講座を終えて(5) 

草の庵を見つけた長者が戸を開けると、そこには千手観音像が建っていたのです。しかも驚いたことに、その手には提げ鞘と紅の袴がありました。
長者は「あの童の行者はこの観音様の化身だったのだ」と気づき、一同は感激してしまいます。鎧姿の無骨な武者たちも随喜の涙を流し、鎧を脱いで矢を折り、刀で自らの髻を落としてしまう者もいました。
長者も妻も娘もその場で髪を切り、出家してしまいます。
これが『粉河寺縁起絵巻』のあらすじです。
この話を絵と言葉で表現したものを十回にわたって読んできました。私は美術の創作については分かりませんので配色がどうとか構図はどうなっているとか、そういう話は苦手です。そうではなくてむしろ当時の

    庶民の生活

の様子などを考えながら読んでいくのです。
たとえば以前書きましたように、鹿の皮がどのように用いられているかを絵の中に探ってみるのです。すると鹿という動物がいかに当時の人々の生活に密着していたかが分かってくるのです。また、家がいくつか描かれますのでその構造はどうなっているのか、壁は何でできていて、戸はどういう造りになっているのか。橋はどのように作られていたのか、馬に装着されているものは乗る人によってどう違うのか(例えば身分や男女)などなど、さまざまなことに感心を持ちながら

    調べてはお話し

しているのです。
私は決して物知りではありませんので、すべて調べるのです。源氏物語同様、かなり時間がかかりますが、それはすなわち私自身の勉強ですので、まるで苦になりません。

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さて、受講してくださった皆様はどうお感じになっているのでしょうか。実は私が分からないことだらけですので、しょっちゅうあれこれ教えていただいています。「これについて、どうお思いになりますか」というのは私の口癖になってしまいました。
いただいたご感想の中に

    「カルチャーセンター

での古典文学講座は『読んで解釈する』が中心で、せいぜい『変体仮名を読む』というのが付くくらいで、物足りないと思っていた。だから『絵とともに読む古典』ということを聞いて参加してみた」というものがありました。カルチャーセンターに呼ばれるような一流の先生だとそれでも話題が豊富ですからなんとでもなるのでしょうが、私のような超三流はそうはいかないのです。話すだけでなく、なにか

    飛び道具

が必要です(笑)。それだけにパワーポイントという道具を使える時代はありがたいです。これを使って板書代わりにすることはもちろん、絵、写真などを多数ご覧いただきながらお話ししています。絵巻物の講座ではスライドの大半が何らかの絵、写真で、以前なら本を持っていって、受講者の皆様に回覧するのが精一杯でしたから、効率が全然違います。
ご満足いただけているかどうかははなはだ心もとないのですが、後期は『吉備大臣入唐絵巻』に挑もうと思って今から準備しています。

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