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ノートを書く日々~文楽評への道程 

学生時代から文楽は好きでした。
しかし、あくまで私の本職は平安時代の文学と歴史の研究。
ですから、文楽を批評的に見ようなどとは思ってもいなかったのです。

ところが、気持ちの変化が起こりました。それは

  国立文楽劇場

ができたことがきっかけでした。

昭和59年4月。
朝日座時代は簡単だったチケット取りが、文楽劇場の杮落とし公演に関してはちょっとしたプラチナでした。
今の東京公演ほどではないにせよ、なかなかいい席は取りにくかったのです。
それでもがんばって劇場まで取りに行ったのは、当時付き合っていた(笑)6歳年下の女性と行くことになっていたからです。
まだ20代の私は、やはり少しでもいい席を、と思って張り切っていました。

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彼女は文楽初体験。演目は

  『義経千本桜』

の三段目、四段目で、彼女は「すしや」の長さに圧倒されてくたびれたようでした。
が、私はといえば、越路大夫・清治と呂大夫・清介に圧倒されてしまい、これをなんとか文字にしたい、という思いがふつふつと沸いたのでした。もう横にいる女性なんてほったらかし(でもなかったけど)。
これを言葉にするにはどうすればいいのか、どういう言葉ならこの感動を伝えられるのか、初めて真剣に考えました。

今も私の文楽評の原点にはこの

  どういう言葉ならこの感動を伝えられるのか

というのがあります。
帰宅してから、ノートを作り、そこに感じたことを書きなぐりました。
以後文楽に行く時には、ノートは必携となり、言葉との格闘が続いたのです。
そんなことをしているうちに、『上方芸能』に宮辻政夫さん(当初はペンネームで安土政夫)の文楽評が始まり、これがお手本になりました。

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コメント

越路大夫・清治

いま思うと、なんとも贅沢なコンビですね。とくに床の越路師匠は、怖いくらいの気迫と、理知的な雰囲気を出しておられました。たまに目が合ったときに(気がしただけかも)、ついうつむいてしまいました。
義太夫はするどく、そして格調高くて。

ところで6歳年下の女性は、いまの奥様ですか?

ほんとうに・・・

どういう言葉ならこの感動をつたえられるのか・・・
今の私にとってムズカシイ課題です。
住大夫さんの「合邦」を聞いて衝撃を受け、思いは溢れているのに・・皆様とこの思いを共有したいのに、伝える言葉を知りません (^^ゞ
こちらの皆様のコメントを拝見して、日々勉強させて頂いています☆

♪やたけたの熊さん

越路師匠が二代目喜左衛門師匠のあと清治さんと組まれたのはさすがに炯眼ですね。当時30代だった清治さんの気迫いっぱいの「すしや」を私は生涯忘れません。このあいだの「弁慶上使」も忘れませんけどね。
6歳年下の女性、今頃はどこにどうしてござろうぞ。最後に会ったのは18年くらい前です。

♪ミッチさん

むずかしいですよね。
酒場談義ではいろいろ言えるのに、それをきちんとした文章にしようとすると困難を極めます。
批評は「よかった」「もうひとつだった」という言葉で誤魔化してしまうものが多いのです。もちろん私もやってしまいます。反省すべきです。そんな「評」(?)を読んで誰が納得できるでしょうか。
私は7年間やってきましたが、結局自分で納得の行く文章は書けませんでした。文楽に対して失礼な話で、やはり私には荷が重過ぎる仕事だったなと思います。
2月の「合邦」。錦糸さんも含めてすばらしかったようですね。
ぜひミッチさんならではの感想を書いていただきたいです。

今日はそのときの女性をお呼びしております、どうぞ~

みたいな趣向はどうでやす?

♪うりぼーさん

じ、じつは、そ、その人は、うりぼーさんなんです、っていうのはどうでやす?

観る目、書く力。

 文楽を見始めて、休憩時間にプログラムに星取表みたいに○×?チェックを入れ、帰宅後にノートに印象を綴るようになりました。
最初のうちは、自分にしっくり来るとか、来ないとかいう感想でしかなかったのです。
 簡単に良い、悪いというだけ済まされない芸の奥深さに引き込まれてゆくのに、自分の言葉はなんて稚拙なのだろう…文楽を知れば知るほどそのもどかしさを感じるようになりました。
 藤十郎様の記事や皆様の書き込みを拝見して、自分の文章について考えさせられる事が多いです。私も観る目、書く力を養いたいと思います。

♪蝶子さん

見て、聴いて、面白ければそれでいい、というのも文楽の楽しみ方だと思うのです。
でも、つい何か書いてしまうことってありますよね。
この間東京である方からプログラムに挟まれている「床本」を見せてもらったら、その人もなにやらびっしり書き込みされていました。
いい批評、といわれるものを一度でいいから書いてみたかったのです。

