人形の修理 

研究室で「同居」している文楽人形のうち、娘の人形がとてもかわいそうな状態になっています。髪が乱れ、衣装はほころんでいます。といっても、衣装を新調するには、なにしろ特注ですから、数十万円かかってしまいます。貧しい学園がそう簡単に出してくれるはずもなく、ましてもっと貧しい私の手には負えません。
髪の結い直しは、劇場を引退されて鬘司庵にいらした名越さんにお願いしたことがありますが、名越さんは惜しくも亡くなりました。劇場の職員である床山さんにお願いするのはお立場を考えると微妙に気が引けて、今のところさほどひどくは乱れていませんのでそのままにしています。
実は、一番の問題は「手」なのです。手のひらの開閉をつかさどる仕掛けの糸がダメになりました。完全に切れたわけではないのですが、どうしようもない状態です。この糸は三味線の二の糸で、文楽では三味線弾きさんの

    あがり糸

つまり使い終えた糸を使っているようです。
夏に劇場に持って行って相談しようと思ったのですが、技芸員さんと時間が合わず、そのままになっています。さしあたり使うこともありませんのであわてないのですが、いつまでも放っておくことはできません。
でも、これくらいの修理なら

    自分で直して

もいいかもしれない、と思わないでもないのです。たぶんこうすればいいのだろう、ということはわかるつもりなのです。要するに、三味線の糸を手の中に通して結ぶということです。簡単な話です。

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三味線はありますし、その糸はそこそこ使い古していますのでもう「あがり」にしてもかまわないのです。
先日、歌舞伎竹本三味線の野澤松也さんにうかがったら、人形細工師の四代大江巳之助さんは十代竹澤弥七師匠のあがり糸しか使わなかったのだそうです。どういうことなのか、素人の私にはよくわからないのですが、やはり三味線弾きさんによって違うのでしょうね。有吉佐和子

    『一の糸』

では主人公の露澤徳兵衛(清太郎)は稽古でも一回使った糸は二度と使わなかったことになっていますが、弥七師匠もそういうことだったのでしょうか。
私の手元にある三味線の糸は絹ではありませんので、巳之助さんなら絶対に使わなかったのでしょうが、ないものは仕方がありません。
そんな上等でなくても使えないわけではないし、そもそも三味線のあがり糸にこだわることもないわけで、凧糸のようなものでも絶対にダメということはないのでしょう(いや、それはダメか)。
もうひとつ、厄介なのは

    手の汚れ

です。若い女性の手ですから、真っ白なのがいいのです。人形に塗る絵の具である胡粉は日本画で普通に使いますから今でもそういう店に行くとチューブ入りのものを売っています。入手は簡単です。問題は塗る技術なのです。私は、知る人ぞ知る、図画工作は何よりも苦手な不器用人間。絵筆なんて持ったら何をするかわかりません(笑)。ムラだらけの手にしてしまってはかえって人形に申し訳ないのです。
・・・とうわけで、いろいろ思案しているのですが、やっぱり餅は餅屋ですから、劇場に持って行って相談するのが良さそうに思えます(笑)。

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コメント

ワークショップ

ちょっと先になりますが11/19のだしまきにお人形をお持ちいただき、人形遣いさんに手の修理を、床山さんに蔓の補修をしていただき、実技をみんなで見物させていただく”ワークショップ ”なんてできれば嬉しいです。なんてふと思ったのです。

でも、床山さんにしても道具のそろった劇場の仕事場でなければできるものではないですよね。

♪やたけたの熊さん

そうですね。
両輪さんではできませんから、第二部が始まる前に床山部屋に持っていって、三味線の上がり糸を分けてもらうとか、ちょこっと塗ってもらう、とか(笑)。
「国立」の職員さんなので、何かと気を遣ってしまうのです。

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