猪名川内の雰囲気 

文楽初春公演に出た『関取千両幟』は「猪名川内から相撲場」でした。今回は「相撲場」で取り組みの場面までありました。
あまりにもあっけない結末で、そう簡単に身売りができるのかな、とかいらぬことを考えてしまいました。そもそもこの話は前の部分がないので、事情が今ひとつつかめないまま愁嘆場になってしまいますからわかりにくいです。
それでも眼目の「猪名川内」はおとわの気持ちが温かく、たまにはこの演目もいいと思いました。
今も大阪府池田市と兵庫県川西市の間などを

    猪名川という河

が流れています。兵庫県には猪名川町という町もあります。川西市というのは猪名川の西ということなのでしょう。相撲取りの猪名川も池田の出身ということになっています。
その猪名川の家は相撲取りだけに普通の家とはやはり違っていました。この独特の雰囲気が芝居を効果的にしていると思います。
床の間には「摩利支尊天」の軸があります。摩利支(尊)天は軍神として武士の信仰を集めたことが知られますが、同時に勝負の神ということで相撲取りにも祀られたようです。
壁には贔屓の人から贈られたものの目録が貼ってありました。

    「米十俵」

とか「幟」とか「清酒」とか。「のし」や「贈」の文字が朱書きされていました。いいですね。いろいろもらえて(笑)。

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余談ですが、私も公開講座をしていると、贔屓の方、じゃなくて受講者の方が思いがけないプレゼントをくださることがあるのです。たとえば昨年秋に名古屋で源氏物語絵巻の展示がありますとご案内したのですが(まさかどなたもいらっしゃることはないだろうと思っていました)、3人の方が「行ってきました」とおっしゃって、図録をくださった方があったのです。図録って、数千円しますから、とんでもないと申し上げたのですが、「あなたにあげようと思って買ってきたんだから」とのことで、お断りできませんでした。・・・余談でした。

猪名川の家の外には一斗樽が三つ。銘柄は剣菱でした。これもいいですね。公開講座の方、私は一升瓶でもいいです(笑)。
こういう華やぎすら感じさせる雰囲気の中で猪名川とおとわの深刻なやりとりがあるから、さらにしっとりしていて、情があると思ったのです。ここは

    大道具さん

の腕の見せ所でもあるのでしょう。
猪名川の衣装(「いな川」の文字が見えます)も大事です。相撲取りは勝負の場では裸ですが、だからこそ普段の着物がどれほど粋か、というのは重要だと思います。これは

    衣装さん

の仕事。
文楽に限りませんが、芝居はやはり共同作業の面があります。役者がどれほどよくても、脚本がいかに立派でも、それだけではじゅうぶんとは言いがたく、裏方さん、そしてお客さんの力も含めてこそだなと思います。

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