公開録音(2) 

朝比奈さんの、実況録音とも少し違うレコードの評判がどうだったのか、私は難しいことは分かりません。しかし、ああいう体験をしたことはとても貴重だったと今は思います。
演奏会に行くとブラボー屋、という、曲が終わったら余韻を楽しむことすらしないで「ブラボー!」と声を上げる人がいます。実況録音で何よりも邪魔な存在です。あの日集まった聴衆はそんな人は一人もいない、と思わせる、

    紳士淑女

ばかり(あ、私は除きますが)でした。
話が変わるのですが、ずいぶん以前、NHKテレビで落語の放送があるというので楽しみに観たことがありました。六代目松鶴師匠も出ていらっしゃいました。ところが、これがなんとも間の抜けたものでした。スタジオ録音で、聴衆はゼロ。笑い声も笑顔もないカメラの前で演じられたのです。どうしてこんなことをするのだろう、と思いました。一流の演者だから、

    聴衆がいなくても

いい芸ができるはずだ、という発想なのでしょうか? 最近は公開録音になっていてお客さんが入っていると思います。しかし、文楽はどうでしょうか。この夏の公演で上演された「金壺親父恋達引」が昭和61年に放送された時はスタジオ収録でした。FMで放送される素浄瑠璃もたいていスタジオ録音。人を入れようと思ったら経費もかかるでしょうし、何かと面倒なのは分かります。しかし、こういうところがどうも役人的発想に思えてならないのです。

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NHKは文楽協会ができたときにも大阪府市、関西財界とともに支援してくれたのです。その後も応援団であり続け、しょっちゅう文楽の放送をしていました。視聴率なんて取れないでしょうが、祝日などにふとテレビ欄を見ると放送があるのです。まだビデオデッキなど家にない頃などは特に見逃してはなるものか、と思ったものでした。
ところがその後はふっつりテレビ放送が減ってしまいました。

    襲名披露

とか何かそういうものがない限りあまり見かけません。
それでいて「邦楽の楽しみ」などのFM放送で素浄瑠璃の放送はしているようです。しかしそれは原則的にスタジオ録音でしょう。やはりお客さんの前で語るのとマイクの前とでは違ってくるのではないでしょうか。落語のように「笑い」という「音」になる反応は少ないですが、お客さんの息づかいというものがあると思うのです。放送する立場からすると「笑い」には

    演出効果

があるのでしょう。以前テレビのお笑い番組では笑い声を過剰に入れていたように思います。それに比べて「息づかい」なんて、特にラジオ放送では、直接的にはほとんど役に立たないでしょう。
でも、NHKが文楽を支援するなら、文楽の技芸向上に益するようにという思いがあるなら、スタジオにお客さんを入れる、文楽劇場の小ホールを借りるなどの方法で公開録音にしてもらえないものでしょうか。
1回で放送2〜3回分は収録できます。あまり役に恵まれない人も積極的に使って、できれば年に1作くらい新作を作ってこういう場に出してみてほしいのです。失敗なんて怖れていてはいけません。
もちろんそういうことになっても、私は行けませんけれども。

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