本文から大幅にずれますが、申し訳有りません

文楽の巡業、今夜は大分だと思いますが、私は仕事をサボって(許可はとってあります)戸畑(北九州市)に行って参ります。

私も良い席を狙っていたのですが、博多座だのそっちに気を取られて(12月15日が発売日です)うっかり忘れていた所、良い席はもう既に満杯でした。
帰ったらレポートします。午前中は下関です。

♪しろくまさん

この巡業、前半は西の方なんですね。
各地のご贔屓が集まって、皆さん楽しみながら回っていらっしゃるのでしょうか。
ご感想、お待ちしております。

いつまでたっても稚拙

な書き込みしか出来ない戸浪です。
それでいいとさえ思っています。
(単なる言い訳・・v-12

【文楽好きの一観客】というのが私のスタンス。初めて見た時の初々しい感想。数年後同じ演目を見た時に抱く感想。当然初回とは違うと思うのです。私はそれを自分の中で「比較」「反芻」するのが好き・・です。

だから何年も(と言ってもそう長くはありませんが)見続けているのかもしれませんね。同じ演目でも出演者が違うと舞台の印象は異なると思いますし、観客側も例えば年齢・環境の変化等でやはり違って見えるのでは?それも「観劇の楽しみ」の一つかと。

皆さんの感想をうかがうのも、とても楽しみ~♪ですね。自分が見逃した箇所を発見させてくれたり、同じ芝居を見ていても百人百様。それがまた面白い~~と感じます。
いつまでたっても「拙いまま」の戸浪の言い訳コメントでしたぁ~v-12

♪戸浪さん

私も【文楽好きの一観客】に戻れそうで、ホッとしています。
きれいに聴こえたら本当に幸せなのでしょうが。
伝統芸能の楽しみのひとつは、同じ演目を繰り返し味わうことでしょうね。
自分が年をとって初めて本当に分かった演目もあるでしょうし、若いころは何故あんなに感動できたのだろうか、というのもあるかもしれません。
「沼津」は父を失って、「寺子屋」は子を持って、「網島」は浮気し始めて(うそですよ)いっそう深い味わいが出てきました。
文楽って、ほんとうに、いいもんですね。

えっ~!!

>私も【文楽好きの一観客】に戻れそうで、ホッとしています

えっ~~!!そんなぁ~~~。

「上方芸能」の文楽評はリアルタイム
ではないので、読んでいて後から舞台を回想する楽しみがありました。文面からは何か温かいもの(文楽への愛でしょうか)が感じられました。
私のような「お気楽観客」と違い「批評」というのは気骨の折れる大変なお仕事と拝察していますが、お続けになるのはどうしてもご無理ですか? そうだとしたら悲しいです・・。

♪戸浪さん

どなたかが「耳」になってくださったらともかく、このままだと、「『上方芸能』はいつまでこんないいかげんなやつを使い続けるんだ!」ということにもなりかねませんよね・・。

ノートや~~い

それにしても、ノートをきちんと整理できていないのがダメ人間らしいところです。
もう、何十冊になるはずですが、あちこちに散在している状態で、探すのに苦労します。
きちんと一箇所にまとめないといけませんね。

曽根崎心中


きのうは文楽巡業・大分。
乾いた喉にしみいる水のように、四ヶ月ぶりの文楽に浸って、ゆっくり「湯で戻し」されてゆく、幸せな一日でした。
ことに「曽根崎心中」天満屋の段。
いのちからがら抜け出して、一瞬、目をとじて徳兵衛によりそう、うっとりと丸いお初の顔が、まるで観音さまのようでした。
床下でじっとうずくまる徳兵衛に差し出されたのは、お初の足でもあり、観音さまの白い御手でもあったのだろう、と。
きょうになっても、まざまと思い出される、お初・徳兵衛でした。
道行の出。頭巾をとったおふたりは、そっくりおなじ表情。
そうでなくとも道行好きのわたしには、もう、それだけで胸がいっぱいになり、後は、涙に霞んで、夢のように切なくうつくしい終焉でした。
終わっても、すぐには立ち上がることができない。・・極楽でした。

♪直次さん

「曽根崎心中」は簑助・勘十郎ですね。
現代最高のコンビで、充実した舞台だったとのリポート、同席していたような気になって、なんだかうれしです。
お初の足は言葉を超える能弁なものになっているようですが、直次さんはそこに観音様を見られたんですね。
曽根崎心中は観音廻りに始まりますから、お初はその化身のようになっていったのかもしれませんね。
直次さんの感動がひしひしと伝わってまいりました。

勘十郎さんの徳兵衛の

刻、一刻と変ってゆくこころもちが、うちかけからそっとのぞく、目を閉じたほとんとうごかない顔だけで、ありありとわかる。
この、不思議さと感動。
奇跡を観るような気さえしました。

♪直次さん

直次さんのように受け取ってくださるお客様があって、勘十郎さんも幸せです。そして直次さんも幸せでしょう。
いい雰囲気の公演でしたねぇ。

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