かっこいい引退(2) 

松香太夫さんは春子師匠が亡くなった後、南部太夫師匠門下になられたと思うのです。
それで、竹本南都太夫さんの結婚式にも出ていらっしゃいました。
実は南都さんの結婚式には私も出していただきましたが、そのとき、咲師匠ご夫妻、咲甫君(まだ10代の少年でした)らと同じテーブルだったのです。そして松香太夫さんも私の真向かいにいらっしゃいました。
スピーチも

    きわめてまじめ

で、周りの人と談笑されるというより、ずっと緊張したような硬い表情をなさっていました。
いかにも松香さんらしく感じました。
松香太夫さんは、本公演では端場とか掛け合いが多かった方でしたが、以前はよくNHKのラジオに出演され、「尼崎」などの大曲も語られました。
下手くそどころか、


    義太夫節の肝要

を押さえたきちんとした語りだったと思います。こういう方がもっと評価されてもいい、と思いました。
『東海道中膝栗毛』では笑わせていただきましたし、「長町裏」の義平次は憎たらしかったです。
同じ春子師匠門下の英太夫さんが襲名される直前の引退、文楽劇場ではなく気楽な会での語りで最後、しかも「雪転し」。
こういう引退もあるのだ、と記憶したいです。
そんなかっこいい引退だと思います。

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コメント

思い出

もう30年近くまえになるでしょうか。「友の会ファンの集い」があって、劇場2階ロビーで技芸員の方々とファンとが、立食を楽しみました。
わたしの隣にたまたま松香太夫さんがおられたのでビールをお注ぎしました。松香太夫さんは「えらいすんません」と恐縮されて、わたしにビールを注いでくださいました。
わたしは文楽に接してまもないころでしたので、あれこれ思いつくまま質問しました。松香さんは、ていねいに教えてくださいました。
そして「師匠はどなたなんですか?」とお聞きしましたら、「わたし師匠いてませんねん。春子師匠に弟子入りしたら、じきに師匠が亡くなりましてん。つぎに南部師匠に弟子入りしたらまた南部師匠が亡くなりましてん。松香を弟子にしたら危ない言われてまして、せやから弟子にとってくれませんねん。はっはっはっ」と、笑いながら話されました。

ファンの集い、またやってほしいなぁ。

♪やたけたの熊さん

こういうベテランの技芸員さんになると、ファンの人はそれぞれに思い出がありますよね。
私がもう一つ思い出したのは字なのです。お手紙をいただいたことがあって、その字がとても端正な楷書で、お人柄を表しているように思いました。

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