金壺親父恋達引(1) 

井上ひさしは稀代の作家だと思っています。私がもし作家になれるなら、漱石でも三島でもなく井上ひさしのような作品を書きたいです。芝居はおもしろく、鋭く、深みも味わいもある。小説も同じで、よく調べられて、話の作りが堅牢で、しかし重くならず、それでいて読後の余韻がすばらしいのです。井上さんのおっしゃる「むずかしいことをやさしく・・・」のお考えどおりです。
昭和40年代にNHKが作家の方々に依頼して、新作文楽を作る試みをされました。そのうちのひとつに井上さんの

    金壺親父恋達引

がありました。それにしても、NHKも昔はこんなことをしていたのですね。今はもうこういうことを望んでも仕方ないのでしょうか。NHK大阪が企画、主催して毎年一度でいいので素浄瑠璃の会を開き、そのプログラムのひとつに必ず新作を入れる、ということくらいしてもらえないものかと思うのですが。黒字にはならなくても、お客さんはある程度は入るはずです。放送もまずはラジオでいいのです。
『金壺親父』は、今回の公演プログラムの説明では、最初

    昭和47年

にラジオで、翌年には人形を入れてテレビで放送されたそうですが、さすがに私はまったく存じませんでした。まだ文楽に関しては横目で見ている時代でしたから。
私が知ったのは昭和61年のテレビ放送で、太夫は住、織(後の綱、源)ほか、三味線は清治ほか、人形は玉男(先代)、簑助、一暢ほか。もちろん玉男師匠が金左衛門でした。

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古い話なので、そのときどう思ったかはあまりよく覚えていないのですが、さすがに芝居としておもしろいものだ、と感じたことだけは記憶しています。その後、この作品は新潮文庫に入ったはず(標題は『藪原検校』)で、私はその形でも読みました。しかしそれ以後はふっつりと縁が無くなり、何となく忘れた存在になっていたのです。テレビは

    VHS

に録画してありますが、DVDにし損ねたまま放置してあって、劣化してもはやどうにもならないのではないかと案じているくらいです。ついでながら、同じテープには越路、清治、玉男(先代)、勘十郎(先代)らの「河庄」も入っていました。これは朝日座時代のものだと思います。
さて『金壺親父』です。この作品が舞台では初めてとなる上演だというので大いに楽しみにしていました。
曲は

    野澤松之輔

ですが、さすがにどういう曲だったのかはまるで覚えておりませんし、テレビでこの作品を観た当時は作曲者まで気にしていなかったと思います。覚えているのはやはり古典のパロディの部分で、まだほとんど浄瑠璃のおもしろさなどしらなかった私も、ハッとして聴いた覚えがあります。松之輔師は六世寛治、二世喜左衛門、十世弥七各師などとともに、私の文楽初心者のころに亡くなっていますので、実際に聴いていたかもしれませんが、個人名(特に三味線弾きさんは・・・)などまだ興味がなかった頃だったのです。

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