江戸っ子気質 

谷崎潤一郎は東京市日本橋区蠣殻町(今の中央区人形町)生まれ。その先祖はどうやら近江商人だったらしいのですが、ご本人の意識としては「代々の江戸っ子」でしょう。
ところが関東大震災(大正12年9月1日)に箱根で罹災。神戸に避難して芦屋から苦楽園、本山、岡本、夙川、魚崎、芦屋(のちの富田砕花邸)、住吉、魚崎などに住み、その後は岡山県真庭、京都南禅寺下河原、下鴨泉川、神奈川県熱海伊豆山、神奈川県湯河原などに移っているのです。谷崎という人は転居癖のようなものがあって、震災前に関東にいたときも本所小梅、本郷曙町、小石川、鵠沼、小田原十字町、横浜と頻繁に住処を変えています。
関西にはずいぶん長くいましたが、大阪には住んでいません。むしろ周辺から

    じっと観察

していたようにも思えます。「私の見た大阪及び大阪人」は大阪の中にどっぷり浸かって大阪を描いたのではなく、関西に居住しながら大阪を客観視しているところに特徴があるのかもしれません。
関西以外の人には、関西=大阪と思われている方も多いのですが、京都と神戸と大阪ではかなり違います。神戸の人に「大阪の方ですか?」と尋ねたら多くは頭から否定すると思います。京都の人に「神戸の方ですか?」と訊いたら、「神戸みたいなもん、西の彼方どすがな」と言うかも(笑)。

    阪神間

に住む私は、京都も神戸も大阪も客観的に観ていて、大阪に対する視点は谷崎に近いかもしれません。私はそれでも関西人の気質を強く持っていると思ってきたのですが、谷崎のエッセイの中に書かれている一節を読んで自分のことを言われているのだろうかと思う部分がありました。

にほんブログ村 演劇ブログへ
 ↑応援よろしく!

kgaeonrjuiをフォローしましょう

「正直で、潔癖で、億劫がり屋で、名利に淡く、人みしりが強く、お世辞をいうことが大嫌いで世渡りが拙く、だから商売などをしても、他国者の押しの強いのとはとても太刀打ちすることが出来ない」。こういう型の人がいるという部分です(私の場合は「正直」の上に「バカ」がつくと註釈しておきますが)。
これは江戸っ子だそうです。しかも「敗残の江戸っ児」。「敗残」って・・・。さらに谷崎は、こういう人たちは「大概痩せていて、脚が強く、日に一里二里の道を

    歩くこと

を苦にせず五十銭か一円も小遣いをやればそれを持って浅草あたりへテクって行って、活動を見るとか、鮨の立ち食いをするとかして、半日を愉快に過ごす。酒も好きだが多くを嗜まず、一合の晩酌に陶然として・・・」などと書いています(大谷崎の文章に「テクる」という俗語が出てくるのもおもしろいです)。一里二里どころか三里でも四里でも歩いてしまう私は、ひょっとして筋金入りの江戸っ子気質なのでしょうか?

    財産を守ること

を大阪の人はとても重視していて、それはフランス人にも当てはまるのだそうです。私も以前から大阪人とフランス人には何だか共通点があるような気がしていて(どういう点かをうまく説明できないのは谷崎先生とのレベルの差です)、大阪弁とフランス語も発音が似ているようにすら思っていました(笑)。私は財産を作ることもできずに、子どもたちから恨まれそうですが、江戸っ子気質ならそれでもいいか、と自己弁護しています。

スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://tohjurou.blog55.fc2.com/tb.php/3833-1a5c90db