーケストラの指揮者が譜面を目の前に置くのも同じようなことらしいです。だから、あれだけ全身全霊を傾けて語って、最後まで一段語れるというのは、もうほとんど無意識にまで浄瑠璃が叩き込まれていた、ということでしょうね。私もあの奏演は大好きです。三味線は今は亡き野沢勝太郎師匠、この方のもすごい迫力でした。

後遺症が!

私もそのテープ聴きました。そのスピードと迫力に込められた溢れる情感は、テープですら度肝抜かれました。

あまりに印象が強すぎたのかそれ以降どなたの奏演を聴いてもそれ以上の感動を得ることができなくなってしまいました…。

古の名人の記録に触れるのもいい勉強になるし、実際とても感動しますが、こんな後遺症もあるんやなあと思い知りました。それほど壮絶な奏演でした。

>まゆみこさん

オケの指揮者でいうと暗譜ですね。これは当然みなさんやってるわけで、それでも譜面は必要なんですね。
太夫さんは指揮者兼演奏家みたいなもんですから、すごいですね。
七世駒太夫という方も目が不自由だったそうで、やはり無本だったと越路大夫さんの本にあったはずです。
勝太郎という人も豪腕というのか、激しく、面白い三味線でしたね。

>睡蓮さん

やっぱりそうですか。まゆみこさんや睡蓮さんはぜったいに感動されたと思っておりました。
義太夫という芸の真髄を垣間見たような気がしましたねぇ。
睡蓮さんの後遺症を治してくれる太夫さんの登場を期待したいですね。

後遺症が! その2

藤十郎さん
ちょっぴりご無沙汰しました。私も睡蓮さんと同様です。あのまるで血を吐く様な地の底から絞り出すような「ヲイヤイ」を聴いた時の衝撃!私の「合邦」はこれで「封印」されてしまいました・・・。

今公演の「合邦」は都合で初日の「万代池」のみ拝聴。今週再度参りますので綱・住両師匠の語りが楽しみです。

>戸浪さん

若大夫という人は山城、綱の陰に隠れてこんにちあまり話題にならないように思うのですが、昭和の文楽史で忘れてはならない人でしょうね。
面白い浄瑠璃だたんだろうなぁ、と想像しています。

孫が英大夫さん?

若大夫さんのお孫さんが、たしか英大夫さんでは? 英大夫さんに、若大夫を継いでもらいたいですね。

>やたけたの熊さん

そうですね。若大夫師匠が亡くなったあとでこの世界に入られたのですね。
若大夫というのはすばらしい名前なので、復活して欲しい名跡のひとつです。
染大夫、春大夫、津大夫などの大名跡の復活も話題性がありますし、花形名の濱大夫、松大夫、呂大夫、つばめ大夫なども中堅の方に名乗らせてあげたらどうなのだろうと思います。

それほどとは

今日は場外でいろいろとありがとうございました(*^.^*)

住大夫さんの「ヲイヤイ」と錦糸さんの泣く三味線にやられてきました。12月の重の井子別れの時とはまた違った涙と鼻水に困りながら見てきました。。。

しかしこちらのエントリを拝見すると、それほどのものは聞きたいような、こわいような、、、とりあえず記憶の片隅に留めておく事にいたします。

聴いてみます!

十世若大夫さんの血を吐くような名演、近いうちにテープを入手して聴いてみます!どれほど凄いのか、今からドキドキします。
「摂州合邦辻」は、江戸よりずっと前の時代の匂いがするお話ですね。旅芸人が村々を回りながらこういう話を伝えていたころの泥臭い匂いがするというか。荒唐無稽な話ですが、綱大夫・住大夫師匠方の芸の力で、その世界にずるずると引き込まれます。文雀さんの玉手御前は色気と、父に刺されてからは俊徳丸に対する母性が感じられました。文吾さんの合邦道心も力強くて素晴らしかったです。
ところで、両親に尼になるように勧められる場面で、玉手御前が「・・尼の坊主のと云ひ出しても下さんすな」の後に「キイっ」と、まるでヒステリーを起こしたように言ったように聞こえたのですが、毎回そういう語り方なのですか?
「キイっ」に合わせて、絶妙のタイミングで合邦道心と妻女がコケたので、あまりにもおかしくて笑ってしまいました。
個人的には「奥州安達原」より「合邦」の方がずっと好みの話です。

