ないないづくし(1) 

学生からしばしば訊かれることがあります。「語彙が少ないんですけど、どうすればいいですか?」。
私はそういうとき、「言葉を新たに覚えようとするよりも、まず自分の知っている言葉を存分に使えるようにしましょう。『新たな語彙』を増やすよりも

    『使える語彙』

を増やしませんか?」と答えるようにしています。
大学生にもなると言葉はかなり知っているのです。ところがそれを活用できていない。文章を書かせると同じ言葉を繰り返し使う学生が多いのです。たとえばわずか1行あとに同じ言葉が出てくると読む者としては目障りなことがあります。しかしそんなことは意に介することがありません。「その二か所の同じ言葉のうちひとつをあなたの知っている

    別の言葉

に置き換えてみませんか?」と、言って訂正させてみます。たったこれだけのことでも文章がすっきりします。
こんな具合に、何か別の言い方はないだろうか、と考えることで新たな言葉遣いが学べますし、そうすることによって「使える語彙」も増えるのです。
・・・とまあ、えらそうに言っているのですが、学生さんははたしてどう思って聴いているのやら。

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実は、私自身が語彙には自信がないのです。おそらく「日本語を専門としている」と標榜している人間の中ではかなりレベルが低いと思います。すぐれた作家などはなぜあんなに言葉を知っていて、あんな言葉をこういう具合に遣えるのだろうか、と不思議に思うことがあります。
いや、作家というよりは詩人かもしれません。詩人というのは、

    言葉の壁

をいかにして突き破るかを常に考えている人種だと思うのですが、そのためにはまず壁となる言葉を知らなければならないはずです。詩人で「使える語彙」を駆使している人というと谷川俊太郎さんを思い出すのですが、私などあの方の足元にも及ばないのです。
先日、どうしても書かねばならない文章があって、それにかなり苦戦しました。といっても、書くべき字数は少なく、ほんの600〜800字くらいで済むはずなのです。ところが、いきなり最初の言葉が出てこないのです。学生にえらそうに言えた義理ではありません。
朝早くからパソコンと白紙の前に座ってさあ書こうとするのですが、考えても何も出てこない。

    ちょっと休憩

を何度繰り返したことか分かりません。そもそも語彙がないし、それをまとめあげる文章力がないし、そもそもそんな難しい仕事をするに足る能力がないのです。よくも文学部出身などと大きな口が叩けたものだと思います。ないないづくしで、ほとほといやになってきました。

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