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太夫陣に光明を(2) 

聴き巧者の方々からは「お前はわかっていない」と言われると思います。確かに私は太夫さんの善し悪しを論評できるほどの経験も見識も学問もなく、挙げ句の果てには耳までダメにしてしまいました。そんな私が何を言っても「わかっていない」のは当然のことです。それでも私は黙っていたくありません。
「今の太夫はダメだ」なんて、遥か昔から言われてきた

    陳腐なことば

です。ところがその「ダメ」な太夫が年齢を重ねて技芸も成長するとまた「この人は立派だけど、今の若手は・・・」になるわけです。嶋師匠が出ない文楽は文楽じゃない、と思われるならそれでもかまいません。ファンの自由です。でも、嶋師匠が出ない文楽も文楽だというファンもたくさんいてほしいし、きっといらっしゃるだろうと思います。
「日の当たらない世代」というものがあるのかもしれません。野球で、王、野村、張本、長島などが活躍した世代のあと、とか、サッカーで釜本、杉山、横山、小城らの活躍した世代のあと、とか。
上の人と比べられて、

    まだまだ

と言われるばかりの世代。太夫でいうなら、今60代の方々。
名前ひとつをとってみても、初名のままの人がどれほど多いことか。襲名というのは功成ってするものではないと私は思っています。四世越路師匠は30歳でつばめ太夫、49歳で切語り、52歳で越路大夫。四世津大夫師匠は25歳で濱太夫、34歳で四代目を襲名されました。

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それぞれその大きな名前を背負うことによって重圧を力に変えながら精進されて名人となられました。住師匠でも還暦の時に襲名されましたが、そのとき津大夫師匠が口上で「未来の文楽を背負って立つ人材だ」という意味のことをおっしゃいました。「今の文楽は越路君や僕が背負う、君はまだ

    これから勉強して

もらわないと困る」という励ましもあったと思うのです。一方、越路師匠の引退の時、住師匠は「功成り名遂げての引退はまことにおめでたい」とおっしゃいました。そう、功成り名遂げて、というのは引退する時でいいのです。
太夫さんにとって、「切」の字がつくことと大きな名を襲名することは大きな励みのはずです。ネット上で、住、源、嶋の「切語り」が舞台を去っても安易に英さんや津駒さんを切語りにすべからずという意見をよく目にします。咲師匠が切語りになる時も

    時期尚早

とおっしゃる方が多かったのを記憶しています。
でも私に言わせると、すぐにでも英、津駒、千歳の三人を切語りにしてほしいくらいです。若大夫、津大夫(あるいは濱大夫)、染大夫になってくださったらもっと嬉しいです。もちろん、ほかにも文字大夫、呂大夫などの名前が似合いそうな方はいらっしゃいますが。
「おまえはばかじゃないか、寝ぼけたことを言うな」と言われるのもかまいません。こんなブログで何を言ってもごまめの歯軋りですが、ごまめにはごまめなりの言い分もあります。

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コメント

確かに

 いまの太夫陣が完璧とは言わないでしょう。しかし義太夫節の正統を受け継ぎ、人を感動させる力は持っておられます。これで昇進できないなら、いったいどこまでいけば、ということになるのではないでしょうか。
 それほどのんきに構えてはいられない状態だと思いますが…

♪まゆみこさん

この記事は、書いているうちに興奮してしまったようです。
4月公演で「切」の字は付かなくても切場を語る太夫さんは特に頑張っていただきたいです。もちろん山の段を語る方々も。

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