  • [2007/02/18 22:26]
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>cocoさん

はい、場外でも何かと・・乱闘したわけではありません(笑)。
住大夫さんもすばらしいですよね。私の知る合邦ですばらしかったのは、津大夫さんですね。
一昨年は若大夫さんのご令孫である英大夫さんの素浄瑠璃も聴かせていただきました。
今は心の隅にとどめておいて、機会があればお聴きになってみてください。

そうそう、思い出しました。錦糸さん(錦弥時代)からうかがったお話です。
師匠の代役で合邦を弾いた時に年配のお客さんが「錦弥、よう弾いたな」とつぶやかれたのをごひいきさんから伝え聞かれたそうで、それがとても嬉しかったとおっしゃっていました。
錦糸さんにも思い出の曲ということになるのでしょうか。

>おはつてんじんさん

住、綱、文雀、文吾ときたら引き込まれますよねぇ。俊徳丸が清三郎さんと(今日から)簑二郎さん、浅香姫は勘弥さん。このあたりの中堅陣もよさそうな気がしますが、いかがでしたでしょうか?
若大夫の合邦は私一人がそう思っているだけなら信用できませんが(笑)、まゆみこさんも睡蓮さんも戸浪さんも絶賛していらっしゃいますので間違いないと思います。ぜひノックアウトされてください(笑)。

はい、もちろん・・

清三郎さんの俊徳丸は品がよく、勘弥さんの浅香姫は清楚な感じ。そして紋豊さんの遣われる合邦女房は、母の情愛があふれておりました!本当に舞台のまとまり方が見事でした。

  • [2007/02/19 00:16]
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>おはつてんじんさん

紋豊さん(わたしはいまだに勘寿さんと言ってしまいます)はこれから必ず円熟の芸を見せられるとにらんでいます。大器晩成だと思って期待しているのです。ただ、婆首が合うかどうかについてはちょっと自信がないのですが。
文吾さんの合邦がしっかり動いているだろうなぁと想像するだけでも楽しいです。

文吾さんの合邦!

もちろん合邦庵室の文吾さんも素晴らしいですが、今回は万代池の段で暴れまくってはるのがとても印象的でした。最後の次郎丸をやりこめるところなんて、ほとんど次郎丸がボコボコにされていて、文吾さんも楽しんで遣ってはるんやろなあ~とそれもまた嬉しく拝見しました!

おはつてんじんさま

横レススミマセン!!
あの玉手の「キィッ!」は、「俊徳様に逢うたらば、あっちからも惚れて貰ふ気」を「貰う…気っ!!」と語ってはったように覚えています。前回夏の大阪でも綱大夫さんが同じところを勤められましたが、やはり同じように語っていらっしゃいました。

♪睡蓮さん

お客さんを楽しませる文吾さんらしいですね。ほたえるところはほたえ、泣かせるところは泣かせ。
万代池で暴れ、庵室では道心ぶりを見せ、それぞれの合邦の顔でしょうか。

睡蓮さま

「キイッ」の秘密が分かりました。ありがとうございます!

  • [2007/02/19 23:16]
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♪おはつてんじんさん

おはつてんじんさん、睡蓮さんありがとうございました。私、なんだろうなぁ、と思いながらつい触れずにいたら睡蓮さんのナイスフォローでした。しかし、睡蓮さんはいつもご自身で語りながら聴いてらっしゃるんでしょうかね。

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