瓜子姫 

授業で竹取物語の話をし始めています。最初の時間に、昔話の世界で言う「小さ子」について話しました。小さく生まれた子が大きく成長して主人公になっていく話です。典型的なのがかぐや姫であり一寸法師でしょう。
かぐや姫は竹から生まれたのですが、

    鶯の卵

から生まれたという伝承もあります。どちらにしてもきわめて小さいのです。
一寸法師は活躍するときは小さいままで、お椀の船に箸の櫂。針の刀で鬼をやっつけます。小さくても強い。これは日本文化の大事な美意識のひとつです。
権力や暴力に服従せず、小さい力でそれらを完膚なきまで叩きのめす。蟷螂の斧と言われても屈することがない魂を我々は愛してきたように思います。
桃太郎はどうだったのでしょうか。大きな桃が流れてきたので、最初から大きな子どもだったのでしょうか。そうかもしれません。しかし案外、

    普通サイズの桃

から生まれた、小さい男の子だったのではないか。そんな想像もしてみたくなります。私は「日本一」の幟を掲げて、犬、猿、雉を家来にして鬼が島に乗り込む桃太郎はあまり好きではありません。そんなの、最初から勝ちそうじゃないですか(笑)。ああいう姿は実は新しい桃太郎で、明治以降の軍人少年みたいな造型になっているのでどうも苦手なのです。鬼畜米英っていうのは、「西洋列強は桃太郎の鬼だ」といっているわけでしょう。

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桃太郎に似た出生をするものに「瓜子姫」があります。瓜から生まれた瓜子姫。文楽ファンにとっては「瓜子姫とあまんじゃく」でおなじみです。
ところがこの話、学生はあまり知りません。「桃太郎や瓜子姫」と話すと、「桃太郎は知ってますけど、瓜子姫ってなんですか?」と何人もの学生から聞かれました。どちらかというと、

  瓜子姫の方がおもしろい

と私は思うのですが。
瓜子姫はあまのじゃくに襲われて、ひどい目に遭います(殺される、という伝承もある)。あまのじゃくが瓜子姫に化けてお殿様のお嫁さんになるために車に乗せられていく途中、瓜子姫を吊るした柿の木の近くでカラスが「その瓜子姫はにせものだ。本物はこの柿の木に吊るされている」ということを伝え、彼女は救われる。こういう話が今は一般的だと思います。
桃太郎が川上から流れてきた桃から生まれるのは、桃の持つ神秘性、不老長寿のパワーを感じさせ、また桃が流れてきた川上には桃源郷があるのではないかとすら思えてしまいます。
では瓜子姫はなぜ瓜から生まれたのか。瓜は古くから食用に用いられ、さほど青臭くもなくさっぱりしたこのましい果実だと思います。形も桃のように女性(=母)のからだをイメージさせるほどではありませんが、人が生まれてくるものとしてさほど不自然ではないように思います。そういう意味でも彼女にふさわしかったのかもしれませんが、もうひとつ、瓜子姫が

    織り姫

であることにも関わりそうに思います。瓜子姫は機織りが大好きでうまかったのです。これは七夕の織女と同じです。そして七夕には瓜を供えることが昔から行われています。そんなことを合わせて、次の授業では学生に瓜子姫の話をしておこうと思います。またシラバスから外れる(笑)。

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