『源氏物語』逍遥(四)ーあふさきるさにー(その2) 

 雨について饒舌が過ぎましたが、それは今回から話題にする帚(ははき)木(ぎ)巻が雨を抜きにしては語れないからです。
 「光る」などと世間で大げさにいわれているものの、実のところ、光源氏はあまり面白おかしい恋愛話はなくて、昔物語に登場する色好みの交野少将には笑われたであろう、と、この巻の冒頭は少将ならぬ中将になった十七歳の光源氏を揶(や)揄(ゆ)するように始まります。
 光源氏の宮中での宿直(とのい)所は桐壺(淑景舎)でした。内裏の物忌みに五月雨も重なって、若いエネルギーを発散するすべもなく閉じ込められてしまった憂鬱な夜のことです。この設定について、江戸時代末期の国学者萩原広道は「初めに長雨の晴れ間なきを言ひ起こして、物語のしめやかなるべき下組をなしおき(最初に長雨の晴れ間がないことを言い起こして、物語のしんみりとした下準備を整えて)」(『源氏物語評釈』)と言っています。
葵の上(光源氏の妻)の兄の頭中将が桐壺にやってきて、女性からの手紙を見たいと催促し、見せろ、見せないの応酬のあと、頭中将はちょっとした女性不信論を語り始めます。「欠点のない人などいるはずもない」「自分の得意なことを吹聴して他人をけなす人が多い」「その女の世話をする女房は、女の欠点は言わず、わずかな長所を大げさに言うのでたいていがっかりする」等々。頭中将とてまだ若者なのですが、光源氏より年長ということもあってか、女性のことは知り尽くしていると言わんばかりです。そのうちに頭中将は上流、中流、下流という階層に言及し、「中の品(中流)の女性にこそ個性がうかがえるのだ」と言って、中流女性になじみのない光源氏の関心を誘います。

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